表示設定
表示設定
目次 目次




4.ずっと、貴方の胸の中で(1/2)

ー/ー



*※安全なエッチだけ見たい人は次の「その2」から読む事を推奨します。※
その1の要素 #おっぱい #恥辱
その1の注意すべき要素 「鬱」「シリアス」「いじめ描写」「陰湿な強姦(挿入なし)」「いじめっ子へのやや過激な制裁」*



 森の奥にある、ログハウス。
 その地下室の前でオークが立っていた。
 背丈は2m、縦にも横にも幅があるガッチリとした筋肉質な体。
 名はゴルバッシュ。


 彼は苛立ったように扉を乱暴に開けた。
 部屋には壁にも床にも所狭しと飾られた武器や防具、魔法具の数々。
 これらは全て女魔法鍛冶師『へパスミス』の作品である。
 そして彼女はゴルバッシュの妻。


 ゴルバッシュは中央にある深緑のフルアーマー、『エメラルド・ドラゴンの鎧』に手を伸ばす。
 慣れた手付きでそれを1人で装着しながら、愛用のエメラルド・ドラゴンの手斧と大盾を取る。
 更にポーションやクロスボウ、ナイフ、矢、松明をありったけ用意した。
 鎧も含めると人間なら直ぐにバテる積載量。
 だが、彼はピクニックリュックを背負ったくらいの軽やかさで、そのまま玄関から飛び出していった。




 
***






 へパスミスはとある盗賊に誘拐されていた。


 数時間前。
 彼女は帝都に新しくできたと噂の美容院に行っていた。見た目は本当に普通で、怪しい部分など無かった。
 しかし、カット中に香水をかけられた瞬間、彼女は気を失った。






 帝都の郊外にあるとされる砦跡。 


 へパスミスは椅子に座った状態で手足を縛られていた。
 いつもの豊満な体に黒いコルセットをした魔女か娼婦のような格好。その上から固くロープを巻かれている。剥き出しの腿や乳の肉にロープが埋まるように締め付けられて苦しそうだ。
 頭には麻袋を被せられている。


 彼女は大人しい女ではないので(夫の前以外では)、椅子をガタガタさせて前進後退して抗う。でもやり過ぎて、横に転倒して自滅。
「痛ったあああ!!
 この顔の外しなさいよ!鼻が痒いのに掻けないじゃない!」


「駄目だよ。」
 と、彼女を見下ろすのは20半ばくらいの男。
 髪はブラウンのオールバック、服は貴族風のロングコート。
  気品さを装うとしているが、腰の猛毒エンチャント付きダガーが裏面を垣間見せる。
 また、足元に散らかったロープや箱を蹴ってどかすあたり、本当は素行が良くないのが分かる。


 後ろで控えた粗野な男達20人は、彼の仲間と思われる。


 貴族風の男はへパスミスの耳元で囁く。
「今帝都で売れっ子の鍛冶屋のお嬢さん。
 君は今から絶望するんだ。」
「ええ〜!すご〜!?攫われる程大人気なんて!凄いわ私!」
 彼女は相手を煽ってるのか、大はしゃぎだ。
 一瞬苛立つ男。
「飲み込めるように説明しようか。
 憐れな事に、君は同業者の誰かから恨みを買ったんだ。成り上がりの末路だよ。」
 物腰は穏やかだが、彼は脅しにきている。
 それでもへパスミスは毅然とした態度だ。
「恨み?邪魔な商売敵の私を消そうって?
 じゃあ、貴方は雇われた暗殺者かな?」
「アハハ。金次第で殺し以外もやるけど?
 詐欺、盗み、恫喝、誘拐とか。」
 へパスミスは袋の内側で顔を顰めた。
「『パープル・ブラッド盗賊団』。金を積まれたらどんな汚い事でもする悪党……!逆の意味で人気者ね。
 確かリーダーは『ハニカム』っていったかな?」


「よくご存知で!なら、話は早い。今から何されるか……。


 わ か る よ な あ っ !?」


 へパスミスの胸に走る手の感触。一度ではなく数回もいやらしく弄ってくる。
 彼女は思わず声を漏らしてしまった。
「ンッ!!」
 ハニカムはニヤつきながら彼女の巨乳を鷲掴みにしていた。
 乳に被せているビスチェの丸いカップ部分をベロンと剥いて、それを重く揺れさせた。
 フルルと腰振りのようにマシュマロのような乳肉が揺れ、短い乳首がピクンとしなる。
「っ!!!!」
 彼女は汗をかきながら、声が出ないように歯を食いしばって耐えた。
 恐怖で体が震えるのを我慢して身じろぎする。
(やめろって叫びたいのに……!今喋ったら、弱い声が出そう……。弱みを見せたら相手にもっと舐められる!)


「依頼主の願いはこうだ。『殺すまでしなくても、2度と商売が出来ないように体に教え込めばいい』ってね。
 誰かに告げ口出来ないくらいに、可愛がってやるよ……!」


 ハニカムは仲間に命じて彼女の椅子を立たせると、今度は後ろから両手で揉んだ。
 ぐるぐる回すようにムニュムニュ素早く揉みまくる。
 ハニカムの仲間達は笑って囃す。
「ムニュムニュされて気持ちいかよ?女鍛冶屋様よお!
 おんおん叫んじまえよ!」
「うっへ、でけえ!ガン責めしてアヘ顔にしてたゆんたゆん揺らしてえ!」


 赤面し、思考が止まるへパスミス。
 望まない胸の揺れの感触と男の仲間達の発言で、自分の乳がどんな恥ずかしい状態か分かってしまったのだ。
 それでも何とか気を強く保つ。
(泣くな!!か、考えて!何か……何とか……するの私!)


 ハニカムは彼女の乳の根元を持ってブンブン振り回して辱める。
「ほぉれ。微妙に萎える発言をするのが難点だが、鍛冶屋には勿体ない体だよなあ。
 肉のハンマーを口に咥え、焼床鋏(やっとこ)で下の炉をこじ開け、熱い棒を入れるべきだ。そうだろう?」


 ハニカムは彼女の頭の袋を取った。
 やっと彼女の長い赤髪と碧眼が露わになる。
「うんっ、ぷはっ!!」


「じゃあ、俺らのハンマーを修理して貰おうか?」 
 パンツの紐を解いてテンションを上げる男達。


 ところが、言い出したハニカムが何やら白けた顔をしている。


「まさかお前、帝都大学の装飾学部の赤毛の女か?
 聞き覚えある名前と思ったら……。」
 へパスミスも彼を見て怪訝そうな顔になった。
「そういうアンタは吟遊詩人学部のハキンス?!」
 歯を剥き出しにして強い敵意を示す。


 ハニカムもあからさまに気持ち悪そうな顔をした。
「おえぇ、牛の糞臭えブスの乳もんじまったぜ。」
「なんだハニカム?知ってるのか。」
 と、仲間が尋ねる。
「ああ、面白い女だぜ。
 聞かせてやろうか。」
 
 へパスミスは彼の顔を見て、先程よりも激しく暴れた。それは強い拒否反応と怒りからだ。
 忌々しい過去を思い出す。






***






 ——私は鍛冶屋になる前は、帝都近くの小さな村出身のごく普通の女の子だった。手先が器用で、何かを手作りするのが得意な。


 私は自分を褒める癖があった。
「自分は天才!美人!」って。
 でもそれは「私は出来ない、無理」っていう自分の弱い心を吹き飛ばす為。
 言い続けて行動すればそれは現実になる。魔法の言葉だって思ってたから。
 でも、周りにはそんな私を「自信過剰の変な奴」と思う人もいて、馬鹿にされたり、虐められる事もあった。
 持ち物を隠されたり壊されたり、水や泥を掛けられたり、無い噂を立てられたり……。
 自信を持つ為に自分1人で言ってただけで、誰かに強要したことなんてないんだけどね。


 中でもとびきり嫌な思い出の一つが彼。ハキンス。


 私が鍛冶の技術を身に付けながら、帝都の大学で装飾を学んでいた頃。
 私は彼と付き合っていた。彼の悪戯だとも知らないで……。
 
 まあ、そんなのも見抜けない程幼かった私も悪い。
 だから一番苛立っているのは幼かった過去の自分に対してだと思う。






 ***






 ハニカムはへパスミスが古傷を思い出して取り乱すのを嘲笑う。
「こいつ馬鹿でさあ。
 こいつみたいな田舎者の変な女が、俺みたいな育ちの良い男から本気で好かれる訳ないのにさ。ちょっと演技して色目使ったらその気になりやがってよ。
 俺、その頃から詐欺師としても才能の片鱗見せてたのかなあ?」
「で、コイツと付き合うフリしてどうなったんだ?」
「ん?当然俺は興味ないから、適当にかわしながら裏で他に何人か女と遊んでんだろ?
 でも、こいつ馬鹿だから全く気づかないでいてんの。」
「最後?こっちも流石に鬱陶しくなったから、噂話するフリして聞こえるように本心を伝えてやったよ。
 『身の程を知れ、ブスの癖に』ってな。
 そしたら、余程ショックだったんだか。暫く学校に来なかったぜ。へへへへ!!」
 一斉にせせら笑う彼の仲間達。


「クズはクズのままね……!
 今の悪魔の吐瀉物みたいな仕事が本当にお似合いだわ!」
 吐き捨てるへパスミス。
 
 だが、ハニカムは間髪容れず彼女の顔を蹴飛ばした。
 腹を何度も蹴る。
「ングッ!!」
 へパスミスは痛みでむせる。
「ブスは黙れよ?今の立場も分からないとは、本当昔から空気読めねえよな。」


「それでハニカム、どうするよ?
 お前は萎えてやる気しねえだろ?」
「ああ、やらねえよ。
 自分ではな。」
 
 ハニカムは手を挙げて合図した。
「イタイ女には当然の扱いだ。
 ボコすも良し、的当ての的として遊ぶも良し。


 ……そうだな、一個面白いのを思い付いた。
 誰か『小便』の出る奴。」
 
 仲間の1人が手を挙げてパンツを下げる。何をするか察しているのかニヤついていた。


「ザーを入れてやるなんて勿体無い、お前にはこれで十分だ。
 飲めよ。」


 へパスミスの瞳から光が失われる。縮こまって震えだす体。
「……いやっっっ!」
 這うように抵抗する。他の仲間が彼女を無理矢理立たせ、両頬を握って口を開けさせる。


 ハニカムの仲間が竿を握っ目の前に迫る。


 声も出せず、思考が止まるへパスミス。


 彼女はゴルバッシュの姿を思い浮かべた。
 時には多勢に無勢で血だらけになりながら、非力な彼女を何度でも守ってくれる背中。
 実の所、ここまで何度も思い浮かべそうになる場面があった、しかし、彼の助けを願えば願うほど、震えて今すぐにも泣き出しそうになってしまう。


 へパスミスは思い出す。
 (いつの日だったか、昔の事を夢で見てうなされて彼の前で泣いてしまった……。
 その時ゴルバッシュは深くは聞けずとも、本気で心配してくれた……。
 彼の為にもう泣かない、負けないって、乗り越えるって決めたのに……。
 ごめんね……ゴル。無力で……。)
 彼女の視界は涙で揺らめいて歪んでいった。


 ハニカムの仲間は狙いを定める。
「悪いなあ!便器になってくれるなんて!
 口ん中は嫌?じゃあ、顔にぶっかけ……。」


 その時、天井が崩れた。
 大量のレンガと共に、重い物が降って来る。


「何だ?!」
「頭を守って逃げろ!」 
 蜘蛛の子を散らしたような混乱状態。
 
「何だよ!もう我慢できねえって!
 もう漏れ……っっボっハァっっっ!!!!」
 竿丸出しの男はいきなり血を吐いた。
 腰の辺りから背中側に向かって体が折れて倒れる。
 そして倒れる瞬間、痙攣しながら放尿。
 しかし、目の前にはへパスミスはおらず、代わりに偶然通りかかったハニカムの頭、そして口にかかる。


「何だ?!ガボッ!!!」
 ハニカムは何が起きたか分からず、口に反射的に飲み込んでしまった。
 そして匂いで状況を把握し、即吐き出した。


「く、口に、入った!おぶおぇええっっっ!!!!」
 血走った目ん玉ひん剥き、必死で自ら鳩尾を殴って胃の中身ごと全部吐きだす。
 彼は怒り狂い、飲ませた仲間をナイフで滅多刺しした。極め付けに何度も足蹴り。


 土煙の中、ハニカムは怒鳴る。
「おいお前ら!!早く砦を修理しろ!!」
 周りから返事はない。
 代わりに血の匂いが充満していた。


「おい?!お前ら?!」


「あとはお前だけだ。
 パープル・ブラッド盗賊長・ハニカム。」
 と、煙の中から現れたのは大盾と手斧を持った緑の巨体。
 彼は帝都で出されている討伐依頼書を広げて見せつける。


 ゴルバッシュだった。


「オークだと?!
 この砦は100人の精鋭で守りを固めてるんだぞ?!どうやって入った?!」


 軽く説明しよう。
 彼はまず、入り口付近の見張りを静かに倒し、死体を隠した。
 そのまま塔のような砦を自分の腕力だけで登って侵入したのである。
 そこで丁度へパスミスが彼らに襲われているのを聞いたのだ。
 最初は敵全体の様子を把握してから飛び出す気だったのだが、切迫した状況を見て、即炸裂弾で天井を破壊して参上。
 ハニカムが飲尿して取り乱している間に、煙に隠れて仲間達20人を蹴散らし今に至る。


 腰のナイフを手にしながら後退りのハニカム。
「そのゴリラみたいな図体で隠密行動だと?!
 へパスミスの奴め!こんなヤバイ傭兵と知り合いだったのか?!」
「『知り合い』?少し違うな。」
 威圧してガシャンガシャンと歩み寄るゴルバッシュ。兜から覗く白目は全く瞬きしない。


(オークでも……!このダガーの猛毒さえ入れば!)
 動くハニカム。
 だが、呆気なく転倒させられた。
 ゴルバッシュの足蹴一つで。


 ゴルバッシュはハニカムの脳天に手斧を叩き込んだ。刃でなく、柄で。
 鼻血を出し、脳震盪を起こして倒れるハニカム。


 ゴルバッシュは彼の頭を両手で引き寄せた。
 冷静なようで、目が笑っていない。
 それもその筈、ハニカムが妻を辱め、過去にもその心を踏み躙ったのだから。
「いい事を教えてやろう。
 俺の住んでたオークの村にはこんな言葉がある。
 『他人の妻を愛なく犯した奴には、牛の糞を食わせて窒息死させろ』、……ってな!」


 ハニカムの顎骨が割れる音。
 ゴルバッシュは砕いたばかりのグラグラの口に、拳を突っ込む。


 ハニカムはもがき苦しんだ。
「ン〜っっっ!!!!フゥウウ〜〜〜〜〜〜っっっ!!!!!」
 様々な激痛と、ぼやける視界、止まる呼吸。
 死の恐怖の中で、じわじわと息絶えた。




 
 
 ゴルバッシュはハニカムの亡骸を捨てた。
「ほら、終わった……。もういいぞ。」


 呼ばれて、這うように出てくるへパスミス。
 乱された服を直し、ハニカムの前に立つ。
 
 彼女は引きっつった笑みを浮かべ、いきなり陽気に叫んだ。
「ザマアみなさい!!!バーカ、バーカ!!!」
 ブーツの尖った爪先でハニカムの股間を1発蹴飛ばす。


 彼を悲しませないように作った笑顔。
 それは直ぐに崩れた。息も震えたまま。


「へパスミス……。」
「ゴルバッシュ、さっさと帰ろう!!」
「……大丈夫か?」
「大丈夫よっ!!
 そ、そうだ!討伐の報酬貰いに行かなきゃね?!」 


 ゴルバッシュは彼女を背中から抱いた。
「……こんな時に女に胸を貸してやれない程、俺は頼りない男か?」


「ゴル……。」
 彼女の弱々しい小さな声。


 へパスミスの目から涙が溢れる。
 堰き止めていた気持ちが声となって漏れ出し、止まらなくなった。


 ゴルバッシュは彼女を胸に抱き寄せると、マントで彼女の顔を包んで隠してやった。








スタンプを贈って作者を応援しよう!

次のエピソードへ進む 5.ずっと、貴方の胸の中で(2/2)


みんなのリアクション



おすすめ作品を読み込み中です…



*※安全なエッチだけ見たい人は次の「その2」から読む事を推奨します。※
その1の要素 #おっぱい #恥辱
その1の注意すべき要素 「鬱」「シリアス」「いじめ描写」「陰湿な強姦(挿入なし)」「いじめっ子へのやや過激な制裁」*
 森の奥にある、ログハウス。
 その地下室の前でオークが立っていた。
 背丈は2m、縦にも横にも幅があるガッチリとした筋肉質な体。
 名はゴルバッシュ。
 彼は苛立ったように扉を乱暴に開けた。
 部屋には壁にも床にも所狭しと飾られた武器や防具、魔法具の数々。
 これらは全て女魔法鍛冶師『へパスミス』の作品である。
 そして彼女はゴルバッシュの妻。
 ゴルバッシュは中央にある深緑のフルアーマー、『エメラルド・ドラゴンの鎧』に手を伸ばす。
 慣れた手付きでそれを1人で装着しながら、愛用のエメラルド・ドラゴンの手斧と大盾を取る。
 更にポーションやクロスボウ、ナイフ、矢、松明をありったけ用意した。
 鎧も含めると人間なら直ぐにバテる積載量。
 だが、彼はピクニックリュックを背負ったくらいの軽やかさで、そのまま玄関から飛び出していった。
***
 へパスミスはとある盗賊に誘拐されていた。
 数時間前。
 彼女は帝都に新しくできたと噂の美容院に行っていた。見た目は本当に普通で、怪しい部分など無かった。
 しかし、カット中に香水をかけられた瞬間、彼女は気を失った。
 帝都の郊外にあるとされる砦跡。 
 へパスミスは椅子に座った状態で手足を縛られていた。
 いつもの豊満な体に黒いコルセットをした魔女か娼婦のような格好。その上から固くロープを巻かれている。剥き出しの腿や乳の肉にロープが埋まるように締め付けられて苦しそうだ。
 頭には麻袋を被せられている。
 彼女は大人しい女ではないので(夫の前以外では)、椅子をガタガタさせて前進後退して抗う。でもやり過ぎて、横に転倒して自滅。
「痛ったあああ!!
 この顔の外しなさいよ!鼻が痒いのに掻けないじゃない!」
「駄目だよ。」
 と、彼女を見下ろすのは20半ばくらいの男。
 髪はブラウンのオールバック、服は貴族風のロングコート。
  気品さを装うとしているが、腰の猛毒エンチャント付きダガーが裏面を垣間見せる。
 また、足元に散らかったロープや箱を蹴ってどかすあたり、本当は素行が良くないのが分かる。
 後ろで控えた粗野な男達20人は、彼の仲間と思われる。
 貴族風の男はへパスミスの耳元で囁く。
「今帝都で売れっ子の鍛冶屋のお嬢さん。
 君は今から絶望するんだ。」
「ええ〜!すご〜!?攫われる程大人気なんて!凄いわ私!」
 彼女は相手を煽ってるのか、大はしゃぎだ。
 一瞬苛立つ男。
「飲み込めるように説明しようか。
 憐れな事に、君は同業者の誰かから恨みを買ったんだ。成り上がりの末路だよ。」
 物腰は穏やかだが、彼は脅しにきている。
 それでもへパスミスは毅然とした態度だ。
「恨み?邪魔な商売敵の私を消そうって?
 じゃあ、貴方は雇われた暗殺者かな?」
「アハハ。金次第で殺し以外もやるけど?
 詐欺、盗み、恫喝、誘拐とか。」
 へパスミスは袋の内側で顔を顰めた。
「『パープル・ブラッド盗賊団』。金を積まれたらどんな汚い事でもする悪党……!逆の意味で人気者ね。
 確かリーダーは『ハニカム』っていったかな?」
「よくご存知で!なら、話は早い。今から何されるか……。
 わ か る よ な あ っ !?」
 へパスミスの胸に走る手の感触。一度ではなく数回もいやらしく弄ってくる。
 彼女は思わず声を漏らしてしまった。
「ンッ!!」
 ハニカムはニヤつきながら彼女の巨乳を鷲掴みにしていた。
 乳に被せているビスチェの丸いカップ部分をベロンと剥いて、それを重く揺れさせた。
 フルルと腰振りのようにマシュマロのような乳肉が揺れ、短い乳首がピクンとしなる。
「っ!!!!」
 彼女は汗をかきながら、声が出ないように歯を食いしばって耐えた。
 恐怖で体が震えるのを我慢して身じろぎする。
(やめろって叫びたいのに……!今喋ったら、弱い声が出そう……。弱みを見せたら相手にもっと舐められる!)
「依頼主の願いはこうだ。『殺すまでしなくても、2度と商売が出来ないように体に教え込めばいい』ってね。
 誰かに告げ口出来ないくらいに、可愛がってやるよ……!」
 ハニカムは仲間に命じて彼女の椅子を立たせると、今度は後ろから両手で揉んだ。
 ぐるぐる回すようにムニュムニュ素早く揉みまくる。
 ハニカムの仲間達は笑って囃す。
「ムニュムニュされて気持ちいかよ?女鍛冶屋様よお!
 おんおん叫んじまえよ!」
「うっへ、でけえ!ガン責めしてアヘ顔にしてたゆんたゆん揺らしてえ!」
 赤面し、思考が止まるへパスミス。
 望まない胸の揺れの感触と男の仲間達の発言で、自分の乳がどんな恥ずかしい状態か分かってしまったのだ。
 それでも何とか気を強く保つ。
(泣くな!!か、考えて!何か……何とか……するの私!)
 ハニカムは彼女の乳の根元を持ってブンブン振り回して辱める。
「ほぉれ。微妙に萎える発言をするのが難点だが、鍛冶屋には勿体ない体だよなあ。
 肉のハンマーを口に咥え、焼床鋏(やっとこ)で下の炉をこじ開け、熱い棒を入れるべきだ。そうだろう?」
 ハニカムは彼女の頭の袋を取った。
 やっと彼女の長い赤髪と碧眼が露わになる。
「うんっ、ぷはっ!!」
「じゃあ、俺らのハンマーを修理して貰おうか?」 
 パンツの紐を解いてテンションを上げる男達。
 ところが、言い出したハニカムが何やら白けた顔をしている。
「まさかお前、帝都大学の装飾学部の赤毛の女か?
 聞き覚えある名前と思ったら……。」
 へパスミスも彼を見て怪訝そうな顔になった。
「そういうアンタは吟遊詩人学部のハキンス?!」
 歯を剥き出しにして強い敵意を示す。
 ハニカムもあからさまに気持ち悪そうな顔をした。
「おえぇ、牛の糞臭えブスの乳もんじまったぜ。」
「なんだハニカム?知ってるのか。」
 と、仲間が尋ねる。
「ああ、面白い女だぜ。
 聞かせてやろうか。」
 へパスミスは彼の顔を見て、先程よりも激しく暴れた。それは強い拒否反応と怒りからだ。
 忌々しい過去を思い出す。
***
 ——私は鍛冶屋になる前は、帝都近くの小さな村出身のごく普通の女の子だった。手先が器用で、何かを手作りするのが得意な。
 私は自分を褒める癖があった。
「自分は天才!美人!」って。
 でもそれは「私は出来ない、無理」っていう自分の弱い心を吹き飛ばす為。
 言い続けて行動すればそれは現実になる。魔法の言葉だって思ってたから。
 でも、周りにはそんな私を「自信過剰の変な奴」と思う人もいて、馬鹿にされたり、虐められる事もあった。
 持ち物を隠されたり壊されたり、水や泥を掛けられたり、無い噂を立てられたり……。
 自信を持つ為に自分1人で言ってただけで、誰かに強要したことなんてないんだけどね。
 中でもとびきり嫌な思い出の一つが彼。ハキンス。
 私が鍛冶の技術を身に付けながら、帝都の大学で装飾を学んでいた頃。
 私は彼と付き合っていた。彼の悪戯だとも知らないで……。
 まあ、そんなのも見抜けない程幼かった私も悪い。
 だから一番苛立っているのは幼かった過去の自分に対してだと思う。
 ***
 ハニカムはへパスミスが古傷を思い出して取り乱すのを嘲笑う。
「こいつ馬鹿でさあ。
 こいつみたいな田舎者の変な女が、俺みたいな育ちの良い男から本気で好かれる訳ないのにさ。ちょっと演技して色目使ったらその気になりやがってよ。
 俺、その頃から詐欺師としても才能の片鱗見せてたのかなあ?」
「で、コイツと付き合うフリしてどうなったんだ?」
「ん?当然俺は興味ないから、適当にかわしながら裏で他に何人か女と遊んでんだろ?
 でも、こいつ馬鹿だから全く気づかないでいてんの。」
「最後?こっちも流石に鬱陶しくなったから、噂話するフリして聞こえるように本心を伝えてやったよ。
 『身の程を知れ、ブスの癖に』ってな。
 そしたら、余程ショックだったんだか。暫く学校に来なかったぜ。へへへへ!!」
 一斉にせせら笑う彼の仲間達。
「クズはクズのままね……!
 今の悪魔の吐瀉物みたいな仕事が本当にお似合いだわ!」
 吐き捨てるへパスミス。
 だが、ハニカムは間髪容れず彼女の顔を蹴飛ばした。
 腹を何度も蹴る。
「ングッ!!」
 へパスミスは痛みでむせる。
「ブスは黙れよ?今の立場も分からないとは、本当昔から空気読めねえよな。」
「それでハニカム、どうするよ?
 お前は萎えてやる気しねえだろ?」
「ああ、やらねえよ。
 自分ではな。」
 ハニカムは手を挙げて合図した。
「イタイ女には当然の扱いだ。
 ボコすも良し、的当ての的として遊ぶも良し。
 ……そうだな、一個面白いのを思い付いた。
 誰か『小便』の出る奴。」
 仲間の1人が手を挙げてパンツを下げる。何をするか察しているのかニヤついていた。
「ザーを入れてやるなんて勿体無い、お前にはこれで十分だ。
 飲めよ。」
 へパスミスの瞳から光が失われる。縮こまって震えだす体。
「……いやっっっ!」
 這うように抵抗する。他の仲間が彼女を無理矢理立たせ、両頬を握って口を開けさせる。
 ハニカムの仲間が竿を握っ目の前に迫る。
 声も出せず、思考が止まるへパスミス。
 彼女はゴルバッシュの姿を思い浮かべた。
 時には多勢に無勢で血だらけになりながら、非力な彼女を何度でも守ってくれる背中。
 実の所、ここまで何度も思い浮かべそうになる場面があった、しかし、彼の助けを願えば願うほど、震えて今すぐにも泣き出しそうになってしまう。
 へパスミスは思い出す。
 (いつの日だったか、昔の事を夢で見てうなされて彼の前で泣いてしまった……。
 その時ゴルバッシュは深くは聞けずとも、本気で心配してくれた……。
 彼の為にもう泣かない、負けないって、乗り越えるって決めたのに……。
 ごめんね……ゴル。無力で……。)
 彼女の視界は涙で揺らめいて歪んでいった。
 ハニカムの仲間は狙いを定める。
「悪いなあ!便器になってくれるなんて!
 口ん中は嫌?じゃあ、顔にぶっかけ……。」
 その時、天井が崩れた。
 大量のレンガと共に、重い物が降って来る。
「何だ?!」
「頭を守って逃げろ!」 
 蜘蛛の子を散らしたような混乱状態。
「何だよ!もう我慢できねえって!
 もう漏れ……っっボっハァっっっ!!!!」
 竿丸出しの男はいきなり血を吐いた。
 腰の辺りから背中側に向かって体が折れて倒れる。
 そして倒れる瞬間、痙攣しながら放尿。
 しかし、目の前にはへパスミスはおらず、代わりに偶然通りかかったハニカムの頭、そして口にかかる。
「何だ?!ガボッ!!!」
 ハニカムは何が起きたか分からず、口に反射的に飲み込んでしまった。
 そして匂いで状況を把握し、即吐き出した。
「く、口に、入った!おぶおぇええっっっ!!!!」
 血走った目ん玉ひん剥き、必死で自ら鳩尾を殴って胃の中身ごと全部吐きだす。
 彼は怒り狂い、飲ませた仲間をナイフで滅多刺しした。極め付けに何度も足蹴り。
 土煙の中、ハニカムは怒鳴る。
「おいお前ら!!早く砦を修理しろ!!」
 周りから返事はない。
 代わりに血の匂いが充満していた。
「おい?!お前ら?!」
「あとはお前だけだ。
 パープル・ブラッド盗賊長・ハニカム。」
 と、煙の中から現れたのは大盾と手斧を持った緑の巨体。
 彼は帝都で出されている討伐依頼書を広げて見せつける。
 ゴルバッシュだった。
「オークだと?!
 この砦は100人の精鋭で守りを固めてるんだぞ?!どうやって入った?!」
 軽く説明しよう。
 彼はまず、入り口付近の見張りを静かに倒し、死体を隠した。
 そのまま塔のような砦を自分の腕力だけで登って侵入したのである。
 そこで丁度へパスミスが彼らに襲われているのを聞いたのだ。
 最初は敵全体の様子を把握してから飛び出す気だったのだが、切迫した状況を見て、即炸裂弾で天井を破壊して参上。
 ハニカムが飲尿して取り乱している間に、煙に隠れて仲間達20人を蹴散らし今に至る。
 腰のナイフを手にしながら後退りのハニカム。
「そのゴリラみたいな図体で隠密行動だと?!
 へパスミスの奴め!こんなヤバイ傭兵と知り合いだったのか?!」
「『知り合い』?少し違うな。」
 威圧してガシャンガシャンと歩み寄るゴルバッシュ。兜から覗く白目は全く瞬きしない。
(オークでも……!このダガーの猛毒さえ入れば!)
 動くハニカム。
 だが、呆気なく転倒させられた。
 ゴルバッシュの足蹴一つで。
 ゴルバッシュはハニカムの脳天に手斧を叩き込んだ。刃でなく、柄で。
 鼻血を出し、脳震盪を起こして倒れるハニカム。
 ゴルバッシュは彼の頭を両手で引き寄せた。
 冷静なようで、目が笑っていない。
 それもその筈、ハニカムが妻を辱め、過去にもその心を踏み躙ったのだから。
「いい事を教えてやろう。
 俺の住んでたオークの村にはこんな言葉がある。
 『他人の妻を愛なく犯した奴には、牛の糞を食わせて窒息死させろ』、……ってな!」
 ハニカムの顎骨が割れる音。
 ゴルバッシュは砕いたばかりのグラグラの口に、拳を突っ込む。
 ハニカムはもがき苦しんだ。
「ン〜っっっ!!!!フゥウウ〜〜〜〜〜〜っっっ!!!!!」
 様々な激痛と、ぼやける視界、止まる呼吸。
 死の恐怖の中で、じわじわと息絶えた。
 ゴルバッシュはハニカムの亡骸を捨てた。
「ほら、終わった……。もういいぞ。」
 呼ばれて、這うように出てくるへパスミス。
 乱された服を直し、ハニカムの前に立つ。
 彼女は引きっつった笑みを浮かべ、いきなり陽気に叫んだ。
「ザマアみなさい!!!バーカ、バーカ!!!」
 ブーツの尖った爪先でハニカムの股間を1発蹴飛ばす。
 彼を悲しませないように作った笑顔。
 それは直ぐに崩れた。息も震えたまま。
「へパスミス……。」
「ゴルバッシュ、さっさと帰ろう!!」
「……大丈夫か?」
「大丈夫よっ!!
 そ、そうだ!討伐の報酬貰いに行かなきゃね?!」 
 ゴルバッシュは彼女を背中から抱いた。
「……こんな時に女に胸を貸してやれない程、俺は頼りない男か?」
「ゴル……。」
 彼女の弱々しい小さな声。
 へパスミスの目から涙が溢れる。
 堰き止めていた気持ちが声となって漏れ出し、止まらなくなった。
 ゴルバッシュは彼女を胸に抱き寄せると、マントで彼女の顔を包んで隠してやった。