第百七十七話 暴行の現場、力の使い方
ー/ー アレクたちが酒場の中に踏み込むと、人狩りの首領や幹部達が村の女の子たちを裸にして陵辱している最中であった。
人狩りによる凌辱の現場の惨状を目の当たりにしたアレクたちは固まる。
アレクは、一瞬で怒りが頂点に達し、全身の体毛が逆立つ感覚と共に手が震え出す。
「おい! 何だ!? お前ら?」
村の女の子への行為を終えた幹部の一人が、降ろしていたズボンを直してアレクたちのほうへ歩いてくる。
幹部は、固まっているアレクたちの元に近寄って来て、ルイーゼたちを値踏みするように見回しながら口を開く。
「小僧ども、女を差し出しに来たのか? ……ほぉ~。四人とも、上玉じゃねぇか。……女を置いて失せな。そうしたら、見逃してやる」
幹部の欲望に満ちた目がルイーゼに向けられた、次の瞬間であった。
アレクの長剣ゾーリンゲン・ツヴァイハンダーが一閃し、その幹部の首を斬り飛ばす。
アルは、驚いてアレクに声を掛ける。
「おい! アレク!?」
怒りに我を忘れたアレクは、アルの言葉も耳に入らず、人狩りの幹部や首領たちを次々と斬り殺していく。
ユニコーン小隊の仲間たちは、怒りに我を忘れ、次々と人狩りたちを斬り殺していくアレクを見守ることしかできなかった。
アレクは、あっという間に幹部や首領たちを皆殺しにすると、酒場の真ん中で返り血に塗れたまま長剣を手に立ち尽くし、乱れた呼吸を整えていた。
アレクの近くには、人狩りの幹部たちに強姦されていた村の女の子が二人いた。
幹部に犯されていた女の子は、目の前で繰り広げられた惨劇による恐怖のあまり、後ろ手に床に両手を着いて腰が抜けたようにへたり込み、涙を浮かべた目を見開いたまま、奥歯をカチカチと鳴らして怯えていた。
「もう、大丈夫だ」
アレクが怯えている女の子に声を掛けると、女の子はビクンと大きく震えてアレクの方を向く。
「イッ……、イィ……」
怯えている女の子は、声を掛けてきたアレクと目が合うと、言葉にならない悲鳴を上げ、両足を広げたまま秘所を隠すこともせず、失禁する。
女の子が失禁する様子を見たアレクは、もう一人の村の女の子にも声を掛ける。
「安心して。大丈夫だよ」
幹部に男性器を咥えさせられていた、もう一人の村の女の子は、声を掛けてきたアレクに怯え、両手と頭を床に着けて恐怖に震えながら、必死に命乞いを始める。
「騎士様のを咥えさせて下さい! 奉仕させて下さい! 何でもします! お願いです! い、命だけは!」
村の女の子たちの反応にアレクが驚いていると、ルイーゼがハンカチを手にアレクの元に来る。
ルイーゼは、アレクの顔の返り血をハンカチで拭いながら告げる。
「アレク。返り血塗れよ。……女の子たちが怯えているわ。顔を洗ってきて」
エルザはルイーゼに続く。
「そ、そうよ! ここにいる村の女の子たちは、みんな、裸なのよ! 男どもは外に行ってて! ホラ! 行った! 行った!」
ルイーゼとエルザの言葉に、小隊の男たちは酒場から外に出る。
アレクは酒場の入り口から建物の外に出ると、入り口近くの地面の上に両膝を抱えて座り込み、建物の壁に背中で寄り掛かる。
アルはアレクを気遣う。
「……大丈夫か?」
アレクはアルに告げる。
「……ああ。……そうだ。外の奴隷輸送車の解錠は、ルイーゼに。村人たちの傷の手当はドミトリーに頼む」
アルは答える。
「判った。そう伝えるよ」
そう答えると、アルは小走りでドミトリーとルイーゼの元に向かって行った。
程なくルイーゼがアレクの元にやって来る。
「アレク。奴隷輸送車の中の村人たちは、全員、解放したわよ。ケガをした人達は、ドミトリーが手当てしてる」
アレクは、力無く答える。
「……ありがとう」
ルイーゼは、普段とは様子の違うアレクを気遣う。
「……アレク? 大丈夫? どうしたの?」
「……オレも、人狩りたちと同じ事をしていたのか」
アレクは、村の女の子たちを凌辱していた人狩りたちに、かつて皇宮でメイドたちに性的な悪戯をしていた自分の姿を重ねて、自己嫌悪に陥っていた。
ルイーゼは尋ねる。
「同じことって?」
「オレは、皇宮で帝室の人間に逆らえないメイド達を裸にしたり、触ったりしていた……。この村を襲った人狩りと同じようなことをしていた。……父上がオレを殴り倒した理由が、今になって理解できた」
アレクは自嘲気味に続ける。
「皇帝である父上が帝国の奴隷制度を廃止して奴隷貿易を禁止したにもかかわらず、息子である第二皇子が『帝室の権威』を盾に、人狩りや奴隷商人なんかと同じようなことをしていたら、許せるはずがない。……殴り倒してでも、止めさせるのは当然だろう」
「……アレク」
ルイーゼは、アレクの兜を外すと、両手でアレクの頬に触れながら額にキスする。
「アレク。それはもう過去のことよ。後悔しても、時は戻らないわ」
アレクは、ルイーゼの顔を見上げる。
「そうだね」
ルイーゼがアレクを励ます。
「アレクは、人狩りから沢山の村人たちを救ったのよ! アレクの持つ力を、正しいことに使ったのよ! 胸を張るべきよ!」
ルイーゼの言葉を聞いたアレクは、考えるように呟く。
「『力の使い方』……」
ルイーゼは続ける。
「皇宮のメイドたちには、機会があったら謝れば良い! 人狩りみたく強姦していた訳じゃ無いんだから! ……だから! だから!」
熱く語るルイーゼの目には、涙が浮かんでいた。
「……落ち込んでいるアレクを見ていると、辛いの。いつも、必死に頑張っているのに……」
アレクは、ルイーゼに微笑み掛ける。
「判ったよ。……ルイーゼ、ありがとう」
アレクは、大きく深呼吸をすると、ルイーゼに告げる。
「ルイーゼ」
「んん?」
「オレは、もう二度と皇宮のメイドたちに悪戯しない。約束するよ」
アレクの言葉にルイーゼは笑顔で答える。
「うん!」
アレクは、悪戯っぽい笑顔でルイーゼに告げる。
「今度からは、ルイーゼに悪戯するから」
ルイーゼは、アレクの隣に座ると、頬を赤らめてアレクを肘で突っ突きながら告げる。
「もぅ……。私には、悪戯どころか、赤ちゃんができちゃうようなことまで、してるでしょ?」
ルイーゼの言葉にアレクとルイーゼは、互いに微笑み合う。
アルがアレクとルイーゼの元にやって来る。
「二人とも、まだここにいたのか。この村の村長がアレクに『助けてくれた御礼を言いたい』ってさ。……もう半時ほどで日没だな。ユニコーン・ゼロに帰らないと」
アレクは立ち上がって、アルに答える。
「そうだな」
アレクに続いてルイーゼも立ち上がると、口を開く。
「帰りましょう」
アレクたちは、村長に会うと自分たちの飛空艇に乗り込み、飛行空母ユニコーン・ゼロへの帰途に着いた。
アレクは、人狩りの襲撃から村人たちを救うことが出来た。
近接戦最強と言われる上級職である上級騎士になった自分の力と、父ラインハルトから贈られたゾーリンゲン・ツヴァイハンダーの力を改めて認識する。
しかし、それと同時にアレクは、人狩りに自分自身を重ね、自分が過去に犯した過ちを再認識する。
アレクは、大人への階段を一つ登り、『力の使い方』について考え始めたのであった。
人狩りによる凌辱の現場の惨状を目の当たりにしたアレクたちは固まる。
アレクは、一瞬で怒りが頂点に達し、全身の体毛が逆立つ感覚と共に手が震え出す。
「おい! 何だ!? お前ら?」
村の女の子への行為を終えた幹部の一人が、降ろしていたズボンを直してアレクたちのほうへ歩いてくる。
幹部は、固まっているアレクたちの元に近寄って来て、ルイーゼたちを値踏みするように見回しながら口を開く。
「小僧ども、女を差し出しに来たのか? ……ほぉ~。四人とも、上玉じゃねぇか。……女を置いて失せな。そうしたら、見逃してやる」
幹部の欲望に満ちた目がルイーゼに向けられた、次の瞬間であった。
アレクの長剣ゾーリンゲン・ツヴァイハンダーが一閃し、その幹部の首を斬り飛ばす。
アルは、驚いてアレクに声を掛ける。
「おい! アレク!?」
怒りに我を忘れたアレクは、アルの言葉も耳に入らず、人狩りの幹部や首領たちを次々と斬り殺していく。
ユニコーン小隊の仲間たちは、怒りに我を忘れ、次々と人狩りたちを斬り殺していくアレクを見守ることしかできなかった。
アレクは、あっという間に幹部や首領たちを皆殺しにすると、酒場の真ん中で返り血に塗れたまま長剣を手に立ち尽くし、乱れた呼吸を整えていた。
アレクの近くには、人狩りの幹部たちに強姦されていた村の女の子が二人いた。
幹部に犯されていた女の子は、目の前で繰り広げられた惨劇による恐怖のあまり、後ろ手に床に両手を着いて腰が抜けたようにへたり込み、涙を浮かべた目を見開いたまま、奥歯をカチカチと鳴らして怯えていた。
「もう、大丈夫だ」
アレクが怯えている女の子に声を掛けると、女の子はビクンと大きく震えてアレクの方を向く。
「イッ……、イィ……」
怯えている女の子は、声を掛けてきたアレクと目が合うと、言葉にならない悲鳴を上げ、両足を広げたまま秘所を隠すこともせず、失禁する。
女の子が失禁する様子を見たアレクは、もう一人の村の女の子にも声を掛ける。
「安心して。大丈夫だよ」
幹部に男性器を咥えさせられていた、もう一人の村の女の子は、声を掛けてきたアレクに怯え、両手と頭を床に着けて恐怖に震えながら、必死に命乞いを始める。
「騎士様のを咥えさせて下さい! 奉仕させて下さい! 何でもします! お願いです! い、命だけは!」
村の女の子たちの反応にアレクが驚いていると、ルイーゼがハンカチを手にアレクの元に来る。
ルイーゼは、アレクの顔の返り血をハンカチで拭いながら告げる。
「アレク。返り血塗れよ。……女の子たちが怯えているわ。顔を洗ってきて」
エルザはルイーゼに続く。
「そ、そうよ! ここにいる村の女の子たちは、みんな、裸なのよ! 男どもは外に行ってて! ホラ! 行った! 行った!」
ルイーゼとエルザの言葉に、小隊の男たちは酒場から外に出る。
アレクは酒場の入り口から建物の外に出ると、入り口近くの地面の上に両膝を抱えて座り込み、建物の壁に背中で寄り掛かる。
アルはアレクを気遣う。
「……大丈夫か?」
アレクはアルに告げる。
「……ああ。……そうだ。外の奴隷輸送車の解錠は、ルイーゼに。村人たちの傷の手当はドミトリーに頼む」
アルは答える。
「判った。そう伝えるよ」
そう答えると、アルは小走りでドミトリーとルイーゼの元に向かって行った。
程なくルイーゼがアレクの元にやって来る。
「アレク。奴隷輸送車の中の村人たちは、全員、解放したわよ。ケガをした人達は、ドミトリーが手当てしてる」
アレクは、力無く答える。
「……ありがとう」
ルイーゼは、普段とは様子の違うアレクを気遣う。
「……アレク? 大丈夫? どうしたの?」
「……オレも、人狩りたちと同じ事をしていたのか」
アレクは、村の女の子たちを凌辱していた人狩りたちに、かつて皇宮でメイドたちに性的な悪戯をしていた自分の姿を重ねて、自己嫌悪に陥っていた。
ルイーゼは尋ねる。
「同じことって?」
「オレは、皇宮で帝室の人間に逆らえないメイド達を裸にしたり、触ったりしていた……。この村を襲った人狩りと同じようなことをしていた。……父上がオレを殴り倒した理由が、今になって理解できた」
アレクは自嘲気味に続ける。
「皇帝である父上が帝国の奴隷制度を廃止して奴隷貿易を禁止したにもかかわらず、息子である第二皇子が『帝室の権威』を盾に、人狩りや奴隷商人なんかと同じようなことをしていたら、許せるはずがない。……殴り倒してでも、止めさせるのは当然だろう」
「……アレク」
ルイーゼは、アレクの兜を外すと、両手でアレクの頬に触れながら額にキスする。
「アレク。それはもう過去のことよ。後悔しても、時は戻らないわ」
アレクは、ルイーゼの顔を見上げる。
「そうだね」
ルイーゼがアレクを励ます。
「アレクは、人狩りから沢山の村人たちを救ったのよ! アレクの持つ力を、正しいことに使ったのよ! 胸を張るべきよ!」
ルイーゼの言葉を聞いたアレクは、考えるように呟く。
「『力の使い方』……」
ルイーゼは続ける。
「皇宮のメイドたちには、機会があったら謝れば良い! 人狩りみたく強姦していた訳じゃ無いんだから! ……だから! だから!」
熱く語るルイーゼの目には、涙が浮かんでいた。
「……落ち込んでいるアレクを見ていると、辛いの。いつも、必死に頑張っているのに……」
アレクは、ルイーゼに微笑み掛ける。
「判ったよ。……ルイーゼ、ありがとう」
アレクは、大きく深呼吸をすると、ルイーゼに告げる。
「ルイーゼ」
「んん?」
「オレは、もう二度と皇宮のメイドたちに悪戯しない。約束するよ」
アレクの言葉にルイーゼは笑顔で答える。
「うん!」
アレクは、悪戯っぽい笑顔でルイーゼに告げる。
「今度からは、ルイーゼに悪戯するから」
ルイーゼは、アレクの隣に座ると、頬を赤らめてアレクを肘で突っ突きながら告げる。
「もぅ……。私には、悪戯どころか、赤ちゃんができちゃうようなことまで、してるでしょ?」
ルイーゼの言葉にアレクとルイーゼは、互いに微笑み合う。
アルがアレクとルイーゼの元にやって来る。
「二人とも、まだここにいたのか。この村の村長がアレクに『助けてくれた御礼を言いたい』ってさ。……もう半時ほどで日没だな。ユニコーン・ゼロに帰らないと」
アレクは立ち上がって、アルに答える。
「そうだな」
アレクに続いてルイーゼも立ち上がると、口を開く。
「帰りましょう」
アレクたちは、村長に会うと自分たちの飛空艇に乗り込み、飛行空母ユニコーン・ゼロへの帰途に着いた。
アレクは、人狩りの襲撃から村人たちを救うことが出来た。
近接戦最強と言われる上級職である上級騎士になった自分の力と、父ラインハルトから贈られたゾーリンゲン・ツヴァイハンダーの力を改めて認識する。
しかし、それと同時にアレクは、人狩りに自分自身を重ね、自分が過去に犯した過ちを再認識する。
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アレクは、一瞬で怒りが頂点に達し、全身の体毛が逆立つ感覚と共に手が震え出す。
「おい! 何だ!? お前ら?」
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幹部の欲望に満ちた目がルイーゼに向けられた、次の瞬間であった。
アレクの長剣ゾーリンゲン・ツヴァイハンダーが一閃し、その幹部の首を斬り飛ばす。
アルは、驚いてアレクに声を掛ける。
「おい! アレク!?」
怒りに我を忘れたアレクは、アルの言葉も耳に入らず、人狩りの幹部や首領たちを次々と斬り殺していく。
ユニコーン小隊の仲間たちは、怒りに我を忘れ、次々と人狩りたちを斬り殺していくアレクを見守ることしかできなかった。
アレクは、あっという間に幹部や首領たちを皆殺しにすると、酒場の真ん中で返り血に|塗《まみ》れたまま長剣を手に立ち尽くし、乱れた呼吸を整えていた。
アレクの近くには、人狩りの幹部たちに強姦されていた村の女の子が二人いた。
幹部に犯されていた女の子は、目の前で繰り広げられた惨劇による恐怖のあまり、後ろ手に床に両手を着いて腰が抜けたようにへたり込み、涙を浮かべた目を見開いたまま、奥歯をカチカチと鳴らして怯えていた。
「もう、大丈夫だ」
アレクが怯えている女の子に声を掛けると、女の子はビクンと大きく震えてアレクの方を向く。
「イッ……、イィ……」
怯えている女の子は、声を掛けてきたアレクと目が合うと、言葉にならない悲鳴を上げ、両足を広げたまま秘所を隠すこともせず、失禁する。
女の子が失禁する様子を見たアレクは、もう一人の村の女の子にも声を掛ける。
「安心して。大丈夫だよ」
幹部に男性器を咥えさせられていた、もう一人の村の女の子は、声を掛けてきたアレクに怯え、両手と頭を床に着けて恐怖に震えながら、必死に命乞いを始める。
「騎士様のを咥えさせて下さい! 奉仕させて下さい! 何でもします! お願いです! い、命だけは!」
村の女の子たちの反応にアレクが驚いていると、ルイーゼがハンカチを手にアレクの元に来る。
ルイーゼは、アレクの顔の返り血をハンカチで拭いながら告げる。
「アレク。返り血|塗《まみ》れよ。……女の子たちが怯えているわ。顔を洗ってきて」
エルザはルイーゼに続く。
「そ、そうよ! ここにいる村の女の子たちは、みんな、裸なのよ! 男どもは外に行ってて! ホラ! 行った! 行った!」
ルイーゼとエルザの言葉に、小隊の男たちは酒場から外に出る。
アレクは酒場の入り口から建物の外に出ると、入り口近くの地面の上に両膝を抱えて座り込み、建物の壁に背中で寄り掛かる。
アルはアレクを気遣う。
「……大丈夫か?」
アレクはアルに告げる。
「……ああ。……そうだ。外の奴隷輸送車の解錠は、ルイーゼに。村人たちの傷の手当はドミトリーに頼む」
アルは答える。
「判った。そう伝えるよ」
そう答えると、アルは小走りでドミトリーとルイーゼの元に向かって行った。
程なくルイーゼがアレクの元にやって来る。
「アレク。奴隷輸送車の中の村人たちは、全員、解放したわよ。ケガをした人達は、ドミトリーが手当てしてる」
アレクは、力無く答える。
「……ありがとう」
ルイーゼは、普段とは様子の違うアレクを気遣う。
「……アレク? 大丈夫? どうしたの?」
「……オレも、人狩りたちと同じ事をしていたのか」
アレクは、村の女の子たちを凌辱していた人狩りたちに、かつて皇宮でメイドたちに性的な悪戯をしていた自分の姿を重ねて、自己嫌悪に陥っていた。
ルイーゼは尋ねる。
「同じことって?」
「オレは、皇宮で帝室の人間に逆らえないメイド達を裸にしたり、触ったりしていた……。この村を襲った人狩りと同じようなことをしていた。……父上がオレを殴り倒した理由が、今になって理解できた」
アレクは自嘲気味に続ける。
「皇帝である父上が帝国の奴隷制度を廃止して奴隷貿易を禁止したにもかかわらず、息子である第二皇子が『帝室の権威』を盾に、人狩りや奴隷商人なんかと同じようなことをしていたら、許せるはずがない。……殴り倒してでも、止めさせるのは当然だろう」
「……アレク」
ルイーゼは、アレクの兜を外すと、両手でアレクの頬に触れながら額にキスする。
「アレク。それはもう過去のことよ。後悔しても、時は戻らないわ」
アレクは、ルイーゼの顔を見上げる。
「そうだね」
ルイーゼがアレクを励ます。
「アレクは、人狩りから沢山の村人たちを救ったのよ! アレクの持つ力を、正しいことに使ったのよ! 胸を張るべきよ!」
ルイーゼの言葉を聞いたアレクは、考えるように呟く。
「『力の使い方』……」
ルイーゼは続ける。
「皇宮のメイドたちには、機会があったら謝れば良い! 人狩りみたく強姦していた訳じゃ無いんだから! ……だから! だから!」
熱く語るルイーゼの目には、涙が浮かんでいた。
「……落ち込んでいるアレクを見ていると、辛いの。いつも、必死に頑張っているのに……」
アレクは、ルイーゼに微笑み掛ける。
「判ったよ。……ルイーゼ、ありがとう」
アレクは、大きく深呼吸をすると、ルイーゼに告げる。
「ルイーゼ」
「んん?」
「オレは、もう二度と皇宮のメイドたちに悪戯しない。約束するよ」
アレクの言葉にルイーゼは笑顔で答える。
「うん!」
アレクは、悪戯っぽい笑顔でルイーゼに告げる。
「今度からは、ルイーゼに悪戯するから」
ルイーゼは、アレクの隣に座ると、頬を赤らめてアレクを肘で突っ突きながら告げる。
「もぅ……。私には、悪戯どころか、赤ちゃんができちゃうようなことまで、してるでしょ?」
ルイーゼの言葉にアレクとルイーゼは、互いに微笑み合う。
アルがアレクとルイーゼの元にやって来る。
「二人とも、まだここにいたのか。この村の村長がアレクに『助けてくれた御礼を言いたい』ってさ。……もう半時ほどで日没だな。ユニコーン・ゼロに帰らないと」
アレクは立ち上がって、アルに答える。
「そうだな」
アレクに続いてルイーゼも立ち上がると、口を開く。
「帰りましょう」
アレクたちは、村長に会うと自分たちの飛空艇に乗り込み、飛行空母ユニコーン・ゼロへの帰途に着いた。
アレクは、人狩りの襲撃から村人たちを救うことが出来た。
近接戦最強と言われる上級職である|上級騎士《パラディン》になった自分の力と、父ラインハルトから贈られたゾーリンゲン・ツヴァイハンダーの力を改めて認識する。
しかし、それと同時にアレクは、人狩りに自分自身を重ね、自分が過去に犯した過ちを再認識する。
アレクは、大人への階段を一つ登り、『力の使い方』について考え始めたのであった。