第百六十二話 野営訓練(六)
ー/ー アルとナタリーは入浴を済ませ、二人は腕を組んで仲睦まじく歩きながら、浴場から他のメンバーのところへ戻って来る。
トゥルムがアルに話し掛ける。
「おぉ? アルも風呂に入って、スッキリした顔だな」
アレクがそうしたように、アルも苦笑いしながら答える。
「まぁね。……それじゃ、オレ達も寝るわ」
アルとナタリーは腕を組んだまま、ナタリーは腕を組むアルの腕に頬を寄せて、二人のテントへと向かって行った。
「次は、私達が行ってくるわね」
エルザがそう言うと、エルザとナディアの二人は浴場へと向かう。
二人は裸になって浴場に入ると、まず、ナディアがお湯で身体を流して、木の樽の浴槽に浸かる。
エルザは、湯沸かし器からお湯を汲んでくると、木の樽の浴槽に足していく。
浴槽に浸かるナディアがエルザにお礼を言う。
「ありがとう」
しばらくすると、ナディアは浴槽から上がって椅子に座り、身体を洗い始める。
交代するようにエルザがお湯で身体を流して浴槽に浸かる。
浴槽に浸かりながら、エルザはナディアに尋ねる。
「ねぇ、ナディア。『アレクの第二夫人になる』って、幸せだと思う?」
ナディアは、微笑みながら答える。
「私は、十分、幸せだと思うわ」
「そうなんだ」
ナディアは語り始める。
「アレクの実家は大金持ちだし、きっと、私やエルザにそれぞれメイドと執事付きのお屋敷を買ってくれるわ。……家事や掃除はメイド達がやってくれる。昼は、お茶会や刺しゅうをやって過ごして、夜は、アレクに抱かれて子作りに励んで。……十分、幸せじゃない? 私達の居るバレンシュテット帝国は、人間の国。そして、私達は人間じゃない。……その事を考えたらね」
エルザは、常にアレクの傍に居るルイーゼに対して、少し妬く気持ちがあった。
しかし、ナディアからの話を聞いて『人間』であるアレクとルイーゼ、『亜人』であるナディアと自分、『種族』という視点を改めて認識したエルザは、少し寂しそうに頷く。
「そうだよね」
ナディアは解説を続ける。
「人間の国だけど、帝国は良い国よ。豊かで治安が良くて奴隷制度も無く、皇帝が『種族間の融和』に取り組んで臣民に説いていて、貧困も疫病も戦乱にも無縁で、人間ではない私達も学校で教育も受けることが出来て」
エルザは疑問を口にする。
「帝国の他の国って、どうなの? 私は、トラキアくらいしか行った事無いなぁ」
ナディアが解説を続ける。
「エルザもトラキアを見たでしょ? ……貧困。疫病。戦乱。……あれが典型的な『帝国の外の世界』。……『帝国の外の世界』なんて悲惨よ。奴隷貿易と麻薬貿易、貧困と疫病と戦乱が蔓延しているだけじゃなく、亜人差別や奴隷制度が未だに存在していて、亜人は人として扱われないし、女は金で売り買いされる商品なの」
エルザが絶句する。
「……奴隷制度」
ナディアは吐き捨てるように告げる。
「……奴隷商人に捕まって、金で売り買いされて、鎖に繋がれながら、好きでもない男に毎晩犯されて、そいつの子を孕むなんて、考えただけでもゾッとするわ」
エルザも重苦しく答える。
「それは……、私も嫌だなぁ」
ナディアは、満天の星空を見上げながら、明るい口調に変えて続ける。
「私は、アレクたちと巡り合えて良かったと思う。士官学校も、この小隊の皆も、私達を名前で呼んでくれるでしょ? 『エルザ』、『ナディア』って。……『獣人』や『エルフ』じゃなくて」
「そうね」
「人間ではない私達が、人間の国で、人間の貴族や大金持ちの正妻になろうなんて、まず無理でしょ? ……残酷にできているこの世界で、『愛してる』と言ってくれて、守ってくれる、養ってくれる男に巡り合えたんだから、感謝しなきゃね」
エルザは、真剣にナディアの話を聞き入る。
ナディアは続ける。
「……この世界が残酷にできていることを考えたら、士官学校で教育を受けながら暮らして、将来は、アレクの第一夫人じゃなくても、第二夫人、第三夫人で十分、幸せだと思うのよ」
エルザもナディアと同じように、満天の星空を見上げて明るい口調で口を開く。
「そうよね! 幸せよね! アレクに養って貰って、メイド付きのお屋敷に住んで、一日三食、好きな物を好きなだけ食べて、夜は、あの立派なオチ●●ンで突かれまくって、イカされまくって!」
ナディアは、微笑みながらエルザの方を見て話す。
「私は、アレクの第二夫人になったら、静かな森の中にお屋敷を建てて貰って、庭に小さな花畑と菜園を作ろうと思っているの。……産まれてくる子供達と一緒にお花を植えたり、野菜を収穫したり」
エルザも笑顔で答える。
「素敵ね~。じゃあ、私もアレクの第三夫人になったら、お屋敷の庭に果樹園でも作ろうかな。……桃とかブドウを植えて、子供達と収穫するの!」
「良いじゃない。それじゃ、私の菜園とエルザの果樹園で収穫したものを分け合いましょ」
エルザは満面の笑みで答える。
「良いね~。交換しましょ!」
エルザとナディアは、互いの明るい将来の夢を語り合っていた。
満天の星空の下、さざ波の音だけが繰り返し響く、残酷にできているこの世界の中で。
トゥルムがアルに話し掛ける。
「おぉ? アルも風呂に入って、スッキリした顔だな」
アレクがそうしたように、アルも苦笑いしながら答える。
「まぁね。……それじゃ、オレ達も寝るわ」
アルとナタリーは腕を組んだまま、ナタリーは腕を組むアルの腕に頬を寄せて、二人のテントへと向かって行った。
「次は、私達が行ってくるわね」
エルザがそう言うと、エルザとナディアの二人は浴場へと向かう。
二人は裸になって浴場に入ると、まず、ナディアがお湯で身体を流して、木の樽の浴槽に浸かる。
エルザは、湯沸かし器からお湯を汲んでくると、木の樽の浴槽に足していく。
浴槽に浸かるナディアがエルザにお礼を言う。
「ありがとう」
しばらくすると、ナディアは浴槽から上がって椅子に座り、身体を洗い始める。
交代するようにエルザがお湯で身体を流して浴槽に浸かる。
浴槽に浸かりながら、エルザはナディアに尋ねる。
「ねぇ、ナディア。『アレクの第二夫人になる』って、幸せだと思う?」
ナディアは、微笑みながら答える。
「私は、十分、幸せだと思うわ」
「そうなんだ」
ナディアは語り始める。
「アレクの実家は大金持ちだし、きっと、私やエルザにそれぞれメイドと執事付きのお屋敷を買ってくれるわ。……家事や掃除はメイド達がやってくれる。昼は、お茶会や刺しゅうをやって過ごして、夜は、アレクに抱かれて子作りに励んで。……十分、幸せじゃない? 私達の居るバレンシュテット帝国は、人間の国。そして、私達は人間じゃない。……その事を考えたらね」
エルザは、常にアレクの傍に居るルイーゼに対して、少し妬く気持ちがあった。
しかし、ナディアからの話を聞いて『人間』であるアレクとルイーゼ、『亜人』であるナディアと自分、『種族』という視点を改めて認識したエルザは、少し寂しそうに頷く。
「そうだよね」
ナディアは解説を続ける。
「人間の国だけど、帝国は良い国よ。豊かで治安が良くて奴隷制度も無く、皇帝が『種族間の融和』に取り組んで臣民に説いていて、貧困も疫病も戦乱にも無縁で、人間ではない私達も学校で教育も受けることが出来て」
エルザは疑問を口にする。
「帝国の他の国って、どうなの? 私は、トラキアくらいしか行った事無いなぁ」
ナディアが解説を続ける。
「エルザもトラキアを見たでしょ? ……貧困。疫病。戦乱。……あれが典型的な『帝国の外の世界』。……『帝国の外の世界』なんて悲惨よ。奴隷貿易と麻薬貿易、貧困と疫病と戦乱が蔓延しているだけじゃなく、亜人差別や奴隷制度が未だに存在していて、亜人は人として扱われないし、女は金で売り買いされる商品なの」
エルザが絶句する。
「……奴隷制度」
ナディアは吐き捨てるように告げる。
「……奴隷商人に捕まって、金で売り買いされて、鎖に繋がれながら、好きでもない男に毎晩犯されて、そいつの子を孕むなんて、考えただけでもゾッとするわ」
エルザも重苦しく答える。
「それは……、私も嫌だなぁ」
ナディアは、満天の星空を見上げながら、明るい口調に変えて続ける。
「私は、アレクたちと巡り合えて良かったと思う。士官学校も、この小隊の皆も、私達を名前で呼んでくれるでしょ? 『エルザ』、『ナディア』って。……『獣人』や『エルフ』じゃなくて」
「そうね」
「人間ではない私達が、人間の国で、人間の貴族や大金持ちの正妻になろうなんて、まず無理でしょ? ……残酷にできているこの世界で、『愛してる』と言ってくれて、守ってくれる、養ってくれる男に巡り合えたんだから、感謝しなきゃね」
エルザは、真剣にナディアの話を聞き入る。
ナディアは続ける。
「……この世界が残酷にできていることを考えたら、士官学校で教育を受けながら暮らして、将来は、アレクの第一夫人じゃなくても、第二夫人、第三夫人で十分、幸せだと思うのよ」
エルザもナディアと同じように、満天の星空を見上げて明るい口調で口を開く。
「そうよね! 幸せよね! アレクに養って貰って、メイド付きのお屋敷に住んで、一日三食、好きな物を好きなだけ食べて、夜は、あの立派なオチ●●ンで突かれまくって、イカされまくって!」
ナディアは、微笑みながらエルザの方を見て話す。
「私は、アレクの第二夫人になったら、静かな森の中にお屋敷を建てて貰って、庭に小さな花畑と菜園を作ろうと思っているの。……産まれてくる子供達と一緒にお花を植えたり、野菜を収穫したり」
エルザも笑顔で答える。
「素敵ね~。じゃあ、私もアレクの第三夫人になったら、お屋敷の庭に果樹園でも作ろうかな。……桃とかブドウを植えて、子供達と収穫するの!」
「良いじゃない。それじゃ、私の菜園とエルザの果樹園で収穫したものを分け合いましょ」
エルザは満面の笑みで答える。
「良いね~。交換しましょ!」
エルザとナディアは、互いの明るい将来の夢を語り合っていた。
満天の星空の下、さざ波の音だけが繰り返し響く、残酷にできているこの世界の中で。
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トゥルムがアルに話し掛ける。
「おぉ? アルも風呂に入って、スッキリした顔だな」
アレクがそうしたように、アルも苦笑いしながら答える。
「まぁね。……それじゃ、オレ達も寝るわ」
アルとナタリーは腕を組んだまま、ナタリーは腕を組むアルの腕に頬を寄せて、二人のテントへと向かって行った。
「次は、私達が行ってくるわね」
エルザがそう言うと、エルザとナディアの二人は浴場へと向かう。
二人は裸になって浴場に入ると、まず、ナディアがお湯で身体を流して、木の樽の浴槽に浸かる。
エルザは、湯沸かし器からお湯を汲んでくると、木の樽の浴槽に足していく。
浴槽に浸かるナディアがエルザにお礼を言う。
「ありがとう」
しばらくすると、ナディアは浴槽から上がって椅子に座り、身体を洗い始める。
交代するようにエルザがお湯で身体を流して浴槽に浸かる。
浴槽に浸かりながら、エルザはナディアに尋ねる。
「ねぇ、ナディア。『アレクの第二夫人になる』って、幸せだと思う?」
ナディアは、微笑みながら答える。
「私は、十分、幸せだと思うわ」
「そうなんだ」
ナディアは語り始める。
「アレクの実家は大金持ちだし、きっと、私やエルザにそれぞれメイドと執事付きのお屋敷を買ってくれるわ。……家事や掃除はメイド達がやってくれる。昼は、お茶会や刺しゅうをやって過ごして、夜は、アレクに抱かれて子作りに励んで。……十分、幸せじゃない? 私達の居るバレンシュテット帝国は、|人《・》|間《・》|の《・》|国《・》。そして、|私《・》|達《・》|は《・》|人《・》|間《・》|じ《・》|ゃ《・》|な《・》|い《・》。……その事を考えたらね」
エルザは、常にアレクの傍に居るルイーゼに対して、少し妬く気持ちがあった。
しかし、ナディアからの話を聞いて『人間』であるアレクとルイーゼ、『亜人』であるナディアと自分、『種族』という視点を改めて認識したエルザは、少し寂しそうに頷く。
「そうだよね」
ナディアは解説を続ける。
「人間の国だけど、帝国は良い国よ。豊かで治安が良くて奴隷制度も無く、皇帝が『種族間の融和』に取り組んで臣民に説いていて、貧困も疫病も戦乱にも無縁で、人間ではない私達も学校で教育も受けることが出来て」
エルザは疑問を口にする。
「帝国の他の国って、どうなの? 私は、トラキアくらいしか行った事無いなぁ」
ナディアが解説を続ける。
「エルザもトラキアを見たでしょ? ……貧困。疫病。戦乱。……あれが典型的な『帝国の外の世界』。……『帝国の外の世界』なんて悲惨よ。奴隷貿易と麻薬貿易、貧困と疫病と戦乱が蔓延しているだけじゃなく、亜人差別や奴隷制度が未だに存在していて、亜人は人として扱われないし、女は金で売り買いされる商品なの」
エルザが絶句する。
「……奴隷制度」
ナディアは吐き捨てるように告げる。
「……奴隷商人に捕まって、金で売り買いされて、鎖に繋がれながら、好きでもない男に毎晩犯されて、そいつの子を孕むなんて、考えただけでもゾッとするわ」
エルザも重苦しく答える。
「それは……、私も嫌だなぁ」
ナディアは、満天の星空を見上げながら、明るい口調に変えて続ける。
「私は、アレクたちと巡り合えて良かったと思う。|士官学校《このがっこう》も、この小隊の皆も、私達を名前で呼んでくれるでしょ? 『エルザ』、『ナディア』って。……『|獣人《ビーストマン》』や『エルフ』じゃなくて」
「そうね」
「人間ではない私達が、人間の国で、人間の貴族や大金持ちの正妻になろうなんて、まず無理でしょ? ……残酷にできているこの世界で、『愛してる』と言ってくれて、守ってくれる、養ってくれる|男《アレク》に巡り合えたんだから、感謝しなきゃね」
エルザは、真剣にナディアの話を聞き入る。
ナディアは続ける。
「……この世界が残酷にできていることを考えたら、|士官学校《ここ》で教育を受けながら暮らして、将来は、アレクの第一夫人じゃなくても、第二夫人、第三夫人で十分、幸せだと思うのよ」
エルザもナディアと同じように、満天の星空を見上げて明るい口調で口を開く。
「そうよね! 幸せよね! アレクに養って貰って、メイド付きのお屋敷に住んで、一日三食、好きな物を好きなだけ食べて、夜は、あの立派なオチ●●ンで突かれまくって、イカされまくって!」
ナディアは、微笑みながらエルザの方を見て話す。
「私は、アレクの第二夫人になったら、静かな森の中にお屋敷を建てて貰って、庭に小さな花畑と菜園を作ろうと思っているの。……産まれてくる子供達と一緒にお花を植えたり、野菜を収穫したり」
エルザも笑顔で答える。
「素敵ね~。じゃあ、私もアレクの第三夫人になったら、お屋敷の庭に果樹園でも作ろうかな。……桃とかブドウを植えて、子供達と収穫するの!」
「良いじゃない。それじゃ、私の菜園とエルザの果樹園で収穫したものを分け合いましょ」
エルザは満面の笑みで答える。
「良いね~。交換しましょ!」
エルザとナディアは、互いの明るい将来の夢を語り合っていた。
満天の星空の下、さざ波の音だけが繰り返し響く、残酷にできているこの世界の中で。