第百十話 再び、州都キャスパーシティへ
ー/ー エリシスが腐敗魔法を掛けた男は絶命し、男の身体は完全に腐れ落ちて酷い腐臭を放つ。
屋内であるため酷い腐臭が籠り、リリーは手で鼻と口元を覆うとエリシスに抗議する。
「エリシス! 屋内で腐敗魔法は止めて下さい!」
エリシスも酷い腐臭に手で自分の鼻と口元を覆って答える。
「……くっ、失敗したわ。酷い臭いね。残りを殺す時は、少し考えないと……」
リリーは、不服そうに告げる。
「残りといっても、貴女を剣で刺した残りの二人と幹部らしき二人の、四人しか残っていませんよ? こっちの幹部らしき二人は生かしておいて下さい!」
エリシスは、嬉しそうに口を開く。
「陛下は『皆殺しにしろ』とおっしゃったわ」
リリーは、再びエリシスに抗議する。
「皆殺しにするのは『トラキア解放戦線』です! 『フナムシ一家』じゃありません! ……もう、話が進まないじゃないですか! そっちの二人は捕えて、後で好きなだけ拷問してから殺して下さい」
エリシスとリリーの会話を聞いたラスタスは、恐怖に怯えながら開いた右手を伸ばして必死に叫ぶ。
「待て! 待ってくれ! オレたちは『トラキア解放戦線』じゃない! 『フナムシ一家』だ! 誤解だ! 頼む! 助けてくれ! お前たちは何が望みなんだ!?」
リリーは、壁を背に目を見開いたまま恐怖に震え、腰を抜かして奥歯をガチガチと鳴らすハンタ・ブリタンと、壁を背に愕然と立ち尽くすラスタスの二人に詰め寄ると、右手の親指でエリシスの腐敗魔法で死んだ男の腐った死体を指さして、二人に告げる。
「……お前たちも、あのようになりたくなかったら、『トラキア解放戦線』について知っていることを全部話せ」
「わ、判った」
ハンタ・ブリタンとラスタスは、知っている事を全てリリーに話した。
フナムシ一家の首領のサキ・ナカジマがトラキア人であり、『トラキア解放戦線』に同情的であること。
首領のサキ・ナカジマが、同じトラキア人のジントックが首領を務める下位組織の腹筋同盟に、『トラキア解放戦線』に案内や食糧など融通するように口利きしていたこと。
『トラキア解放戦線』は、キャスパー男爵領の州都キャスパーシティに拠点があり、そこから連絡員が帝都に来ていること。
ラスタスは、必死に叫ぶ。
「知っていることは全部話した! オレたちはトラキア人じゃない! バレンシュテット人だ! 陛下の臣民だ! 『トラキア解放戦線』とは全く関係無い! 頼む! 助けてくれ!」
リリーは、必死に命乞いをするハンタ・ブリタンとラスタスの様子を見て『フッ』と鼻で笑うと、エリシスの方を向いて口を開く。
「……エリシス。要は済みました。帰りましょう」
エリシスは残念そうに呟く。
「……もう帰るの? じゃあ、こっちの二人を殺しちゃうわね。制服に穴を開けた礼よ」
エリシスは、二人の男に向けて手をかざし、魔法を唱える。
「Weiggle Адская ошибка,Гнатостомоз」
(蠢く地獄の蟲、針口虫)
エリシスのかざす手のひらの先に魔法陣が現れる。
「Навозное болото,Убираться из」
(糞尿の沼から出て)
「Съесть награду」
(贄を貪れ)
エリシスに剣を刺した二人の男の足元の床に、漆黒の円が現れる。
「ヒッ! ヒィイイイ!」
二人の男は、自分の身に起こるであろう事を想像して、恐怖に顔を引きつらせる。
足元に現れた漆黒の円から、地獄に住むと云われる大きな芋虫のような蟲『針口虫』がゾロゾロと大量に現れ、二人の男の足に食いつく。
「ギャアアアアア!」
「グァアアアアア!」
針口虫は男達の足に食いつくと、皮膚の下に潜り込み、男達の肉を食べながら次第に体の上部へと進んでいく。
リリーは眉をひそめてエリシスに告げる。
「……エリシス。悪趣味ですよ」
「ふふふ。楽しいじゃない」
エリシスは、針口虫に肉を食われ、もだえ苦しみながら死んでいく二人を見て、サディスティックに微笑んでいた。
リリーは、恐怖に震え奥歯を鳴らすハンタ・ブリタンとラスタスに告げる。
「お前達も、ああなりたくなかったら、『トラキア解放戦線』とは関わらないことだな」
「あ、ああ」
「判った! 判りました!」
エリシスは、針口虫に食わせた男達が、苦しんで、のたうち回りながら死んだのを見届けると、リリーに告げる。
「制服の礼は済んだわ。行きましょう。リリー」
「はい」
エリシスとリリーは、倉庫街のフナムシ一家の根城を後にする。
--数日後、皇宮 会議室。
ラインハルトとジカイラ、エリシス、リリーは、再び皇宮の会議室に集まった。
集めた情報を交換するためであった。
ジカイラ、エリシス、リリーは、それぞれ集めた情報について、ラインハルトに報告する。
報告を聞き終えたラインハルトは、少しの間考えていたが、やがて口を開く。
「三人ともヨーイチ男爵領のキャスパーシティに向かい、『トラキア解放戦線』のアジトと本拠地を探し出して潰せ」
ラインハルトの命令に三人は答える。
「判りました」
ジカイラはラインハルトに尋ねる。
「飛行空母は、ユニコーン・ゼロは、このまま借りていていいのか?」
「ああ、構わない。ジカイラも慣れているあの船の方が良いだろう?」
「……そうだな」
ラインハルトは、エリシスとリリーに話し掛ける。
「エリシスとリリーも、あの飛行空母で移動すると良い。転移門は魔力を消費するからな」
「判りました」
こうしてジカイラたちとエリシスとリリーは、飛行空母ユニコーン・ゼロでヨーイチ男爵領の州都キャスパーシティへ向かうこととなった。
屋内であるため酷い腐臭が籠り、リリーは手で鼻と口元を覆うとエリシスに抗議する。
「エリシス! 屋内で腐敗魔法は止めて下さい!」
エリシスも酷い腐臭に手で自分の鼻と口元を覆って答える。
「……くっ、失敗したわ。酷い臭いね。残りを殺す時は、少し考えないと……」
リリーは、不服そうに告げる。
「残りといっても、貴女を剣で刺した残りの二人と幹部らしき二人の、四人しか残っていませんよ? こっちの幹部らしき二人は生かしておいて下さい!」
エリシスは、嬉しそうに口を開く。
「陛下は『皆殺しにしろ』とおっしゃったわ」
リリーは、再びエリシスに抗議する。
「皆殺しにするのは『トラキア解放戦線』です! 『フナムシ一家』じゃありません! ……もう、話が進まないじゃないですか! そっちの二人は捕えて、後で好きなだけ拷問してから殺して下さい」
エリシスとリリーの会話を聞いたラスタスは、恐怖に怯えながら開いた右手を伸ばして必死に叫ぶ。
「待て! 待ってくれ! オレたちは『トラキア解放戦線』じゃない! 『フナムシ一家』だ! 誤解だ! 頼む! 助けてくれ! お前たちは何が望みなんだ!?」
リリーは、壁を背に目を見開いたまま恐怖に震え、腰を抜かして奥歯をガチガチと鳴らすハンタ・ブリタンと、壁を背に愕然と立ち尽くすラスタスの二人に詰め寄ると、右手の親指でエリシスの腐敗魔法で死んだ男の腐った死体を指さして、二人に告げる。
「……お前たちも、あのようになりたくなかったら、『トラキア解放戦線』について知っていることを全部話せ」
「わ、判った」
ハンタ・ブリタンとラスタスは、知っている事を全てリリーに話した。
フナムシ一家の首領のサキ・ナカジマがトラキア人であり、『トラキア解放戦線』に同情的であること。
首領のサキ・ナカジマが、同じトラキア人のジントックが首領を務める下位組織の腹筋同盟に、『トラキア解放戦線』に案内や食糧など融通するように口利きしていたこと。
『トラキア解放戦線』は、キャスパー男爵領の州都キャスパーシティに拠点があり、そこから連絡員が帝都に来ていること。
ラスタスは、必死に叫ぶ。
「知っていることは全部話した! オレたちはトラキア人じゃない! バレンシュテット人だ! 陛下の臣民だ! 『トラキア解放戦線』とは全く関係無い! 頼む! 助けてくれ!」
リリーは、必死に命乞いをするハンタ・ブリタンとラスタスの様子を見て『フッ』と鼻で笑うと、エリシスの方を向いて口を開く。
「……エリシス。要は済みました。帰りましょう」
エリシスは残念そうに呟く。
「……もう帰るの? じゃあ、こっちの二人を殺しちゃうわね。制服に穴を開けた礼よ」
エリシスは、二人の男に向けて手をかざし、魔法を唱える。
「Weiggle Адская ошибка,Гнатостомоз」
(蠢く地獄の蟲、針口虫)
エリシスのかざす手のひらの先に魔法陣が現れる。
「Навозное болото,Убираться из」
(糞尿の沼から出て)
「Съесть награду」
(贄を貪れ)
エリシスに剣を刺した二人の男の足元の床に、漆黒の円が現れる。
「ヒッ! ヒィイイイ!」
二人の男は、自分の身に起こるであろう事を想像して、恐怖に顔を引きつらせる。
足元に現れた漆黒の円から、地獄に住むと云われる大きな芋虫のような蟲『針口虫』がゾロゾロと大量に現れ、二人の男の足に食いつく。
「ギャアアアアア!」
「グァアアアアア!」
針口虫は男達の足に食いつくと、皮膚の下に潜り込み、男達の肉を食べながら次第に体の上部へと進んでいく。
リリーは眉をひそめてエリシスに告げる。
「……エリシス。悪趣味ですよ」
「ふふふ。楽しいじゃない」
エリシスは、針口虫に肉を食われ、もだえ苦しみながら死んでいく二人を見て、サディスティックに微笑んでいた。
リリーは、恐怖に震え奥歯を鳴らすハンタ・ブリタンとラスタスに告げる。
「お前達も、ああなりたくなかったら、『トラキア解放戦線』とは関わらないことだな」
「あ、ああ」
「判った! 判りました!」
エリシスは、針口虫に食わせた男達が、苦しんで、のたうち回りながら死んだのを見届けると、リリーに告げる。
「制服の礼は済んだわ。行きましょう。リリー」
「はい」
エリシスとリリーは、倉庫街のフナムシ一家の根城を後にする。
--数日後、皇宮 会議室。
ラインハルトとジカイラ、エリシス、リリーは、再び皇宮の会議室に集まった。
集めた情報を交換するためであった。
ジカイラ、エリシス、リリーは、それぞれ集めた情報について、ラインハルトに報告する。
報告を聞き終えたラインハルトは、少しの間考えていたが、やがて口を開く。
「三人ともヨーイチ男爵領のキャスパーシティに向かい、『トラキア解放戦線』のアジトと本拠地を探し出して潰せ」
ラインハルトの命令に三人は答える。
「判りました」
ジカイラはラインハルトに尋ねる。
「飛行空母は、ユニコーン・ゼロは、このまま借りていていいのか?」
「ああ、構わない。ジカイラも慣れているあの船の方が良いだろう?」
「……そうだな」
ラインハルトは、エリシスとリリーに話し掛ける。
「エリシスとリリーも、あの飛行空母で移動すると良い。転移門は魔力を消費するからな」
「判りました」
こうしてジカイラたちとエリシスとリリーは、飛行空母ユニコーン・ゼロでヨーイチ男爵領の州都キャスパーシティへ向かうこととなった。
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屋内であるため酷い腐臭が籠り、リリーは手で鼻と口元を覆うとエリシスに抗議する。
「エリシス! 屋内で腐敗魔法は止めて下さい!」
エリシスも酷い腐臭に手で自分の鼻と口元を覆って答える。
「……くっ、失敗したわ。酷い臭いね。残りを殺す時は、少し考えないと……」
リリーは、不服そうに告げる。
「残りといっても、貴女を剣で刺した残りの二人と幹部らしき二人の、四人しか残っていませんよ? こっちの幹部らしき二人は生かしておいて下さい!」
エリシスは、嬉しそうに口を開く。
「陛下は『皆殺しにしろ』とおっしゃったわ」
リリーは、再びエリシスに抗議する。
「皆殺しにするのは『トラキア解放戦線』です! 『フナムシ一家』じゃありません! ……もう、話が進まないじゃないですか! そっちの二人は捕えて、後で好きなだけ拷問してから殺して下さい」
エリシスとリリーの会話を聞いたラスタスは、恐怖に怯えながら開いた右手を伸ばして必死に叫ぶ。
「待て! 待ってくれ! オレたちは『トラキア解放戦線』じゃない! 『フナムシ一家』だ! 誤解だ! 頼む! 助けてくれ! お前たちは何が望みなんだ!?」
リリーは、壁を背に目を見開いたまま恐怖に震え、腰を抜かして奥歯をガチガチと鳴らすハンタ・ブリタンと、壁を背に愕然と立ち尽くすラスタスの二人に詰め寄ると、右手の親指でエリシスの腐敗魔法で死んだ男の腐った死体を指さして、二人に告げる。
「……お前たちも、あのようになりたくなかったら、『トラキア解放戦線』について知っていることを全部話せ」
「わ、判った」
ハンタ・ブリタンとラスタスは、知っている事を全てリリーに話した。
フナムシ一家の首領のサキ・ナカジマがトラキア人であり、『トラキア解放戦線』に同情的であること。
首領のサキ・ナカジマが、同じトラキア人のジントックが首領を務める下位組織の腹筋同盟に、『トラキア解放戦線』に案内や食糧など融通するように口利きしていたこと。
『トラキア解放戦線』は、キャスパー男爵領の州都キャスパーシティに拠点があり、そこから連絡員が帝都に来ていること。
ラスタスは、必死に叫ぶ。
「知っていることは全部話した! オレたちはトラキア人じゃない! バレンシュテット人だ! 陛下の臣民だ! 『トラキア解放戦線』とは全く関係無い! 頼む! 助けてくれ!」
リリーは、必死に命乞いをするハンタ・ブリタンとラスタスの様子を見て『フッ』と鼻で笑うと、エリシスの方を向いて口を開く。
「……エリシス。要は済みました。帰りましょう」
エリシスは残念そうに呟く。
「……もう帰るの? じゃあ、こっちの二人を殺しちゃうわね。制服に穴を開けた礼よ」
エリシスは、二人の男に向けて手をかざし、魔法を唱える。
「|Weiggle《プライゲル》 |Адская《バツカー・》 |ошибка《シプカ》,|Гнато《グナト》|стомоз《スタモース》」
(|蠢《うごめ》く地獄の|蟲《むし》、針口虫)
(|蠢《うごめ》く地獄の|蟲《むし》、針口虫)
エリシスのかざす手のひらの先に魔法陣が現れる。
「|Навозное《ナボーズナイ》 |болото《・バモータ》,|Убираться《ウベラィーツ》 |из《・イス》」
(糞尿の沼から出て)
(糞尿の沼から出て)
「|С《シ・》|ъесть《イェステ》 |награду《・ナグラード》」
(|贄《にえ》を|貪《むさぼ》れ)
(|贄《にえ》を|貪《むさぼ》れ)
エリシスに剣を刺した二人の男の足元の床に、漆黒の円が現れる。
「ヒッ! ヒィイイイ!」
二人の男は、自分の身に起こるであろう事を想像して、恐怖に顔を引きつらせる。
足元に現れた漆黒の円から、地獄に住むと云われる大きな芋虫のような蟲『針口虫』がゾロゾロと大量に現れ、二人の男の足に食いつく。
「ギャアアアアア!」
「グァアアアアア!」
針口虫は男達の足に食いつくと、皮膚の下に潜り込み、男達の肉を食べながら次第に体の上部へと進んでいく。
リリーは眉をひそめてエリシスに告げる。
「……エリシス。悪趣味ですよ」
「ふふふ。楽しいじゃない」
エリシスは、針口虫に肉を食われ、もだえ苦しみながら死んでいく二人を見て、サディスティックに微笑んでいた。
リリーは、恐怖に震え奥歯を鳴らすハンタ・ブリタンとラスタスに告げる。
「お前達も、ああなりたくなかったら、『トラキア解放戦線』とは関わらないことだな」
「あ、ああ」
「判った! 判りました!」
エリシスは、針口虫に食わせた男達が、苦しんで、のたうち回りながら死んだのを見届けると、リリーに告げる。
「制服の礼は済んだわ。行きましょう。リリー」
「はい」
エリシスとリリーは、倉庫街のフナムシ一家の根城を後にする。
--数日後、皇宮 会議室。
ラインハルトとジカイラ、エリシス、リリーは、再び皇宮の会議室に集まった。
集めた情報を交換するためであった。
ジカイラ、エリシス、リリーは、それぞれ集めた情報について、ラインハルトに報告する。
報告を聞き終えたラインハルトは、少しの間考えていたが、やがて口を開く。
「三人ともヨーイチ男爵領のキャスパーシティに向かい、『トラキア解放戦線』のアジトと本拠地を探し出して潰せ」
ラインハルトの命令に三人は答える。
「判りました」
ジカイラはラインハルトに尋ねる。
「飛行空母は、ユニコーン・ゼロは、このまま借りていていいのか?」
「ああ、構わない。ジカイラも慣れているあの船の方が良いだろう?」
「……そうだな」
ラインハルトは、エリシスとリリーに話し掛ける。
「エリシスとリリーも、あの飛行空母で移動すると良い。|転移門《ゲート》は魔力を消費するからな」
「判りました」
こうしてジカイラたちとエリシスとリリーは、飛行空母ユニコーン・ゼロでヨーイチ男爵領の州都キャスパーシティへ向かうこととなった。