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第百九十九話 王の到着とゴズフレズ軍出撃

ー/ー



--二時間ほど経過した ゴズフレズ軍司令部 テント。 

 司令部のテントの入り口が勢い良く開かれ、大柄な人物が司令部の中に入って来る。
 
 軍勢を率いて前線にやって来たゴズフレズ王国のハロルド王、その人であった。

 完全武装したハロルド王は、赤いマントをなびかせながらジカイラ達の前に歩いて来る。

 ハロルド王はジカイラ達に尋ねる。

「話は聞いたぞ! ……ジカイラ殿の率いる教導大隊の小隊が、余の到着直前にティティスの街を大混乱に陥れたというが?」

 ジカイラは、苦笑いしながらハロルド王に答える。

「……ええ、まあ。カスパニアの将軍を暗殺して、見張り塔を爆破。街中でストーンゴーレムを暴れさせて、カスパニア軍を蹴散らしてきたようで」

 ハロルド王は、ジカイラに告げる。

「是非、その者に会いたい! 会わせて貰えないだろうか!」

 ジカイラは、ハロルド王からの申し入れを承諾する。

「判りました……ヒナ。誰か使いをやって、アレクをここに呼んできてくれ」 


 
 アレクは傍らにエルザを抱いて眠りに就いていた。

 潜入探索任務により敵地であるティティスで過ごした間の過度の緊張と疲労、そしてエルザの慰めがアレクの眠りを穏やかで深いものにしていた。

 アルは、ヒナの使いでアレクのテントを訪れると、中を覗き込みながらアレクを呼ぶ。

「アレク! いるか?」

 アレクは、アルの声で目覚め、眠っていたベッドの中から上半身を起こす。

「……アル!? どうしたんだ?」

 アレクが起き上がったことで、アレクの腕に抱かれて眠っていたエルザも目が覚め、アレクに尋ねる。

「……どうしたの?」

 アルは、アレクの腕の中から寝ぼけ(まなこ)で上半身を起こした裸のエルザを見て、慌ててアレクたちに背を向けるようにテントの入口の方を向くと、アレクに告げる。

「おおっと! すまん! 取り込み中だったか!? ……中佐が司令部に呼んでるぞ!」

 エルザは、アルの声に気が付いてベッドの毛布を手繰り寄せて胸を隠す。

 アレクは、アルに答える。

「判った! 支度して、すぐ行く!」

 アルは、アレクの返事を聞いてテントを後にする。

 アルに返事をしたアレクは、毛布にくるまって自分の傍らで心配そうにアレクを見詰めるエルザに優しく告げる。

「……中佐がオレを呼んでる。行かなきゃ」

 そう告げると、アレクはエルザにキスする。

「んんっ……」

 エルザは、急いで身支度を整えるアレクの様子を見て口を開く。

「……アレク。良かった。元気になったみたいね」

「……エルザ。ありがとう」

 身支度を整えたアレクは、エルザに御礼を言うと足早に司令部のテントに向かう。



 アレクは、司令部のテントの中に入る。

「失礼します」

 アレクは、そう挨拶するとジカイラの前に立つ。

 司令部には、先ほどと同じようにジカイラ、ヒナ、ネルトンが並んで座り、三人の前にゴズフレズ王国国王であるハロルド王が完全武装で立っていた。

 ジカイラは、ハロルドにアレクを紹介する。

「陛下、彼がティティスへ潜入したユニコーン小隊の隊長です」

 ハロルドは、両手でアレクの両手を握ると興奮気味に語り出す。

「でかした! 良くやったぞ! 少年! ……余が前線に到着する直前に、敵が占領する街を大混乱に陥れるとは! ……これぞ、まさにアスカニアの神々の思し召し! 天祐だ! ……アスカニアの神々は、ゴズフレズを見捨ててはいなかった! ……素晴らしい! 素晴らしい戦果だぞ! 少年!」

 アレクは、自分の両手を握ったまま、髭もじゃの赤ら顔をアレクの顔に近づけて興奮気味に語るハロルドに圧倒され、間の抜けた声で答える。

「は、はぁ……」

 ハロルドは、アレクから手を離すと大声で告げる。

「でかしたぞ、少年! その方らには後ほど、勲章を与えてつかわす!」

 ハロルドは、咆哮のような大声でネルトンを呼ぶ。

「ネルトン!」

 呼ばれたネルトンは、その場で直立不動の姿勢で立ち上がりハロルドに答える。

「ははっ!」

 ハロルドは将軍であるネルトンに命令を出す。

「ゴズフレズ全軍に出撃命令を出せ! 夜陰と、この混乱に乗じてティティスを急襲し、奪回する! ゴズフレズの王である余、自らが前線に立ち、全軍の指揮を執る! 行くぞ!」

 そう言うとハロルドは、将軍であるネルトンを引き連れて司令部のテントから出て行った。



 ハロルド王が出て行き一呼吸置いてから、ジカイラは悪戯っぽい笑みを浮かべヒナに呟く。

「ま、ゴズフレズの王様が『良くやった』と褒めていることを、オレたちが咎める訳にはいかんしな」 

 ジカイラの言葉にヒナは、ため息混じりに諦めたような笑みを浮かべてジカイラに答えた。



 ジカイラはアレクに告げる。

「さて。聞いてのとおり、ゴズフレズ軍が急遽、ティティスに夜襲を掛けることになった。オレたち教導大隊は、その支援に当たるつもりだ。……お前のユニコーン小隊は、ティティスの潜入探索任務から戻ったばかりだし、今回は休んでも構わないが……どうする?」

 アレクは、迷わず即答する。

「行きます!」 

 ジカイラは、アレクの返事を聞いて続ける。

「出撃したゴズフレズ軍は、騎馬と徒歩だ。ティティス到着まで時間が掛かる。オレたちは飛空艇で出る。それまで、休むと良い」

「了解しました」




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--二時間ほど経過した ゴズフレズ軍司令部 テント。 
 司令部のテントの入り口が勢い良く開かれ、大柄な人物が司令部の中に入って来る。
 軍勢を率いて前線にやって来たゴズフレズ王国のハロルド王、その人であった。
 完全武装したハロルド王は、赤いマントをなびかせながらジカイラ達の前に歩いて来る。
 ハロルド王はジカイラ達に尋ねる。
「話は聞いたぞ! ……ジカイラ殿の率いる教導大隊の小隊が、余の到着直前にティティスの街を大混乱に陥れたというが?」
 ジカイラは、苦笑いしながらハロルド王に答える。
「……ええ、まあ。カスパニアの将軍を暗殺して、見張り塔を爆破。街中でストーンゴーレムを暴れさせて、カスパニア軍を蹴散らしてきたようで」
 ハロルド王は、ジカイラに告げる。
「是非、その者に会いたい! 会わせて貰えないだろうか!」
 ジカイラは、ハロルド王からの申し入れを承諾する。
「判りました……ヒナ。誰か使いをやって、アレクをここに呼んできてくれ」 
 アレクは傍らにエルザを抱いて眠りに就いていた。
 潜入探索任務により敵地であるティティスで過ごした間の過度の緊張と疲労、そしてエルザの慰めがアレクの眠りを穏やかで深いものにしていた。
 アルは、ヒナの使いでアレクのテントを訪れると、中を覗き込みながらアレクを呼ぶ。
「アレク! いるか?」
 アレクは、アルの声で目覚め、眠っていたベッドの中から上半身を起こす。
「……アル!? どうしたんだ?」
 アレクが起き上がったことで、アレクの腕に抱かれて眠っていたエルザも目が覚め、アレクに尋ねる。
「……どうしたの?」
 アルは、アレクの腕の中から寝ぼけ|眼《まなこ》で上半身を起こした裸のエルザを見て、慌ててアレクたちに背を向けるようにテントの入口の方を向くと、アレクに告げる。
「おおっと! すまん! 取り込み中だったか!? ……中佐が司令部に呼んでるぞ!」
 エルザは、アルの声に気が付いてベッドの毛布を手繰り寄せて胸を隠す。
 アレクは、アルに答える。
「判った! 支度して、すぐ行く!」
 アルは、アレクの返事を聞いてテントを後にする。
 アルに返事をしたアレクは、毛布にくるまって自分の傍らで心配そうにアレクを見詰めるエルザに優しく告げる。
「……中佐がオレを呼んでる。行かなきゃ」
 そう告げると、アレクはエルザにキスする。
「んんっ……」
 エルザは、急いで身支度を整えるアレクの様子を見て口を開く。
「……アレク。良かった。元気になったみたいね」
「……エルザ。ありがとう」
 身支度を整えたアレクは、エルザに御礼を言うと足早に司令部のテントに向かう。
 アレクは、司令部のテントの中に入る。
「失礼します」
 アレクは、そう挨拶するとジカイラの前に立つ。
 司令部には、先ほどと同じようにジカイラ、ヒナ、ネルトンが並んで座り、三人の前にゴズフレズ王国国王であるハロルド王が完全武装で立っていた。
 ジカイラは、ハロルドにアレクを紹介する。
「陛下、彼がティティスへ潜入したユニコーン小隊の隊長です」
 ハロルドは、両手でアレクの両手を握ると興奮気味に語り出す。
「でかした! 良くやったぞ! 少年! ……余が前線に到着する直前に、敵が占領する街を大混乱に陥れるとは! ……これぞ、まさにアスカニアの神々の思し召し! 天祐だ! ……アスカニアの神々は、ゴズフレズを見捨ててはいなかった! ……素晴らしい! 素晴らしい戦果だぞ! 少年!」
 アレクは、自分の両手を握ったまま、髭もじゃの赤ら顔をアレクの顔に近づけて興奮気味に語るハロルドに圧倒され、間の抜けた声で答える。
「は、はぁ……」
 ハロルドは、アレクから手を離すと大声で告げる。
「でかしたぞ、少年! その方らには後ほど、勲章を与えてつかわす!」
 ハロルドは、咆哮のような大声でネルトンを呼ぶ。
「ネルトン!」
 呼ばれたネルトンは、その場で直立不動の姿勢で立ち上がりハロルドに答える。
「ははっ!」
 ハロルドは将軍であるネルトンに命令を出す。
「ゴズフレズ全軍に出撃命令を出せ! 夜陰と、この混乱に乗じてティティスを急襲し、奪回する! ゴズフレズの王である余、自らが前線に立ち、全軍の指揮を執る! 行くぞ!」
 そう言うとハロルドは、将軍であるネルトンを引き連れて司令部のテントから出て行った。
 ハロルド王が出て行き一呼吸置いてから、ジカイラは悪戯っぽい笑みを浮かべヒナに呟く。
「ま、ゴズフレズの王様が『良くやった』と褒めていることを、オレたちが咎める訳にはいかんしな」 
 ジカイラの言葉にヒナは、ため息混じりに諦めたような笑みを浮かべてジカイラに答えた。
 ジカイラはアレクに告げる。
「さて。聞いてのとおり、ゴズフレズ軍が急遽、ティティスに夜襲を掛けることになった。オレたち教導大隊は、その支援に当たるつもりだ。……お前のユニコーン小隊は、ティティスの潜入探索任務から戻ったばかりだし、今回は休んでも構わないが……どうする?」
 アレクは、迷わず即答する。
「行きます!」 
 ジカイラは、アレクの返事を聞いて続ける。
「出撃したゴズフレズ軍は、騎馬と徒歩だ。ティティス到着まで時間が掛かる。オレたちは飛空艇で出る。それまで、休むと良い」
「了解しました」