第百三十九話 第九試合ユニコーン小隊vsフェンリル小隊
ー/ー--翌朝。
ルイーゼは、いつも通りアレクの腕の中で爽やかに目覚める。
傍らでは、アレクが穏やかな寝息を立てており、ルイーゼはアレクの寝顔を眺める。
(昨夜は激しかったから、このまま寝かせておいてあげたいけど……)
ルイーゼは、キスしてアレクを起こす。
「んっ……。もう、朝か」
ルイーゼは、目覚めたアレクの額を撫でながら微笑む。
「おはよう。……よく眠れた?」
「……うん」
アレクは、ルイーゼの仕草に母ナナイの面影を重ねる。
「ルイーゼ。……なんか、母上みたいだな」
ルイーゼは、アレクから敬愛する皇妃ナナイに例えられ、素直に嬉しかった。
ルイーゼは、微笑みながら答える。
「そう? 皇妃様に例えられるなんて、嬉しいわ」
これには理由があった。
頬に両手を添えてキスする。
両腕で頭を胸に抱き締める。
ルイーゼが知る全ての愛情表現は、ルイーゼ自身が幼い頃にアレクの母であるナナイからして貰ったことであった。
ルイーゼのアレクに対する愛情表現は、無意識の内にナナイと同じものになっていた。
ルイーゼはベッドから出ると、机の上の包みを指し示して、アレクに告げる。
「そう言えば、昨日、皇妃様からフクロウ便で小包が届いたのよ」
アレクもベッドから起き上がる。
ルイーゼは、ナナイからの小包を開ける。
小包の中身は、羊皮紙に綴られた手紙と、靴が入るほどの大きさの化粧箱であった。
「……手紙と箱?」
ルイーゼは、そう呟くと、化粧箱を開けて中を見る。
箱の中には、肘から先の腕に装着し、手の甲まで覆う黒い手甲が一組が入っていた。
その手甲の先には、熊手状に先が湾曲した鋭い刃物の爪が四本付いていた。
ルイーゼが手に取ってみると、手甲は羽のように軽く、ミスリル製だと思われた。
「手甲!?」
アレクは、ルイーゼが呟いた言葉を復唱する。
「手甲?」
ルイーゼは、ナナイからの手紙の封印を切って、羊皮紙に綴られた手紙を読む。
「ええっ!? 皇妃様が私に? ……『暗殺者・忍者用の装備』って書いてあるわ」
「そうなんだ」
ルイーゼは、羊皮紙の手紙をベッドから起き上がったアレクに渡すと、早速、手甲を自分の両腕に装備して、あれこれ手を動かしてみる。
「手首は、ちゃんと動くのね……。爪があっても、両手は使える……」
アレクは、羊皮紙の手紙の一節を読み上げる。
「……『革命党秘密警察の暗殺部隊が使用していた鉤爪をヒントに、帝国軍造兵廠が屋内戦向けに研究開発して試作した装備』……だってさ」
ルイーゼは手甲を装備すると、上機嫌で部屋の隅に向かって歩く。
「皇妃様から頂いたのよ。試作品だって構わないわ」
そう言うと、ルイーゼは部屋の隅を背にして両腕と両足を広げ、手甲の熊手のような爪と足を使って、壁を天井まで、よじ登ってみせる。
壁をよじ登ったルイーゼの姿は、まるで部屋の隅の天井で獲物を狙う蜘蛛のようであった。
ルイーゼは、ナナイからの贈り物に嬉々として喜び、嬉しそうにアレクに告げる。
「見て! この手甲、凄い! 壁にも登れる!」
アレクは、裸のまま両手と両足を広げて部屋の隅の天井に張り付くルイーゼの姿を見て、恥ずかしそうにルイーゼに告げる。
「ルイーゼ、プレゼントが嬉しいのは判るけど……何か着ろよ。丸見えだぞ?」
アレクの位置からは、ルイーゼの秘所が丸見えであった。
ルイーゼは、赤面して慌てて両膝を閉じると、壁から降りる。
「あん! もぅ~、えっちなんだから!」
床に降りたルイーゼは、手甲を外して箱にしまうと、ベッドに腰掛けるアレクの隣に座り、アレクの耳元で囁く。
「……アレク、オチ●●ン勃ってる。……したくなったの?」
アレクは、苦笑いしながら答える。
「いや、試合に勝ってからにしよう」
「そうね」
アレクとルイーゼは、装備を整え支度すると、食堂へ向かった。
アレクたちユニコーン小隊は、朝食を済ませると試合会場へ向かった。
アルは口を開く。
「今度は第九試合か。……準々決勝だな。オレたちの対戦相手は、フェンリル小隊だ」
アレクが答える。
「フェンリル小隊は、戦士四人、斥候一人、魔導師一人、僧侶一人、精霊使い一人。……戦力的に若干、ややこっちが上くらいで、オレたちと同じ学年で同じくらい実戦経験がある。今までの雑魚な先輩方のようには、いかないだろう」
トゥルムは口を開く。
「手強いかもしれないな」
ドミトリーは答える。
「手強いだろう。相手も我々と同じくらいの戦力と見るべきだ」
アレクたちは、試合会場に到着する。
アレクたちの前に案内役の女性が現れ、口を開く。
「第九試合を行う小隊は、試合会場『屋内戦』へ移動して下さい!」
試合会場を見たアルが呟く。
「今度の試合は、『屋内戦』か……」
第二回戦となる試合会場は、屋内を模した造りになっており、一言で表せば『天井の無い迷路』であった。
互いに奪取しあう、それぞれの小隊の旗が立っている場所は、七メートル四方くらいの小部屋になっているほか、通路の幅は二メートル半ほどで、ドアの無い、いくつもの小部屋が造られていた。
アレクたちが旗のある本陣まで移動すると、アレクが作戦を提示する。
「屋内戦は、身軽に動けるメンバーで攻めようと思う。小隊を二手に分けて、オレ、ルイーゼ、ナディア、ドミトリーの四人で攻撃。アルとトゥルム、ナタリー、エルザは、旗を守りながら、魔法での支援を頼む。防衛戦の指揮はアルに頼む」
アルは納得したように答える。
「なるほど……機動力重視か。もし、相手が攻めてきたら、こっちは、オレとトゥルム、エルザで盾を構えて壁になって、ナタリーの魔法で相手を叩けば良いんだな」
アレは笑顔で答える。
「そうだ。こっちは小隊八人の内、七人が近接戦闘が可能だから、戦場に合わせて柔軟に対応できる」
エルザが軽口を叩く。
「今度は、待ってるだけで楽ね! 前回は、盾を構えたまま、敵陣まで走ったからね」
旗の防御担当になったトゥルムは、少し残念そうであった。
「せっかく柄の短いショートスピアを用意したのに、出番無しか」
トゥルムの持つ大盾の内側に、短いショートスピアが取り付けられていた。
ドミトリーはトゥルムを励ます。
「旗の防御も重要だ。勝敗は、この旗の奪取で決まるのだ」
ルイーゼは、ナナイから贈られた手甲を両手に装備すると仲間たちに告げる。
「そろそろ、始まるわ!」
試合開始の合図の空砲が鳴る。
『開戦』の時であった。
ルイーゼは、いつも通りアレクの腕の中で爽やかに目覚める。
傍らでは、アレクが穏やかな寝息を立てており、ルイーゼはアレクの寝顔を眺める。
(昨夜は激しかったから、このまま寝かせておいてあげたいけど……)
ルイーゼは、キスしてアレクを起こす。
「んっ……。もう、朝か」
ルイーゼは、目覚めたアレクの額を撫でながら微笑む。
「おはよう。……よく眠れた?」
「……うん」
アレクは、ルイーゼの仕草に母ナナイの面影を重ねる。
「ルイーゼ。……なんか、母上みたいだな」
ルイーゼは、アレクから敬愛する皇妃ナナイに例えられ、素直に嬉しかった。
ルイーゼは、微笑みながら答える。
「そう? 皇妃様に例えられるなんて、嬉しいわ」
これには理由があった。
頬に両手を添えてキスする。
両腕で頭を胸に抱き締める。
ルイーゼが知る全ての愛情表現は、ルイーゼ自身が幼い頃にアレクの母であるナナイからして貰ったことであった。
ルイーゼのアレクに対する愛情表現は、無意識の内にナナイと同じものになっていた。
ルイーゼはベッドから出ると、机の上の包みを指し示して、アレクに告げる。
「そう言えば、昨日、皇妃様からフクロウ便で小包が届いたのよ」
アレクもベッドから起き上がる。
ルイーゼは、ナナイからの小包を開ける。
小包の中身は、羊皮紙に綴られた手紙と、靴が入るほどの大きさの化粧箱であった。
「……手紙と箱?」
ルイーゼは、そう呟くと、化粧箱を開けて中を見る。
箱の中には、肘から先の腕に装着し、手の甲まで覆う黒い手甲が一組が入っていた。
その手甲の先には、熊手状に先が湾曲した鋭い刃物の爪が四本付いていた。
ルイーゼが手に取ってみると、手甲は羽のように軽く、ミスリル製だと思われた。
「手甲!?」
アレクは、ルイーゼが呟いた言葉を復唱する。
「手甲?」
ルイーゼは、ナナイからの手紙の封印を切って、羊皮紙に綴られた手紙を読む。
「ええっ!? 皇妃様が私に? ……『暗殺者・忍者用の装備』って書いてあるわ」
「そうなんだ」
ルイーゼは、羊皮紙の手紙をベッドから起き上がったアレクに渡すと、早速、手甲を自分の両腕に装備して、あれこれ手を動かしてみる。
「手首は、ちゃんと動くのね……。爪があっても、両手は使える……」
アレクは、羊皮紙の手紙の一節を読み上げる。
「……『革命党秘密警察の暗殺部隊が使用していた鉤爪をヒントに、帝国軍造兵廠が屋内戦向けに研究開発して試作した装備』……だってさ」
ルイーゼは手甲を装備すると、上機嫌で部屋の隅に向かって歩く。
「皇妃様から頂いたのよ。試作品だって構わないわ」
そう言うと、ルイーゼは部屋の隅を背にして両腕と両足を広げ、手甲の熊手のような爪と足を使って、壁を天井まで、よじ登ってみせる。
壁をよじ登ったルイーゼの姿は、まるで部屋の隅の天井で獲物を狙う蜘蛛のようであった。
ルイーゼは、ナナイからの贈り物に嬉々として喜び、嬉しそうにアレクに告げる。
「見て! この手甲、凄い! 壁にも登れる!」
アレクは、裸のまま両手と両足を広げて部屋の隅の天井に張り付くルイーゼの姿を見て、恥ずかしそうにルイーゼに告げる。
「ルイーゼ、プレゼントが嬉しいのは判るけど……何か着ろよ。丸見えだぞ?」
アレクの位置からは、ルイーゼの秘所が丸見えであった。
ルイーゼは、赤面して慌てて両膝を閉じると、壁から降りる。
「あん! もぅ~、えっちなんだから!」
床に降りたルイーゼは、手甲を外して箱にしまうと、ベッドに腰掛けるアレクの隣に座り、アレクの耳元で囁く。
「……アレク、オチ●●ン勃ってる。……したくなったの?」
アレクは、苦笑いしながら答える。
「いや、試合に勝ってからにしよう」
「そうね」
アレクとルイーゼは、装備を整え支度すると、食堂へ向かった。
アレクたちユニコーン小隊は、朝食を済ませると試合会場へ向かった。
アルは口を開く。
「今度は第九試合か。……準々決勝だな。オレたちの対戦相手は、フェンリル小隊だ」
アレクが答える。
「フェンリル小隊は、戦士四人、斥候一人、魔導師一人、僧侶一人、精霊使い一人。……戦力的に若干、ややこっちが上くらいで、オレたちと同じ学年で同じくらい実戦経験がある。今までの雑魚な先輩方のようには、いかないだろう」
トゥルムは口を開く。
「手強いかもしれないな」
ドミトリーは答える。
「手強いだろう。相手も我々と同じくらいの戦力と見るべきだ」
アレクたちは、試合会場に到着する。
アレクたちの前に案内役の女性が現れ、口を開く。
「第九試合を行う小隊は、試合会場『屋内戦』へ移動して下さい!」
試合会場を見たアルが呟く。
「今度の試合は、『屋内戦』か……」
第二回戦となる試合会場は、屋内を模した造りになっており、一言で表せば『天井の無い迷路』であった。
互いに奪取しあう、それぞれの小隊の旗が立っている場所は、七メートル四方くらいの小部屋になっているほか、通路の幅は二メートル半ほどで、ドアの無い、いくつもの小部屋が造られていた。
アレクたちが旗のある本陣まで移動すると、アレクが作戦を提示する。
「屋内戦は、身軽に動けるメンバーで攻めようと思う。小隊を二手に分けて、オレ、ルイーゼ、ナディア、ドミトリーの四人で攻撃。アルとトゥルム、ナタリー、エルザは、旗を守りながら、魔法での支援を頼む。防衛戦の指揮はアルに頼む」
アルは納得したように答える。
「なるほど……機動力重視か。もし、相手が攻めてきたら、こっちは、オレとトゥルム、エルザで盾を構えて壁になって、ナタリーの魔法で相手を叩けば良いんだな」
アレは笑顔で答える。
「そうだ。こっちは小隊八人の内、七人が近接戦闘が可能だから、戦場に合わせて柔軟に対応できる」
エルザが軽口を叩く。
「今度は、待ってるだけで楽ね! 前回は、盾を構えたまま、敵陣まで走ったからね」
旗の防御担当になったトゥルムは、少し残念そうであった。
「せっかく柄の短いショートスピアを用意したのに、出番無しか」
トゥルムの持つ大盾の内側に、短いショートスピアが取り付けられていた。
ドミトリーはトゥルムを励ます。
「旗の防御も重要だ。勝敗は、この旗の奪取で決まるのだ」
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ルイーゼは、キスしてアレクを起こす。
「んっ……。もう、朝か」
ルイーゼは、目覚めたアレクの額を撫でながら微笑む。
「おはよう。……よく眠れた?」
「……うん」
アレクは、ルイーゼの仕草に母ナナイの面影を重ねる。
「ルイーゼ。……なんか、母上みたいだな」
ルイーゼは、アレクから敬愛する皇妃ナナイに例えられ、素直に嬉しかった。
ルイーゼは、微笑みながら答える。
「そう? 皇妃様に例えられるなんて、嬉しいわ」
これには理由があった。
頬に両手を添えてキスする。
両腕で頭を胸に抱き締める。
ルイーゼが知る全ての愛情表現は、ルイーゼ自身が幼い頃にアレクの母であるナナイからして貰ったことであった。
ルイーゼのアレクに対する愛情表現は、無意識の内にナナイと同じものになっていた。
ルイーゼはベッドから出ると、机の上の包みを指し示して、アレクに告げる。
「そう言えば、昨日、皇妃様からフクロウ便で小包が届いたのよ」
アレクもベッドから起き上がる。
ルイーゼは、ナナイからの小包を開ける。
小包の中身は、羊皮紙に綴られた手紙と、靴が入るほどの大きさの化粧箱であった。
「……手紙と箱?」
ルイーゼは、そう呟くと、化粧箱を開けて中を見る。
箱の中には、肘から先の腕に装着し、手の甲まで覆う黒い手甲が一組が入っていた。
その手甲の先には、熊手状に先が湾曲した鋭い刃物の爪が四本付いていた。
ルイーゼが手に取ってみると、手甲は羽のように軽く、ミスリル製だと思われた。
「手甲!?」
アレクは、ルイーゼが呟いた言葉を復唱する。
「手甲?」
ルイーゼは、ナナイからの手紙の封印を切って、羊皮紙に綴られた手紙を読む。
「ええっ!? 皇妃様が私に? ……『|暗殺者《アサシン》・忍者用の装備』って書いてあるわ」
「そうなんだ」
ルイーゼは、羊皮紙の手紙をベッドから起き上がったアレクに渡すと、早速、手甲を自分の両腕に装備して、あれこれ手を動かしてみる。
「手首は、ちゃんと動くのね……。爪があっても、両手は使える……」
アレクは、羊皮紙の手紙の一節を読み上げる。
「……『革命党秘密警察の暗殺部隊が使用していた鉤爪をヒントに、帝国軍|造兵廠《ぞうへいしょう》が屋内戦向けに研究開発して試作した装備』……だってさ」
ルイーゼは手甲を装備すると、上機嫌で部屋の隅に向かって歩く。
「皇妃様から頂いたのよ。試作品だって構わないわ」
そう言うと、ルイーゼは部屋の隅を背にして両腕と両足を広げ、手甲の熊手のような爪と足を使って、壁を天井まで、よじ登ってみせる。
壁をよじ登ったルイーゼの姿は、まるで部屋の隅の天井で獲物を狙う蜘蛛のようであった。
ルイーゼは、ナナイからの贈り物に嬉々として喜び、嬉しそうにアレクに告げる。
「見て! この手甲、凄い! 壁にも登れる!」
アレクは、裸のまま両手と両足を広げて部屋の隅の天井に張り付くルイーゼの姿を見て、恥ずかしそうにルイーゼに告げる。
「ルイーゼ、プレゼントが嬉しいのは判るけど……何か着ろよ。丸見えだぞ?」
アレクの位置からは、ルイーゼの秘所が丸見えであった。
ルイーゼは、赤面して慌てて両膝を閉じると、壁から降りる。
「あん! もぅ~、えっちなんだから!」
床に降りたルイーゼは、手甲を外して箱にしまうと、ベッドに腰掛けるアレクの隣に座り、アレクの耳元で囁く。
「……アレク、オチ●●ン勃ってる。……したくなったの?」
アレクは、苦笑いしながら答える。
「いや、試合に勝ってからにしよう」
「そうね」
アレクとルイーゼは、装備を整え支度すると、食堂へ向かった。
アレクたちユニコーン小隊は、朝食を済ませると試合会場へ向かった。
アルは口を開く。
「今度は第九試合か。……準々決勝だな。オレたちの対戦相手は、フェンリル小隊だ」
アレクが答える。
「フェンリル小隊は、戦士四人、斥候一人、魔導師一人、僧侶一人、精霊使い一人。……戦力的に若干、ややこっちが上くらいで、オレたちと同じ学年で同じくらい実戦経験がある。今までの雑魚な先輩方のようには、いかないだろう」
トゥルムは口を開く。
「手強いかもしれないな」
ドミトリーは答える。
「手強いだろう。相手も我々と同じくらいの戦力と見るべきだ」
アレクたちは、試合会場に到着する。
アレクたちの前に案内役の女性が現れ、口を開く。
「第九試合を行う小隊は、試合会場『屋内戦』へ移動して下さい!」
試合会場を見たアルが呟く。
「今度の試合は、『屋内戦』か……」
第二回戦となる試合会場は、屋内を模した造りになっており、一言で表せば『天井の無い迷路』であった。
互いに奪取しあう、それぞれの小隊の旗が立っている場所は、七メートル四方くらいの小部屋になっているほか、通路の幅は二メートル半ほどで、ドアの無い、いくつもの小部屋が造られていた。
アレクたちが旗のある本陣まで移動すると、アレクが作戦を提示する。
「|屋内《イン・ドア・》|戦《ファイト》は、身軽に動けるメンバーで攻めようと思う。小隊を二手に分けて、オレ、ルイーゼ、ナディア、ドミトリーの四人で攻撃。アルとトゥルム、ナタリー、エルザは、旗を守りながら、魔法での支援を頼む。防衛戦の指揮はアルに頼む」
アルは納得したように答える。
「なるほど……機動力重視か。もし、相手が攻めてきたら、こっちは、オレとトゥルム、エルザで盾を構えて壁になって、ナタリーの魔法で相手を叩けば良いんだな」
アレは笑顔で答える。
「そうだ。こっちは小隊八人の内、七人が近接戦闘が可能だから、戦場に合わせて柔軟に対応できる」
エルザが軽口を叩く。
「今度は、待ってるだけで楽ね! 前回は、盾を構えたまま、敵陣まで走ったからね」
旗の防御担当になったトゥルムは、少し残念そうであった。
「せっかく柄の短いショートスピアを用意したのに、出番無しか」
トゥルムの持つ|大盾《タワーシールド》の内側に、短いショートスピアが取り付けられていた。
ドミトリーはトゥルムを励ます。
「旗の防御も重要だ。勝敗は、この旗の奪取で決まるのだ」
ルイーゼは、ナナイから贈られた手甲を両手に装備すると仲間たちに告げる。
「そろそろ、始まるわ!」
試合開始の合図の空砲が鳴る。
『開戦』の時であった。