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第百七十六話 人狩りとの戦闘

ー/ー



 人狩りの集団は、ナタリーの魔法で仲間が火達磨になったことで狼狽える。

「何だ? あのガキども?」

「二人やられたぞ!」

「魔導師がいるのか?」

 アレクは、狼狽える人狩りの一人に向かって駆け寄ると、大上段から長剣ゾーリンゲン・ツヴァイハンダーを振り下ろす。

 淡く青白く輝く魔力が込められた刀身は、人狩りの一人の胴体を容易く一刀両断する。

 アレクは返す刀でもう一人の人狩りに斬り付け、その首を斬り飛ばした。

 アレクは、皮鎧ごと人間を容易く切り裂くゾーリンゲン・ツヴァイハンダーの切れ味に驚く。

(凄い! まるで藁の束を斬っているようだ!) 

 三人目の人狩りは、手にしていた棍棒でアレクに殴り掛る。

 アレクには、必死の形相で殴り掛って来る三人目の人狩りの動きが、非常にゆっくりしたものに見える。

(これが父上や兄上に『()()()()()()()』。上級騎士(パラディン)の『見切り』の力! ……まるで『コマ送りの寸劇』を見ているようだ)

 アレクは、振り下ろされてきた棍棒の一撃を避けると、ゾーリンゲン・ツヴァイハンダーで殴り掛って来た人狩りの首を斬り飛ばした。

 アレクは、近接戦最強と言われる上級職である上級騎士(パラディン)になった自分の力と、父ラインハルトから贈られたゾーリンゲン・ツヴァイハンダーの力を改めて認識する。

(いける! いけるぞ! 相手が何人いようと、全く負ける気がしない!)

 新手の人狩りが物陰から現れ、アレクの後ろに回り込むが、ルイーゼがその前に立ち塞がる。

 アレクの背中は、ルイーゼが守っていた。

 後ろからアレクを襲おうとしていた人狩りは、突然、目の前に現れたルイーゼに驚愕する。

「なっ!?」

 ルイーゼは、装備している右手の手甲の爪を人狩りの顔に突き立てると、一気に腹まで右手を振り下ろす。

 ルイーゼの手甲から伸びる四本のミスリルの刃は、人狩りの顔から胴体までを縦四列に切り裂く。

 アレクとルイーゼは、次々と人狩り達を斬り伏せて突き進み、ユニコーン小隊の仲間たちが先陣を切るアレクに続く。
 
「うぉおおお!」

 アルは、雄たけびを上げながら斧槍(ハルバード)を水平に振るい、二人の人狩りを斬り伏せると、傍らでトゥルムも三叉槍(トライデント)で人狩りを倒していた。 

「おりゃあああ!」

 エルザも両手剣を振るい、ナディアもレイピアの派手な立ち回りで人狩り達を次々と斬り伏せていく。

 人狩りの集団がビキニアーマーで肌の露出の多いエルザと、(クロース・)(アーマー)のスリットから太腿が見え、裾を(はだ)けて黒い下着をチラつかせながら戦うナディアに目を止める。
 
「女!?」

「女だ!!」

「へへ……。獣人(ビーストマン)の猫女とエルフの女だ! 捕まえろ!」

「捕まえたら、オレが最初だぞ!」

「咥えさせるか? 突っ込むか?」

「早い者勝ちさ!」

 人狩りの集団は下卑た笑みを顔に浮かべ、エルザとナディアに群がって来る。

 エルザは、戦いながらナディアに尋ねる。

「ちょっと! ナディア! なんでコイツら、私達に群がって来るの!?」

「私と貴女(あなた)のファンだからでしょ! ……エルザ、コイツらに捕まったら犯されるわよ! 本気出しなさい!」

「ユニコーンの獣耳(けもみみ)アイドル・エルザちゃんの、身も心もアレクのものよ! お前らなんて、夜のオカズにもなってあげないんだから!」

 ナディアは、人狩りに手をかざして精霊魔法を唱える。

戦乙女の(ヴァルキリーズ・)戦槍(ジャベリン)!」

 ナディアの身体からオーラのように湧き出た魔法因子(オド)が掌の先に魔法陣を描き、魔法素粒子(マナ)によって三つの光の玉が現れると、それらは光の矢に形を変え、人狩りの胸を貫く。

「キェエエエ!」

 ドミトリーは連続で旋風脚を放ち、エルザとナディアに群がる人狩り達を次々となぎ倒していく。

「婦女子を狙うとは、卑怯千万! 拙僧の鉄拳で成敗してくれるわ!」

 アレクたちの最後尾を進むナタリーに、物陰に潜んでいた二人の人狩り達が襲い掛かる。

「おっと! 上玉がいるじゃねぇか!」

「へへ。裸に剥いて楽しもうぜ」

「きゃあ!」

 ナタリーの悲鳴を聞いたアルは、ナタリーに襲い掛かる人狩りに向けて斧槍(ハルバート)を持ち替えて投擲すると、海賊剣(カトラス)を抜いてナタリーの元に駆け寄る。

「ナタリー!」

 アルが投擲した斧槍(ハルバート)は、人狩りの一人の胸に深々と突き刺さる。

 アルは、ナタリーを背に庇うように人狩りとナタリーの間に割って入ると、手にしている海賊剣(カトラス)で人狩りに斬り付ける。

「テメェ!」

 人狩りは、アルの海賊剣(カトラス)を剣で受け止める。

「ガキが! 邪魔だ!」

 アルが傍に来たことで気を取り直したナタリーは、人狩りに向けて手をかざすと、魔法を唱える。

火炎球(ファイヤー・ボール)!!」

 ナタリーの火炎球(ファイヤー・ボール)が人狩りの顔を直撃し、人狩りは炎に包まれる。

「がぁああああ!」

 アルは、炎に包まれた人狩りの胴体に海賊剣(カトラス)を突き刺して止めを刺した。

 人狩りを倒したアルは、ナタリーを小脇に抱き抱えて、その身を案じる。

「ナタリー、大丈夫かい?」

 ナタリーは、アルの傍らでその顔を見上げながら答える。
 
「ありがとう、アル。大丈夫」



 ナディアとエルザは、アルとナタリーの様子を見て、口々に文句を言う。

 ナディアは群がって来る人狩りと剣戟を行いながら口を開く。

「ちょっと! 二人とも!」

 エルザもナディアと同じように群がって来る人狩りと剣戟を行いながら口を開く。

「乳繰り合ってないで、こっち手伝ってよ!」



 民家を略奪していた人狩りの一人が、アレクたちが戦闘している屋外の騒音を聞きつけ、家屋から出てきて仲間に尋ねる。

「何だ? 何かあったのか?」

「襲撃らしい」

「ゴズフレズ軍か!?」

 くだんの人狩りは、戦闘しているアレクたちを見て驚く。

 次々に彼らの仲間の人狩りたちを斬り伏せる先頭の騎士は、淡い青白い光を放つ魔力を帯びた長剣を振るい、ミスリルの騎士鎧を着こんでいた。

 人狩りの一人は、口を開く。

「ミスリルの騎士鎧に、魔力を帯びた長剣!? 貧乏臭いゴズフレズの軍じゃない! あれは帝国軍の部隊じゃないのか?」

「て、帝国軍!?」

「まさか!? 帝国騎士(ライヒス・リッター)か!?」

 バレンシュテット帝国皇帝ラインハルトは、帝国内の奴隷制度を廃止して奴隷貿易を禁止し、違反者は情け容赦無く死刑にしていた。

 帝国軍と帝国騎士(ライヒス・リッター)は、その皇帝ラインハルトの手先であった。

 人狩りや奴隷商人たちにとって、皇帝と帝国軍、特に賄賂も脅しも通用しない帝国騎士(ライヒス・リッター)は、恐怖の対象であり最悪の相手であった。

 『人狩り』は奴隷貿易によって、そこらの野盗より金回りが良い分、質の良い装備をしており、野盗よりも戦力的に強力ではあったが、正規の軍隊である帝国軍の装備や練度、戦力には全く及ばないものであった。



 アレクたちが帝国軍の部隊だという噂話が村を襲っている人狩り達の間に広がり、人狩り達は浮き足立って、我先にと村から逃げ出し始める。

 アレクは、両腕を切り落とした人狩りの一人を捕まえると尋問する。

「お前達の首領はどこだ!? どこにいる? 捕まえた人々を解放しろ!」

「首領は村の酒場だ! 頼む! 助けてくれ!」

 アレクは捕まえた人狩りの喉に長剣を突き立てると、胴体を蹴り倒して人狩りの死体から長剣を引き抜く。 

 アレクは小隊の仲間たちに号令を掛ける。

「人狩りの首領は、村の酒場だ! みんな、行くぞ!」

「おおっ!」

 

 村の酒場の入り口前にアレクたちは集まる。

 アルは、エルザとナディアに向かって軽口を叩く。

「お前ら、随分と人狩りの奴らにモテていたんじゃないの?」

 アルの軽口にナディアは不満気に答える。

「あんな連中、私のタイプじゃないわ!」

 エルザもナディアに続く。

「私だってそうよ! 私は、アレクと『()()()()()()』はするけど、不特定多数と『()()()()()()』はしないの!」

 アルは、エルザをからかう。

「お前、いつも発情しているのに。そうなのか?」

 エルザは、ムキになってアルに答える。

「私は、清純派の獣耳(けもみみ)アイドルなの! あんなにたくさん相手にしたら、あそこがガバガバになっちゃうじゃない!」

 アレクは、アルとエルザのやり取りを聞いて、二人をたしなめる。

「作戦中だ。その辺にしておけよ。……酒場の中に踏み込むぞ!」

 アレクたちユニコーン小隊は、アレクを先頭に村の酒場の入り口から中に踏み込む。



 夕暮れが近くなった薄暮時の酒場の中は、薄暗くなっており、アレクたちの耳に女の悲鳴とすすり泣きが聞こえてくる。

 酒場の中には、人狩りの首領と幹部達が数人おり、捕まえた村の若い女の子達に暴行を加えていた最中であった。

 酒場の片隅には、女の子達が集められ、うずくまって泣いていたり、愕然として両腕で胸を隠す様に自分の両腕を掴んだまま、床の上に座り込んでいた。




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 人狩りの集団は、ナタリーの魔法で仲間が火達磨になったことで狼狽える。
「何だ? あのガキども?」
「二人やられたぞ!」
「魔導師がいるのか?」
 アレクは、狼狽える人狩りの一人に向かって駆け寄ると、大上段から長剣ゾーリンゲン・ツヴァイハンダーを振り下ろす。
 淡く青白く輝く魔力が込められた刀身は、人狩りの一人の胴体を容易く一刀両断する。
 アレクは返す刀でもう一人の人狩りに斬り付け、その首を斬り飛ばした。
 アレクは、皮鎧ごと人間を容易く切り裂くゾーリンゲン・ツヴァイハンダーの切れ味に驚く。
(凄い! まるで藁の束を斬っているようだ!) 
 三人目の人狩りは、手にしていた棍棒でアレクに殴り掛る。
 アレクには、必死の形相で殴り掛って来る三人目の人狩りの動きが、非常にゆっくりしたものに見える。
(これが父上や兄上に『|見《・》|え《・》|て《・》|い《・》|た《・》|世《・》|界《・》』。|上級騎士《パラディン》の『見切り』の力! ……まるで『コマ送りの寸劇』を見ているようだ)
 アレクは、振り下ろされてきた棍棒の一撃を避けると、ゾーリンゲン・ツヴァイハンダーで殴り掛って来た人狩りの首を斬り飛ばした。
 アレクは、近接戦最強と言われる上級職である|上級騎士《パラディン》になった自分の力と、父ラインハルトから贈られたゾーリンゲン・ツヴァイハンダーの力を改めて認識する。
(いける! いけるぞ! 相手が何人いようと、全く負ける気がしない!)
 新手の人狩りが物陰から現れ、アレクの後ろに回り込むが、ルイーゼがその前に立ち塞がる。
 アレクの背中は、ルイーゼが守っていた。
 後ろからアレクを襲おうとしていた人狩りは、突然、目の前に現れたルイーゼに驚愕する。
「なっ!?」
 ルイーゼは、装備している右手の手甲の爪を人狩りの顔に突き立てると、一気に腹まで右手を振り下ろす。
 ルイーゼの手甲から伸びる四本のミスリルの刃は、人狩りの顔から胴体までを縦四列に切り裂く。
 アレクとルイーゼは、次々と人狩り達を斬り伏せて突き進み、ユニコーン小隊の仲間たちが先陣を切るアレクに続く。
「うぉおおお!」
 アルは、雄たけびを上げながら|斧槍《ハルバード》を水平に振るい、二人の人狩りを斬り伏せると、傍らでトゥルムも|三叉槍《トライデント》で人狩りを倒していた。 
「おりゃあああ!」
 エルザも両手剣を振るい、ナディアもレイピアの派手な立ち回りで人狩り達を次々と斬り伏せていく。
 人狩りの集団がビキニアーマーで肌の露出の多いエルザと、|布《クロース・》|鎧《アーマー》のスリットから太腿が見え、裾を|開《はだ》けて黒い下着をチラつかせながら戦うナディアに目を止める。
「女!?」
「女だ!!」
「へへ……。|獣人《ビーストマン》の猫女とエルフの女だ! 捕まえろ!」
「捕まえたら、オレが最初だぞ!」
「咥えさせるか? 突っ込むか?」
「早い者勝ちさ!」
 人狩りの集団は下卑た笑みを顔に浮かべ、エルザとナディアに群がって来る。
 エルザは、戦いながらナディアに尋ねる。
「ちょっと! ナディア! なんでコイツら、私達に群がって来るの!?」
「私と|貴女《あなた》のファンだからでしょ! ……エルザ、コイツらに捕まったら犯されるわよ! 本気出しなさい!」
「ユニコーンの|獣耳《けもみみ》アイドル・エルザちゃんの、身も心もアレクのものよ! お前らなんて、夜のオカズにもなってあげないんだから!」
 ナディアは、人狩りに手をかざして精霊魔法を唱える。
「|戦乙女の《ヴァルキリーズ・》|戦槍《ジャベリン》!」
 ナディアの身体からオーラのように湧き出た|魔法因子《オド》が掌の先に魔法陣を描き、|魔法素粒子《マナ》によって三つの光の玉が現れると、それらは光の矢に形を変え、人狩りの胸を貫く。
「キェエエエ!」
 ドミトリーは連続で旋風脚を放ち、エルザとナディアに群がる人狩り達を次々となぎ倒していく。
「婦女子を狙うとは、卑怯千万! 拙僧の鉄拳で成敗してくれるわ!」
 アレクたちの最後尾を進むナタリーに、物陰に潜んでいた二人の人狩り達が襲い掛かる。
「おっと! 上玉がいるじゃねぇか!」
「へへ。裸に剥いて楽しもうぜ」
「きゃあ!」
 ナタリーの悲鳴を聞いたアルは、ナタリーに襲い掛かる人狩りに向けて|斧槍《ハルバート》を持ち替えて投擲すると、|海賊剣《カトラス》を抜いてナタリーの元に駆け寄る。
「ナタリー!」
 アルが投擲した|斧槍《ハルバート》は、人狩りの一人の胸に深々と突き刺さる。
 アルは、ナタリーを背に庇うように人狩りとナタリーの間に割って入ると、手にしている|海賊剣《カトラス》で人狩りに斬り付ける。
「テメェ!」
 人狩りは、アルの|海賊剣《カトラス》を剣で受け止める。
「ガキが! 邪魔だ!」
 アルが傍に来たことで気を取り直したナタリーは、人狩りに向けて手をかざすと、魔法を唱える。
「|火炎球《ファイヤー・ボール》!!」
 ナタリーの|火炎球《ファイヤー・ボール》が人狩りの顔を直撃し、人狩りは炎に包まれる。
「がぁああああ!」
 アルは、炎に包まれた人狩りの胴体に|海賊剣《カトラス》を突き刺して止めを刺した。
 人狩りを倒したアルは、ナタリーを小脇に抱き抱えて、その身を案じる。
「ナタリー、大丈夫かい?」
 ナタリーは、アルの傍らでその顔を見上げながら答える。
「ありがとう、アル。大丈夫」
 ナディアとエルザは、アルとナタリーの様子を見て、口々に文句を言う。
 ナディアは群がって来る人狩りと剣戟を行いながら口を開く。
「ちょっと! 二人とも!」
 エルザもナディアと同じように群がって来る人狩りと剣戟を行いながら口を開く。
「乳繰り合ってないで、こっち手伝ってよ!」
 民家を略奪していた人狩りの一人が、アレクたちが戦闘している屋外の騒音を聞きつけ、家屋から出てきて仲間に尋ねる。
「何だ? 何かあったのか?」
「襲撃らしい」
「ゴズフレズ軍か!?」
 くだんの人狩りは、戦闘しているアレクたちを見て驚く。
 次々に彼らの仲間の人狩りたちを斬り伏せる先頭の騎士は、淡い青白い光を放つ魔力を帯びた長剣を振るい、ミスリルの騎士鎧を着こんでいた。
 人狩りの一人は、口を開く。
「ミスリルの騎士鎧に、魔力を帯びた長剣!? 貧乏臭いゴズフレズの軍じゃない! あれは帝国軍の部隊じゃないのか?」
「て、帝国軍!?」
「まさか!? |帝国騎士《ライヒス・リッター》か!?」
 バレンシュテット帝国皇帝ラインハルトは、帝国内の奴隷制度を廃止して奴隷貿易を禁止し、違反者は情け容赦無く死刑にしていた。
 帝国軍と|帝国騎士《ライヒス・リッター》は、その皇帝ラインハルトの手先であった。
 人狩りや奴隷商人たちにとって、皇帝と帝国軍、特に賄賂も脅しも通用しない|帝国騎士《ライヒス・リッター》は、恐怖の対象であり最悪の相手であった。
 『人狩り』は奴隷貿易によって、そこらの野盗より金回りが良い分、質の良い装備をしており、野盗よりも戦力的に強力ではあったが、正規の軍隊である帝国軍の装備や練度、戦力には全く及ばないものであった。
 アレクたちが帝国軍の部隊だという噂話が村を襲っている人狩り達の間に広がり、人狩り達は浮き足立って、我先にと村から逃げ出し始める。
 アレクは、両腕を切り落とした人狩りの一人を捕まえると尋問する。
「お前達の首領はどこだ!? どこにいる? 捕まえた人々を解放しろ!」
「首領は村の酒場だ! 頼む! 助けてくれ!」
 アレクは捕まえた人狩りの喉に長剣を突き立てると、胴体を蹴り倒して人狩りの死体から長剣を引き抜く。 
 アレクは小隊の仲間たちに号令を掛ける。
「人狩りの首領は、村の酒場だ! みんな、行くぞ!」
「おおっ!」
 村の酒場の入り口前にアレクたちは集まる。
 アルは、エルザとナディアに向かって軽口を叩く。
「お前ら、随分と人狩りの奴らにモテていたんじゃないの?」
 アルの軽口にナディアは不満気に答える。
「あんな連中、私のタイプじゃないわ!」
 エルザもナディアに続く。
「私だってそうよ! 私は、アレクと『|清《・》|純《・》|異《・》|性《・》|交《・》|遊《・》』はするけど、不特定多数と『|不《・》|純《・》|異《・》|性《・》|交《・》|遊《・》』はしないの!」
 アルは、エルザをからかう。
「お前、いつも発情しているのに。そうなのか?」
 エルザは、ムキになってアルに答える。
「私は、清純派の|獣耳《けもみみ》アイドルなの! あんなにたくさん相手にしたら、あそこがガバガバになっちゃうじゃない!」
 アレクは、アルとエルザのやり取りを聞いて、二人をたしなめる。
「作戦中だ。その辺にしておけよ。……酒場の中に踏み込むぞ!」
 アレクたちユニコーン小隊は、アレクを先頭に村の酒場の入り口から中に踏み込む。
 夕暮れが近くなった薄暮時の酒場の中は、薄暗くなっており、アレクたちの耳に女の悲鳴とすすり泣きが聞こえてくる。
 酒場の中には、人狩りの首領と幹部達が数人おり、捕まえた村の若い女の子達に暴行を加えていた最中であった。
 酒場の片隅には、女の子達が集められ、うずくまって泣いていたり、愕然として両腕で胸を隠す様に自分の両腕を掴んだまま、床の上に座り込んでいた。