第百九十一話 探索開始
ー/ー アレクたちが倉庫の中を調べると、網や浮きといった漁具が保管されており、長期間、人の出入りが無く、使用されていないようであった。
アレクは仲間たちに告げる。
「よし。ここに荷物と物資を置こう。トゥルムとドミトリーは、ここで荷物の番を頼む」
「了解だ」
蜥蜴人のトゥルムとスキンヘッドのドワーフであるドミトリーは、市街地への潜入探索任務には人目を引き過ぎて目立つため、それらを考慮した上での人員配置であった。
アレクは続ける。
「二人一組で探索しよう。オレとルイーゼ、アルとナタリー、ナディアとエルザ……」
そこまで口にすると、アレクは急に口籠る。
エルザは不審に思い、アレクに尋ねる。
「……どうしたの?」
アレクは気まずそうに答える。
「街には、カスパニア軍兵士や人狩りがウヨウヨいるようだし、ナディアとエルザの二人は、ちょっと……、マズいかなと……」
エルザは、心配するアレクに笑顔で答える。
「大丈夫よ!」
エルザに続いてナディアも自信有り気に答える。
「そうよ! お姉さんに任せなさいって!」
アルは、エルザとナディアの二人にツッコミを入れる。
「いや、この街で『お前ら二人で組む』ってことが、凄く不安なんだが……」
エルザは大見えを切って答える。
「大丈夫! 大丈夫! ユニコーンの獣耳アイドル、エルザちゃんに任せなさいって!」
ナディアもエルザに続く。
「エルザはともかく、私が付いているから心配ないわよ!」
アレクは口を開く。
「……判った。任せるけど、ローブを羽織ってフードも被り、極力目立たないように行動して。二人とも目立つから」
アレクから探索任務を任されてナディアとエルザは喜ぶ。
「りょ~か~い!」
アルはアレクにそっと耳打ちする。
「アレク……ホントに大丈夫か? あの二人、敵地のド真ん中で、やらかしそうな気がするんだが……」
アレクは、苦笑いしながらアルに答える。
「……彼女たちがやらかした時は、やらかした時で、何とかするしかないだろ?」
アルは諦めたように答える。
「まぁな」
アレクは、街の探索について仲間たちに説明する。
「オレとルイーゼは、街の庁舎周辺でカスパニア軍の動静を探る。アルとナタリーは、城壁や塔の防衛施設や設備を調べてくれ。ナディアとエルザは、街の様子を探ってくれ。陽が昇ったら街の探索に出て、日没までに、全員、この倉庫に戻ること。……みんな、いいね?」
「了解!」
アレクたちは、倉庫の中で陽が昇るのを待つ。
--ゴズフレズ王国 王都ハフニア。
アレクたち教導大隊の活躍により、対カスパニア戦争でゴズフレズ軍が初めて大々的に勝利を収めたことで、ゴズフレズ王国の王都ハフニアは、お祭りのような騒ぎになっていた。
ゴズフレズ王国のハロルド王と、バレンシュテット帝国の皇太子ジークは、王城の応接室にいた。
ハロルド王は、上機嫌でジークに語る。
「むはははは。カスパニア軍三万を容易く敗走させるとは、さすが帝国の『黒い剣士』が率いる部隊だ!」
ジークもにこやかに答える。
「お褒め頂き、恐縮です」
ハロルド王は豪語する。
「かくなる上は、余、自ら前線に出て軍勢を率い、ティティスを奪還してくれようぞ!」
ジークは驚く。
「ハロルド王、御自ら御出陣なさると!?」
ハロルド王は熱弁を振るう。
「その通りだ、殿下。……ゴズフレズの王は、戦場において戦士たちの先頭に立たねばならん! それがゴズフレズ王家の伝統なのだ!」
ジークに豪語したハロルド王は、軍勢を率いて王都王都ハフニアから前線に向かって出撃して行った。
朝陽が昇り、アレクたちは三手に分かれてティティス市内の探索に当たる。
アレクとルイーゼは市庁舎へ向かい、アルとナタリーは街の城壁と塔を、ナディアとエルザは街の中心街へと向かう。
ティティス市内は、カスパニア軍兵士と傭兵団、人狩りや、それらを相手に商売する者たちで溢れ返り、街の至る所に仮設の救護所が作られ、前線から運び込まれた傷病兵と医療関係者で混雑していた。
アレクとルイーゼは、港から裏通りを抜け、建物の影から市庁舎の様子を窺う。
市庁舎前の広場にも仮設の救護所が作られ、運び込まれた傷病兵の手当と世話で看護婦がせわしなく駆け回っていた。
アレクは、ルイーゼに語り掛ける。
「カスパニア軍には随分と傷病兵がいるんだな」
ルイーゼも広場の様子を確認して答える。
「そうね。飛空艇で司令部を叩いたのが予想以上に効いているみたいね」
アレクは市庁舎の入り口を指差してルイーゼに告げる。
「ルイーゼ、市庁舎の入り口に歩哨が立ってる。……きっと、中にカスパニア軍の高官がいるんだ」
ルイーゼは答える。
「忍び込めれば、カスパニア軍の動向が掴めるかもしれないわね」
アレクは、ルイーゼに告げる。
「裏へ回ろう」
アレクとルイーゼは、市庁舎の裏手へ回り込む。
港から城壁に向かうアルとナタリーの二人と、街の中心街に向かうナディアとエルザは、途中まで一緒であった。
四人で裏通りを歩いていると、通りの角からカスパニア軍の警ら隊がやって来る。
アルは、警ら隊が近づいてくることに気付く。
「マズい! カスパニア軍の警らだ! 二手に分かれよう!」
四人は二手に分かれて、それぞれ裏通りの別の店に入り、カスパニア軍の警ら隊をやり過ごす。
アレクは仲間たちに告げる。
「よし。ここに荷物と物資を置こう。トゥルムとドミトリーは、ここで荷物の番を頼む」
「了解だ」
蜥蜴人のトゥルムとスキンヘッドのドワーフであるドミトリーは、市街地への潜入探索任務には人目を引き過ぎて目立つため、それらを考慮した上での人員配置であった。
アレクは続ける。
「二人一組で探索しよう。オレとルイーゼ、アルとナタリー、ナディアとエルザ……」
そこまで口にすると、アレクは急に口籠る。
エルザは不審に思い、アレクに尋ねる。
「……どうしたの?」
アレクは気まずそうに答える。
「街には、カスパニア軍兵士や人狩りがウヨウヨいるようだし、ナディアとエルザの二人は、ちょっと……、マズいかなと……」
エルザは、心配するアレクに笑顔で答える。
「大丈夫よ!」
エルザに続いてナディアも自信有り気に答える。
「そうよ! お姉さんに任せなさいって!」
アルは、エルザとナディアの二人にツッコミを入れる。
「いや、この街で『お前ら二人で組む』ってことが、凄く不安なんだが……」
エルザは大見えを切って答える。
「大丈夫! 大丈夫! ユニコーンの獣耳アイドル、エルザちゃんに任せなさいって!」
ナディアもエルザに続く。
「エルザはともかく、私が付いているから心配ないわよ!」
アレクは口を開く。
「……判った。任せるけど、ローブを羽織ってフードも被り、極力目立たないように行動して。二人とも目立つから」
アレクから探索任務を任されてナディアとエルザは喜ぶ。
「りょ~か~い!」
アルはアレクにそっと耳打ちする。
「アレク……ホントに大丈夫か? あの二人、敵地のド真ん中で、やらかしそうな気がするんだが……」
アレクは、苦笑いしながらアルに答える。
「……彼女たちがやらかした時は、やらかした時で、何とかするしかないだろ?」
アルは諦めたように答える。
「まぁな」
アレクは、街の探索について仲間たちに説明する。
「オレとルイーゼは、街の庁舎周辺でカスパニア軍の動静を探る。アルとナタリーは、城壁や塔の防衛施設や設備を調べてくれ。ナディアとエルザは、街の様子を探ってくれ。陽が昇ったら街の探索に出て、日没までに、全員、この倉庫に戻ること。……みんな、いいね?」
「了解!」
アレクたちは、倉庫の中で陽が昇るのを待つ。
--ゴズフレズ王国 王都ハフニア。
アレクたち教導大隊の活躍により、対カスパニア戦争でゴズフレズ軍が初めて大々的に勝利を収めたことで、ゴズフレズ王国の王都ハフニアは、お祭りのような騒ぎになっていた。
ゴズフレズ王国のハロルド王と、バレンシュテット帝国の皇太子ジークは、王城の応接室にいた。
ハロルド王は、上機嫌でジークに語る。
「むはははは。カスパニア軍三万を容易く敗走させるとは、さすが帝国の『黒い剣士』が率いる部隊だ!」
ジークもにこやかに答える。
「お褒め頂き、恐縮です」
ハロルド王は豪語する。
「かくなる上は、余、自ら前線に出て軍勢を率い、ティティスを奪還してくれようぞ!」
ジークは驚く。
「ハロルド王、御自ら御出陣なさると!?」
ハロルド王は熱弁を振るう。
「その通りだ、殿下。……ゴズフレズの王は、戦場において戦士たちの先頭に立たねばならん! それがゴズフレズ王家の伝統なのだ!」
ジークに豪語したハロルド王は、軍勢を率いて王都王都ハフニアから前線に向かって出撃して行った。
朝陽が昇り、アレクたちは三手に分かれてティティス市内の探索に当たる。
アレクとルイーゼは市庁舎へ向かい、アルとナタリーは街の城壁と塔を、ナディアとエルザは街の中心街へと向かう。
ティティス市内は、カスパニア軍兵士と傭兵団、人狩りや、それらを相手に商売する者たちで溢れ返り、街の至る所に仮設の救護所が作られ、前線から運び込まれた傷病兵と医療関係者で混雑していた。
アレクとルイーゼは、港から裏通りを抜け、建物の影から市庁舎の様子を窺う。
市庁舎前の広場にも仮設の救護所が作られ、運び込まれた傷病兵の手当と世話で看護婦がせわしなく駆け回っていた。
アレクは、ルイーゼに語り掛ける。
「カスパニア軍には随分と傷病兵がいるんだな」
ルイーゼも広場の様子を確認して答える。
「そうね。飛空艇で司令部を叩いたのが予想以上に効いているみたいね」
アレクは市庁舎の入り口を指差してルイーゼに告げる。
「ルイーゼ、市庁舎の入り口に歩哨が立ってる。……きっと、中にカスパニア軍の高官がいるんだ」
ルイーゼは答える。
「忍び込めれば、カスパニア軍の動向が掴めるかもしれないわね」
アレクは、ルイーゼに告げる。
「裏へ回ろう」
アレクとルイーゼは、市庁舎の裏手へ回り込む。
港から城壁に向かうアルとナタリーの二人と、街の中心街に向かうナディアとエルザは、途中まで一緒であった。
四人で裏通りを歩いていると、通りの角からカスパニア軍の警ら隊がやって来る。
アルは、警ら隊が近づいてくることに気付く。
「マズい! カスパニア軍の警らだ! 二手に分かれよう!」
四人は二手に分かれて、それぞれ裏通りの別の店に入り、カスパニア軍の警ら隊をやり過ごす。
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アレクたちが倉庫の中を調べると、網や浮きといった漁具が保管されており、長期間、人の出入りが無く、使用されていないようであった。
アレクは仲間たちに告げる。
「よし。ここに荷物と物資を置こう。トゥルムとドミトリーは、ここで荷物の番を頼む」
「了解だ」
|蜥蜴人《リザードマン》のトゥルムとスキンヘッドのドワーフであるドミトリーは、市街地への潜入探索任務には人目を引き過ぎて目立つため、それらを考慮した上での人員配置であった。
アレクは続ける。
「二人一組で探索しよう。オレとルイーゼ、アルとナタリー、ナディアとエルザ……」
そこまで口にすると、アレクは急に|口籠《くちごも》る。
エルザは不審に思い、アレクに尋ねる。
「……どうしたの?」
アレクは気まずそうに答える。
「街には、カスパニア軍兵士や人狩りがウヨウヨいるようだし、ナディアとエルザの二人は、ちょっと……、マズいかなと……」
エルザは、心配するアレクに笑顔で答える。
「大丈夫よ!」
エルザに続いてナディアも自信有り気に答える。
「そうよ! お姉さんに任せなさいって!」
アルは、エルザとナディアの二人にツッコミを入れる。
「いや、この街で『お前ら二人で組む』ってことが、凄く不安なんだが……」
エルザは大見えを切って答える。
「大丈夫! 大丈夫! ユニコーンの|獣耳《けもみみ》アイドル、エルザちゃんに任せなさいって!」
ナディアもエルザに続く。
「エルザはともかく、私が付いているから心配ないわよ!」
アレクは口を開く。
「……判った。任せるけど、ローブを羽織ってフードも被り、極力目立たないように行動して。二人とも目立つから」
アレクから探索任務を任されてナディアとエルザは喜ぶ。
「りょ~か~い!」
アルはアレクにそっと耳打ちする。
「アレク……ホントに大丈夫か? あの二人、敵地のド真ん中で、やらかしそうな気がするんだが……」
アレクは、苦笑いしながらアルに答える。
「……彼女たちがやらかした時は、やらかした時で、何とかするしかないだろ?」
アルは諦めたように答える。
「まぁな」
アレクは、街の探索について仲間たちに説明する。
「オレとルイーゼは、街の庁舎周辺でカスパニア軍の動静を探る。アルとナタリーは、城壁や塔の防衛施設や設備を調べてくれ。ナディアとエルザは、街の様子を探ってくれ。陽が昇ったら街の探索に出て、日没までに、全員、この倉庫に戻ること。……みんな、いいね?」
「了解!」
アレクたちは、倉庫の中で陽が昇るのを待つ。
--ゴズフレズ王国 王都ハフニア。
アレクたち教導大隊の活躍により、対カスパニア戦争でゴズフレズ軍が初めて大々的に勝利を収めたことで、ゴズフレズ王国の王都ハフニアは、お祭りのような騒ぎになっていた。
ゴズフレズ王国のハロルド王と、バレンシュテット帝国の皇太子ジークは、王城の応接室にいた。
ハロルド王は、上機嫌でジークに語る。
「むはははは。カスパニア軍三万を容易く敗走させるとは、さすが帝国の『黒い剣士』が率いる部隊だ!」
ジークもにこやかに答える。
「お褒め頂き、恐縮です」
ハロルド王は豪語する。
「かくなる上は、余、自ら前線に出て軍勢を率い、ティティスを奪還してくれようぞ!」
ジークは驚く。
「ハロルド王、御自ら御出陣なさると!?」
ハロルド王は熱弁を振るう。
「その通りだ、殿下。……ゴズフレズの王は、戦場において戦士たちの先頭に立たねばならん! それがゴズフレズ王家の伝統なのだ!」
ジークに豪語したハロルド王は、軍勢を率いて王都王都ハフニアから前線に向かって出撃して行った。
朝陽が昇り、アレクたちは三手に分かれてティティス市内の探索に当たる。
アレクとルイーゼは市庁舎へ向かい、アルとナタリーは街の城壁と塔を、ナディアとエルザは街の中心街へと向かう。
ティティス市内は、カスパニア軍兵士と傭兵団、人狩りや、それらを相手に商売する者たちで溢れ返り、街の至る所に仮設の救護所が作られ、前線から運び込まれた傷病兵と医療関係者で混雑していた。
アレクとルイーゼは、港から裏通りを抜け、建物の影から市庁舎の様子を窺う。
市庁舎前の広場にも仮設の救護所が作られ、運び込まれた傷病兵の手当と世話で看護婦がせわしなく駆け回っていた。
アレクは、ルイーゼに語り掛ける。
「カスパニア軍には随分と傷病兵がいるんだな」
ルイーゼも広場の様子を確認して答える。
「そうね。飛空艇で司令部を叩いたのが予想以上に効いているみたいね」
アレクは市庁舎の入り口を指差してルイーゼに告げる。
「ルイーゼ、市庁舎の入り口に歩哨が立ってる。……きっと、中にカスパニア軍の高官がいるんだ」
ルイーゼは答える。
「忍び込めれば、カスパニア軍の動向が掴めるかもしれないわね」
アレクは、ルイーゼに告げる。
「裏へ回ろう」
アレクとルイーゼは、市庁舎の裏手へ回り込む。
港から城壁に向かうアルとナタリーの二人と、街の中心街に向かうナディアとエルザは、途中まで一緒であった。
四人で裏通りを歩いていると、通りの角からカスパニア軍の警ら隊がやって来る。
アルは、警ら隊が近づいてくることに気付く。
「マズい! カスパニア軍の警らだ! 二手に分かれよう!」
四人は二手に分かれて、それぞれ裏通りの別の店に入り、カスパニア軍の警ら隊をやり過ごす。