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遺産相続

ー/ー



 義之の葬儀が終わった。
 葬儀社が用意してくれたリストに従って、真斗は葬儀後の様々な手続きを進めていった。
 義之は各地に投資物件を所有していて、かなりの家賃収入を得ていた。
 相続税も払わなければならないし、遺産分割協議を行わなければならない。
 真斗は亡き父の戸籍を取得した。
 佐野登季子は、真斗の母と結婚する前の妻だった。
 そして、智也は義之の子だった。
 父の戸籍に智也を認知した事実が記載されている。
 真斗は驚く。実は智也は真斗と兄弟だったのだ。
 智也の母である佐野登季子と義之の間に何があったのか、今となってはわからない。
 だが当然ながら、智也にも義之の遺産を相続する権利がある。
 義之は遺書を残していなかった。
 法定相続分としては、義之の子である真斗も、智也も同等だった。
 
「あんっ……真斗さんっ!」
 対面座位で仁美の豊乳に顔を埋めながら、真斗は円い尻肉を両手で掴み、腰を振っていた。
 柔らかい肉の感触と、熟女が醸すフェロモンに包まれ、真斗の情欲が滾る。
「あはんっ……いっ、いいっ!」
 真斗の首に両腕をひっかけて、仁美が白い喉を晒して上体を反らした。
 そのまま仁美の肉体をベッドに仰向けに倒し、真斗は仁美の膝裏に腕をかけ、ぴん、と伸びた両脚を思いきり拡げた。
 ピストンの角度を垂直にして、激しく強く仁美に打ち込む。
「あんっ、あんっ、はああんっ♡」
 艶めかしく揺れる豊乳と、快感に眉を歪めて首を振る仁美の表情で、真斗の下腹部の疼きが高まる。
「ああっ、仁美さんっ! 射精るううっ!」
 真斗は肉棒を仁美から抜き、びゅるっ、びゅるるるっ、と白濁液を放射した。
 ほんのり赤みがさして汗の浮いた仁美の乳房や、首、顔に、真斗の精液が次々と付着する。
 荒い呼吸で上下する豊乳が精液まみれになっていた。
  
 葬儀ホールで仁美と交わって以来、真斗は頻繫に仁美とセックスしていた。
 亜希と穂香に悟られないために、家で二人がいないときに、貪りつくすような激しい交わりをしていた。
 初めて会った時から、仄かな劣情を仁美に抱いていた真斗は想いを遂げた。
 愛する人を喪った仁美は、認めがたい現実から逃れるために、義之に背格好と顔が似た真斗に縋り、心を安定させていた。
 この日真斗はわざわざ学校を休み、昼間から仁美を抱いている。
「佐野登季子さんのこと、仁美さんは知っていたの?」
 仁美の寝室で行為を終え、裸で身体を寄せ合いながら、真斗は仁美に尋ねる。
「ええ。義之さんから、全部聞いているわ」
「息子の智也のことも?」
「ええ。義之さんには、何かあったら智也くんもよろしく、と言われていたわ」
 真斗の思いは複雑だ。
 幼馴染の沙希を奪ってハメた智也が実は兄弟だった。
 前妻がいたことや、血の繋がった兄がいたことを、義之は息子である真斗に一切話してくれなかった。
 長年一緒に暮らしてきた息子ではなく、新しく妻となった仁美にだけその事実を話していたことに、真斗は寂しい思いを感じる。
 智也は、真斗が兄弟だと知った上で、転校してきたのだろうか?
 そして、真斗の大事な沙希を奪った。
 あくまで推測でしかないが、そこには明確な悪意が存在していたように思う。

 その時、インターホンが鳴った。
 寝室に設置されたモニターに映っていたのは、智也だった。
 噂をしていた智也が現れた。
 真斗の胸が疼く。
 この家に来たということは、既に事情を知っていると考えていい。
 本心では真斗は智也と会いたくはなかった。
 だが、既に兄弟であることが判明し、父の遺産についても話し合わなければならない存在だ。
 今日は居留守を使うことはできても、いつまでも逃げることはできない。

 智也は屈託のない笑顔で玄関に立っている。
「初めまして。佐野智也といいます」
 智也が真斗の横に立つ仁美に挨拶した。
「桐谷仁美です」 
 仁美が笑顔で応える。真斗は、そんな笑顔を智也に向けて欲しくなかった。

「今日は何しに来たんだ?」
 リビングで智也と向かい合っている真斗は、仁美がお茶を淹れている時に、智也に声を潜めて言った。
「そんな棘のある言い方しないでよ。俺たち兄弟だろ?」
 智也が微笑む。
「親父の遺産を狙ってるのか?」
 真斗の問いは、実は意味をなしていない。
 狙うもなにも、智也には正当な相続の権利があるのだ。
「俺は、遺産なんていらないよ」
 真斗の頭に疑問符が浮かぶ。
「じゃあ、何しに来たんだよ?」
 その時、仁美がコーヒーを持ってやって来た。
 
「今回の事故で、お母さまを巻き込んでしまったこと、お詫びします」
 ソファに座って深々と頭を下げる仁美。
「いえ、そんな……」
 智也の視線が仁美に向けられる。視線の先には胸の谷間があった。真斗は何故か胸がざわつくのを感じる。
「俺のこと、ご存知ですよね?」
 単刀直入に、智也が頭を下げたままの仁美に言う。
「もちろん。義之さんから聞いています」
 仁美が顔を上げて答えた。
 しばらく三人の間に無言の時間が流れた。お互い腹を探り合っている。
「俺は、相続を放棄します」
 しばらくして、智也が言った。さっき言ったことは本気だったのだ。
 仁美が意外だ、という表情をしている。
「ただし、それには条件があります」
「条件?」
 真斗は訝しむ。
「俺も、この家に住ませてください」
 真斗は、智也の言っていることの意味がわからなかった。
「俺のただ一人の家族だった母は死にました……そして俺は天涯孤独になってしまった」
 仁美は真斗を見つめている。
「でも俺には、まだ血の繋がった家族がいた」
 今の桐谷家で、智也と実際に血がつながっているのは真斗だけだ。 
 仁美の表情を真斗は窺う。彼女は視線を斜め上に向けて、何か考えている様子だ。
「そうね……智也くんにここで暮らしてもらうのも、ありかも……」
 突然仁美が呟いた言葉に、真斗は驚く。
「義之さんに、智也くんのことをよろしく、と言われていたし……」 
「仁美さん……それは、急過ぎないですか?」
 話の流れがおかしな方向に行きそうだったので、真斗が口を挟んだ。
「どうして? 兄弟なんでしょ?」
 仁美には、智也が同級生だったことや、沙希を巡って起きたことを話していない。
 仁美にとっては、亡き夫の義之の血を引いた子供だ。義之を愛していた仁美は、智也のことを義之から聞いていた。
 事故で義之が智也の母を喪わせてしまった負い目もあるのだろう。
「亜希さんと、穂香ちゃんが、どう思うか聞いた方がいいんじゃないですか?」
 真斗は智也に対して無意識のうちに警戒してしまっている。
 だが、俺は智也と暮らすのは反対だ、というひと言が言えない。
「そうね。智也くん、今晩一緒に夕食をどうかしら?」

「ただいま、お兄ちゃん!」
 学校から帰ってきた穂香は、リビングにいる見慣れぬ男性を見てこくりと頭を下げた。
 さすがにいつものように真斗に懐いてくることはしない。
「初めまして、佐野智也といいます。清澄女子校の制服だよね?」
「え? 分かるんですか? あ、初めまして。穂香っていいます」
 穂香が笑顔を智也に向ける。

 しばらくすると亜希も帰ってきた。
 リビングで楽しそうに穂香と談笑している智也を見て、きょとんとした顔をする亜希。
「あ、お姉ちゃんお帰り! こちらの方、私たちの親戚で、智也さん」
「あ……初めまして……亜希といいます」 
 妙にしおらしい態度を亜希は見せた。
 
 夕食の席は、いつもと違った雰囲気が漂っていた。
 亜希と穂香はさっきから智也のことを意識していることは、視線の動きでわかる。
「亜希ちゃん、武蔵川女子大だよね? 斎藤咲子って、知ってる?」
「え? 咲子のこと知ってるんですか?」
「うん。高校の時の知り合い」
 智也のコミュニケーション能力の高さが遺憾なく発揮されていた。
 気後れした真斗は、さっきから何も喋れていない。
「仁美さん、このおかず、凄く美味しいです!」
「あら、ありがと。智也くん」
 仁美はにこにこと笑顔だ。
 真斗は、智也と暮らしたくはない。だが仁美が義之に智也を託されていたことで、話が同居することで進んでいる。
 亜希と穂香は、最初は意識していたが、智也の巧みな話術と笑顔で、今やすっかり打ち解けていた。
 話のきっかけとして、穂香の学校の制服や、亜希の通っている大学の友人のことなどは、事前に調べていたに違いない。
 智也は基本的に頭がいいことは、すでに真斗にはわかっている。
 そして、真斗に対して何らかの悪意を心の底に持っているのを感じる。
 優れたルックスとコミュニケーション能力で、智也はすでに桐谷家の女たちの好感度をあげている。
 真斗にはとてもできないことだ。

 夕食後、仁美は車で智也を駅まで送っていった。
 真斗は智也の前で存在感を消されていた。
 もし、智也が同じ家に住んでいたら、亜希や穂香は気後れしている真斗を見てどう思うだろうか?
(いや、亜希さんも穂香ちゃんも、俺は抱いているんだ)
 沙希を抱かれて自信を失っていた真斗だが、今、この桐谷家の女たちをものにしている、という事実がある。
 セックスをして女をイカせている、という男としてのプライドが今の智也を支えている。
 だが、智也に対する負い目が真斗の胸をざわつかせているのは否定できないでいた。 
 


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 義之の葬儀が終わった。
 葬儀社が用意してくれたリストに従って、真斗は葬儀後の様々な手続きを進めていった。
 義之は各地に投資物件を所有していて、かなりの家賃収入を得ていた。
 相続税も払わなければならないし、遺産分割協議を行わなければならない。
 真斗は亡き父の戸籍を取得した。
 佐野登季子は、真斗の母と結婚する前の妻だった。
 そして、智也は義之の子だった。
 父の戸籍に智也を認知した事実が記載されている。
 真斗は驚く。実は智也は真斗と兄弟だったのだ。
 智也の母である佐野登季子と義之の間に何があったのか、今となってはわからない。
 だが当然ながら、智也にも義之の遺産を相続する権利がある。
 義之は遺書を残していなかった。
 法定相続分としては、義之の子である真斗も、智也も同等だった。
「あんっ……真斗さんっ!」
 対面座位で仁美の豊乳に顔を埋めながら、真斗は円い尻肉を両手で掴み、腰を振っていた。
 柔らかい肉の感触と、熟女が醸すフェロモンに包まれ、真斗の情欲が滾る。
「あはんっ……いっ、いいっ!」
 真斗の首に両腕をひっかけて、仁美が白い喉を晒して上体を反らした。
 そのまま仁美の肉体をベッドに仰向けに倒し、真斗は仁美の膝裏に腕をかけ、ぴん、と伸びた両脚を思いきり拡げた。
 ピストンの角度を垂直にして、激しく強く仁美に打ち込む。
「あんっ、あんっ、はああんっ♡」
 艶めかしく揺れる豊乳と、快感に眉を歪めて首を振る仁美の表情で、真斗の下腹部の疼きが高まる。
「ああっ、仁美さんっ! 射精るううっ!」
 真斗は肉棒を仁美から抜き、びゅるっ、びゅるるるっ、と白濁液を放射した。
 ほんのり赤みがさして汗の浮いた仁美の乳房や、首、顔に、真斗の精液が次々と付着する。
 荒い呼吸で上下する豊乳が精液まみれになっていた。
 葬儀ホールで仁美と交わって以来、真斗は頻繫に仁美とセックスしていた。
 亜希と穂香に悟られないために、家で二人がいないときに、貪りつくすような激しい交わりをしていた。
 初めて会った時から、仄かな劣情を仁美に抱いていた真斗は想いを遂げた。
 愛する人を喪った仁美は、認めがたい現実から逃れるために、義之に背格好と顔が似た真斗に縋り、心を安定させていた。
 この日真斗はわざわざ学校を休み、昼間から仁美を抱いている。
「佐野登季子さんのこと、仁美さんは知っていたの?」
 仁美の寝室で行為を終え、裸で身体を寄せ合いながら、真斗は仁美に尋ねる。
「ええ。義之さんから、全部聞いているわ」
「息子の智也のことも?」
「ええ。義之さんには、何かあったら智也くんもよろしく、と言われていたわ」
 真斗の思いは複雑だ。
 幼馴染の沙希を奪ってハメた智也が実は兄弟だった。
 前妻がいたことや、血の繋がった兄がいたことを、義之は息子である真斗に一切話してくれなかった。
 長年一緒に暮らしてきた息子ではなく、新しく妻となった仁美にだけその事実を話していたことに、真斗は寂しい思いを感じる。
 智也は、真斗が兄弟だと知った上で、転校してきたのだろうか?
 そして、真斗の大事な沙希を奪った。
 あくまで推測でしかないが、そこには明確な悪意が存在していたように思う。
 その時、インターホンが鳴った。
 寝室に設置されたモニターに映っていたのは、智也だった。
 噂をしていた智也が現れた。
 真斗の胸が疼く。
 この家に来たということは、既に事情を知っていると考えていい。
 本心では真斗は智也と会いたくはなかった。
 だが、既に兄弟であることが判明し、父の遺産についても話し合わなければならない存在だ。
 今日は居留守を使うことはできても、いつまでも逃げることはできない。
 智也は屈託のない笑顔で玄関に立っている。
「初めまして。佐野智也といいます」
 智也が真斗の横に立つ仁美に挨拶した。
「桐谷仁美です」 
 仁美が笑顔で応える。真斗は、そんな笑顔を智也に向けて欲しくなかった。
「今日は何しに来たんだ?」
 リビングで智也と向かい合っている真斗は、仁美がお茶を淹れている時に、智也に声を潜めて言った。
「そんな棘のある言い方しないでよ。俺たち兄弟だろ?」
 智也が微笑む。
「親父の遺産を狙ってるのか?」
 真斗の問いは、実は意味をなしていない。
 狙うもなにも、智也には正当な相続の権利があるのだ。
「俺は、遺産なんていらないよ」
 真斗の頭に疑問符が浮かぶ。
「じゃあ、何しに来たんだよ?」
 その時、仁美がコーヒーを持ってやって来た。
「今回の事故で、お母さまを巻き込んでしまったこと、お詫びします」
 ソファに座って深々と頭を下げる仁美。
「いえ、そんな……」
 智也の視線が仁美に向けられる。視線の先には胸の谷間があった。真斗は何故か胸がざわつくのを感じる。
「俺のこと、ご存知ですよね?」
 単刀直入に、智也が頭を下げたままの仁美に言う。
「もちろん。義之さんから聞いています」
 仁美が顔を上げて答えた。
 しばらく三人の間に無言の時間が流れた。お互い腹を探り合っている。
「俺は、相続を放棄します」
 しばらくして、智也が言った。さっき言ったことは本気だったのだ。
 仁美が意外だ、という表情をしている。
「ただし、それには条件があります」
「条件?」
 真斗は訝しむ。
「俺も、この家に住ませてください」
 真斗は、智也の言っていることの意味がわからなかった。
「俺のただ一人の家族だった母は死にました……そして俺は天涯孤独になってしまった」
 仁美は真斗を見つめている。
「でも俺には、まだ血の繋がった家族がいた」
 今の桐谷家で、智也と実際に血がつながっているのは真斗だけだ。 
 仁美の表情を真斗は窺う。彼女は視線を斜め上に向けて、何か考えている様子だ。
「そうね……智也くんにここで暮らしてもらうのも、ありかも……」
 突然仁美が呟いた言葉に、真斗は驚く。
「義之さんに、智也くんのことをよろしく、と言われていたし……」 
「仁美さん……それは、急過ぎないですか?」
 話の流れがおかしな方向に行きそうだったので、真斗が口を挟んだ。
「どうして? 兄弟なんでしょ?」
 仁美には、智也が同級生だったことや、沙希を巡って起きたことを話していない。
 仁美にとっては、亡き夫の義之の血を引いた子供だ。義之を愛していた仁美は、智也のことを義之から聞いていた。
 事故で義之が智也の母を喪わせてしまった負い目もあるのだろう。
「亜希さんと、穂香ちゃんが、どう思うか聞いた方がいいんじゃないですか?」
 真斗は智也に対して無意識のうちに警戒してしまっている。
 だが、俺は智也と暮らすのは反対だ、というひと言が言えない。
「そうね。智也くん、今晩一緒に夕食をどうかしら?」
「ただいま、お兄ちゃん!」
 学校から帰ってきた穂香は、リビングにいる見慣れぬ男性を見てこくりと頭を下げた。
 さすがにいつものように真斗に懐いてくることはしない。
「初めまして、佐野智也といいます。清澄女子校の制服だよね?」
「え? 分かるんですか? あ、初めまして。穂香っていいます」
 穂香が笑顔を智也に向ける。
 しばらくすると亜希も帰ってきた。
 リビングで楽しそうに穂香と談笑している智也を見て、きょとんとした顔をする亜希。
「あ、お姉ちゃんお帰り! こちらの方、私たちの親戚で、智也さん」
「あ……初めまして……亜希といいます」 
 妙にしおらしい態度を亜希は見せた。
 夕食の席は、いつもと違った雰囲気が漂っていた。
 亜希と穂香はさっきから智也のことを意識していることは、視線の動きでわかる。
「亜希ちゃん、武蔵川女子大だよね? 斎藤咲子って、知ってる?」
「え? 咲子のこと知ってるんですか?」
「うん。高校の時の知り合い」
 智也のコミュニケーション能力の高さが遺憾なく発揮されていた。
 気後れした真斗は、さっきから何も喋れていない。
「仁美さん、このおかず、凄く美味しいです!」
「あら、ありがと。智也くん」
 仁美はにこにこと笑顔だ。
 真斗は、智也と暮らしたくはない。だが仁美が義之に智也を託されていたことで、話が同居することで進んでいる。
 亜希と穂香は、最初は意識していたが、智也の巧みな話術と笑顔で、今やすっかり打ち解けていた。
 話のきっかけとして、穂香の学校の制服や、亜希の通っている大学の友人のことなどは、事前に調べていたに違いない。
 智也は基本的に頭がいいことは、すでに真斗にはわかっている。
 そして、真斗に対して何らかの悪意を心の底に持っているのを感じる。
 優れたルックスとコミュニケーション能力で、智也はすでに桐谷家の女たちの好感度をあげている。
 真斗にはとてもできないことだ。
 夕食後、仁美は車で智也を駅まで送っていった。
 真斗は智也の前で存在感を消されていた。
 もし、智也が同じ家に住んでいたら、亜希や穂香は気後れしている真斗を見てどう思うだろうか?
(いや、亜希さんも穂香ちゃんも、俺は抱いているんだ)
 沙希を抱かれて自信を失っていた真斗だが、今、この桐谷家の女たちをものにしている、という事実がある。
 セックスをして女をイカせている、という男としてのプライドが今の智也を支えている。
 だが、智也に対する負い目が真斗の胸をざわつかせているのは否定できないでいた。