3-4 ◇ 詩織 Side ◇
ー/ー「ええっ……!? こ、ここ……!?」
あたしが向かった先に気づいたユウトは、随分と驚いていた様子だった。
どうせこの男にそういうつもりがないことは分かっていた。
最初からそういった甲斐性は期待していない。
「ぼ、僕、こういうトコきたことないんだけど……」
露骨に狼狽えるユウトだが、それは無視して部屋の番号と内装の写真が無数に表示されたボードの前まで歩いていった。
変に口を開いて、内心の焦燥を感じ取られたら癪だったからだ。
あたしだって、ラブホテルにきたことなんて生まれて初めてだった。
チェックインの方法などは事前にスマホで調べてあるが、だからといって実際にやるのとでは緊張感が違う。
ボードの中から適当な部屋を選択すると、心臓が口から飛び出しそうになるのを堪えながらエレベーターのほうに歩いていった。
ユウトは困惑したようにキョロキョロとしながらもしっかりとあとをついてきて、そのまま二人でエレベーターの中に吸い込まれていく。
狭苦しい箱の中で二人っきりになった瞬間、ユウトの体臭が漂ってきたような気がして、首筋が熱くなるのを感じた。
本音を言えば、もうこの時点でユウトの体に思い切り抱きつきたかった。
馬鹿げた話だが、ゲームセンターで後ろから手を握られてから、あたしの頭はもうすっかりそのことしか考えられなくなっていたのだ。
(ユウト……)
チラリと視線を横に向ける。
ユウトは相変わらずのとぼけた顔で、ぼんやりと階表示の液晶板を見上げていた。
あたしがここまでドキドキしているのに、ひたすら暢気なこの男が憎らしい。
——だというのに、そんな意思に反して、胸の高鳴りはますます強くなっていく。
(……もうダメ……我慢できない……)
エレベーターはなかなか目的の階にたどり着かない。
どうしても抑えきれず、ユウトの腕を無理やり引き寄せ、その唇に強引にキスをした。
ユウトはだいぶ驚いた顔をしていたが、抵抗はしてこなかった。
(ああ……ユウト……)
一週間ぶりの甘やかなその感触に、一気にあたしの脳髄が溶けていく。
まったく手入れのされていない乾燥した唇も、仄かに香る唾液の匂いも、あたしがこの一週間ずっと待ち焦がれていたものだった。
「ま、眞鍋さん……」
ユウトがポツリとこぼす。その呼び方も、無性に腹立たしかった。
「……詩織って呼んで」
以前は熱に浮かされたように言えた言葉が、今はどうにも気恥ずかしい。
驚いたように目を丸くするユウトに、あたしはもう一度キスをする。
やがてエレベーターが目的の階に着き、扉が開いた。
あたしはユウトの手を取ると、そのまま強引に指定した部屋まで彼の手を引いていった。
(これはただの性欲処理……これはただの性欲処理……)
頭の中ではひたすらそんな言い訳を繰り返していたが、この感情がそんな生ぬるいものでないことはもう分かっている。
今すぐユウトにめちゃくちゃにされたい――あたしの奥底に眠るのは、そんな本能にも似た強い衝動だった。
※
「んんっ……ぁむ……ユウト……んちゅっ……れろぇろ……ちゅぅ……」
部屋に入るなりユウトの体を抱きしめ、その唇に貪りついた。
最初は戸惑いの色があった彼の瞳にも、やがて熱い情動が宿ってくるのが分かる。
これまでの暢気な目つきとは違う、あたしを女として見ている雄の目だ。
下腹部のあたりがキュッと蠢くのを感じた。
もう体のほうが求めてしまっている。
稲村ユウトという雄を、あたしの体が求めてしまっているのだ。
(そう……別に体の相性がよかっただけ……別に、好きとかじゃ……)
まだ少し冷静な部分が、頭の奥でそう告げる。
「ユウト……んちゅぅ……んむっ……ユウト、好き……」
しかし、頭でどれだけ否定しても、あたしの口は勝手にそんな言葉を口にしていた。
そして、自分の口から飛び出したその言葉が、あたし自身の脳を蕩かしていく。
「ほんとは、あれから……ちゅっ……ずっと……んちゅぅ……今日のこと、楽しみにしてたんだからぁ……」
何度も何度もユウトの唇を啄みながら、熱に浮かされたように囁き続ける。
聞いていて、自分で恥ずかしくなってくるレベルだ。
「詩織……!」
だが、そんなあたしの様子に、ユウトはしっかり興奮してくれたらしい。
あたしの体を抱き返す力が強くなり、そのままスカートの上からギュッとお尻を掴まれる。
(あっ……犯される……あたし、今からユウトに犯されるんだ……)
頭の奥底まで、甘い痺れのようなもので満たされてくのを感じた。
抗えない。どれだけ上辺で否定したところで、あたしの心も体も最初からユウトを受け入れる準備はできている。
いや、ユウトに犯されることを望んでいるのだ。
「ユウト……好き……ねぇ、ユウトは……?」
「僕は……」
一瞬だけ、ユウトの瞳が戸惑いに揺れる。
言葉では答えずにあたしの唇をキスで強引に塞ぐと、そのまま雪崩込むようにベッドのほうへと押し倒してきた。
ユウトの脳裏に夏希の顔が浮かんでいたことは、最初から分かっている。
だが、それでもユウトがこうやって押し倒してきたということは、あたしにだって彼の心の隙間に入り込む余地があるということだ。
心臓が跳ねるのを感じた。
ユウトの一番になりたい。いつもユウトにあたしのことを考えてほしい。
ベッドの上で舌を絡め合い、互いの唇を貪り合うようにキスを交わしながら、気づけばあたしの手はユウトの股間に伸びていた。
あたしが向かった先に気づいたユウトは、随分と驚いていた様子だった。
どうせこの男にそういうつもりがないことは分かっていた。
最初からそういった甲斐性は期待していない。
「ぼ、僕、こういうトコきたことないんだけど……」
露骨に狼狽えるユウトだが、それは無視して部屋の番号と内装の写真が無数に表示されたボードの前まで歩いていった。
変に口を開いて、内心の焦燥を感じ取られたら癪だったからだ。
あたしだって、ラブホテルにきたことなんて生まれて初めてだった。
チェックインの方法などは事前にスマホで調べてあるが、だからといって実際にやるのとでは緊張感が違う。
ボードの中から適当な部屋を選択すると、心臓が口から飛び出しそうになるのを堪えながらエレベーターのほうに歩いていった。
ユウトは困惑したようにキョロキョロとしながらもしっかりとあとをついてきて、そのまま二人でエレベーターの中に吸い込まれていく。
狭苦しい箱の中で二人っきりになった瞬間、ユウトの体臭が漂ってきたような気がして、首筋が熱くなるのを感じた。
本音を言えば、もうこの時点でユウトの体に思い切り抱きつきたかった。
馬鹿げた話だが、ゲームセンターで後ろから手を握られてから、あたしの頭はもうすっかりそのことしか考えられなくなっていたのだ。
(ユウト……)
チラリと視線を横に向ける。
ユウトは相変わらずのとぼけた顔で、ぼんやりと階表示の液晶板を見上げていた。
あたしがここまでドキドキしているのに、ひたすら暢気なこの男が憎らしい。
——だというのに、そんな意思に反して、胸の高鳴りはますます強くなっていく。
(……もうダメ……我慢できない……)
エレベーターはなかなか目的の階にたどり着かない。
どうしても抑えきれず、ユウトの腕を無理やり引き寄せ、その唇に強引にキスをした。
ユウトはだいぶ驚いた顔をしていたが、抵抗はしてこなかった。
(ああ……ユウト……)
一週間ぶりの甘やかなその感触に、一気にあたしの脳髄が溶けていく。
まったく手入れのされていない乾燥した唇も、仄かに香る唾液の匂いも、あたしがこの一週間ずっと待ち焦がれていたものだった。
「ま、眞鍋さん……」
ユウトがポツリとこぼす。その呼び方も、無性に腹立たしかった。
「……詩織って呼んで」
以前は熱に浮かされたように言えた言葉が、今はどうにも気恥ずかしい。
驚いたように目を丸くするユウトに、あたしはもう一度キスをする。
やがてエレベーターが目的の階に着き、扉が開いた。
あたしはユウトの手を取ると、そのまま強引に指定した部屋まで彼の手を引いていった。
(これはただの性欲処理……これはただの性欲処理……)
頭の中ではひたすらそんな言い訳を繰り返していたが、この感情がそんな生ぬるいものでないことはもう分かっている。
今すぐユウトにめちゃくちゃにされたい――あたしの奥底に眠るのは、そんな本能にも似た強い衝動だった。
※
「んんっ……ぁむ……ユウト……んちゅっ……れろぇろ……ちゅぅ……」
部屋に入るなりユウトの体を抱きしめ、その唇に貪りついた。
最初は戸惑いの色があった彼の瞳にも、やがて熱い情動が宿ってくるのが分かる。
これまでの暢気な目つきとは違う、あたしを女として見ている雄の目だ。
下腹部のあたりがキュッと蠢くのを感じた。
もう体のほうが求めてしまっている。
稲村ユウトという雄を、あたしの体が求めてしまっているのだ。
(そう……別に体の相性がよかっただけ……別に、好きとかじゃ……)
まだ少し冷静な部分が、頭の奥でそう告げる。
「ユウト……んちゅぅ……んむっ……ユウト、好き……」
しかし、頭でどれだけ否定しても、あたしの口は勝手にそんな言葉を口にしていた。
そして、自分の口から飛び出したその言葉が、あたし自身の脳を蕩かしていく。
「ほんとは、あれから……ちゅっ……ずっと……んちゅぅ……今日のこと、楽しみにしてたんだからぁ……」
何度も何度もユウトの唇を啄みながら、熱に浮かされたように囁き続ける。
聞いていて、自分で恥ずかしくなってくるレベルだ。
「詩織……!」
だが、そんなあたしの様子に、ユウトはしっかり興奮してくれたらしい。
あたしの体を抱き返す力が強くなり、そのままスカートの上からギュッとお尻を掴まれる。
(あっ……犯される……あたし、今からユウトに犯されるんだ……)
頭の奥底まで、甘い痺れのようなもので満たされてくのを感じた。
抗えない。どれだけ上辺で否定したところで、あたしの心も体も最初からユウトを受け入れる準備はできている。
いや、ユウトに犯されることを望んでいるのだ。
「ユウト……好き……ねぇ、ユウトは……?」
「僕は……」
一瞬だけ、ユウトの瞳が戸惑いに揺れる。
言葉では答えずにあたしの唇をキスで強引に塞ぐと、そのまま雪崩込むようにベッドのほうへと押し倒してきた。
ユウトの脳裏に夏希の顔が浮かんでいたことは、最初から分かっている。
だが、それでもユウトがこうやって押し倒してきたということは、あたしにだって彼の心の隙間に入り込む余地があるということだ。
心臓が跳ねるのを感じた。
ユウトの一番になりたい。いつもユウトにあたしのことを考えてほしい。
ベッドの上で舌を絡め合い、互いの唇を貪り合うようにキスを交わしながら、気づけばあたしの手はユウトの股間に伸びていた。
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「ぼ、僕、こういうトコきたことないんだけど……」
露骨に狼狽えるユウトだが、それは無視して部屋の番号と内装の写真が無数に表示されたボードの前まで歩いていった。
変に口を開いて、内心の焦燥を感じ取られたら癪だったからだ。
あたしだって、ラブホテルにきたことなんて生まれて初めてだった。
チェックインの方法などは事前にスマホで調べてあるが、だからといって実際にやるのとでは緊張感が違う。
ボードの中から適当な部屋を選択すると、心臓が口から飛び出しそうになるのを堪えながらエレベーターのほうに歩いていった。
ユウトは困惑したようにキョロキョロとしながらもしっかりとあとをついてきて、そのまま二人でエレベーターの中に吸い込まれていく。
狭苦しい箱の中で二人っきりになった瞬間、ユウトの体臭が漂ってきたような気がして、首筋が熱くなるのを感じた。
本音を言えば、もうこの時点でユウトの体に思い切り抱きつきたかった。
馬鹿げた話だが、ゲームセンターで後ろから手を握られてから、あたしの頭はもうすっかりそのことしか考えられなくなっていたのだ。
(ユウト……)
チラリと視線を横に向ける。
ユウトは相変わらずのとぼけた顔で、ぼんやりと階表示の液晶板を見上げていた。
あたしがここまでドキドキしているのに、ひたすら暢気なこの男が憎らしい。
——だというのに、そんな意思に反して、胸の高鳴りはますます強くなっていく。
(……もうダメ……我慢できない……)
エレベーターはなかなか目的の階にたどり着かない。
どうしても抑えきれず、ユウトの腕を無理やり引き寄せ、その唇に強引にキスをした。
ユウトはだいぶ驚いた顔をしていたが、抵抗はしてこなかった。
(ああ……ユウト……)
一週間ぶりの甘やかなその感触に、一気にあたしの脳髄が溶けていく。
まったく手入れのされていない乾燥した唇も、仄かに香る唾液の匂いも、あたしがこの一週間ずっと待ち焦がれていたものだった。
「ま、眞鍋さん……」
ユウトがポツリとこぼす。その呼び方も、無性に腹立たしかった。
「……詩織って呼んで」
以前は熱に浮かされたように言えた言葉が、今はどうにも気恥ずかしい。
驚いたように目を丸くするユウトに、あたしはもう一度キスをする。
やがてエレベーターが目的の階に着き、扉が開いた。
あたしはユウトの手を取ると、そのまま強引に指定した部屋まで彼の手を引いていった。
(これはただの性欲処理……これはただの性欲処理……)
頭の中ではひたすらそんな言い訳を繰り返していたが、この感情がそんな生ぬるいものでないことはもう分かっている。
今すぐユウトにめちゃくちゃにされたい――あたしの奥底に眠るのは、そんな本能にも似た強い衝動だった。
※
「んんっ……ぁむ……ユウト……んちゅっ……れろぇろ……ちゅぅ……」
部屋に入るなりユウトの体を抱きしめ、その唇に貪りついた。
最初は戸惑いの色があった彼の瞳にも、やがて熱い情動が宿ってくるのが分かる。
これまでの暢気な目つきとは違う、あたしを女として見ている雄の目だ。
下腹部のあたりがキュッと蠢くのを感じた。
もう体のほうが求めてしまっている。
稲村ユウトという雄を、あたしの体が求めてしまっているのだ。
(そう……別に体の相性がよかっただけ……別に、好きとかじゃ……)
まだ少し冷静な部分が、頭の奥でそう告げる。
「ユウト……んちゅぅ……んむっ……ユウト、好き……」
しかし、頭でどれだけ否定しても、あたしの口は勝手にそんな言葉を口にしていた。
そして、自分の口から飛び出したその言葉が、あたし自身の脳を蕩かしていく。
「ほんとは、あれから……ちゅっ……ずっと……んちゅぅ……今日のこと、楽しみにしてたんだからぁ……」
何度も何度もユウトの唇を啄みながら、熱に浮かされたように囁き続ける。
聞いていて、自分で恥ずかしくなってくるレベルだ。
「詩織……!」
だが、そんなあたしの様子に、ユウトはしっかり興奮してくれたらしい。
あたしの体を抱き返す力が強くなり、そのままスカートの上からギュッとお尻を掴まれる。
(あっ……犯される……あたし、今からユウトに犯されるんだ……)
頭の奥底まで、甘い痺れのようなもので満たされてくのを感じた。
抗えない。どれだけ上辺で否定したところで、あたしの心も体も最初からユウトを受け入れる準備はできている。
いや、ユウトに犯されることを望んでいるのだ。
「ユウト……好き……ねぇ、ユウトは……?」
「僕は……」
一瞬だけ、ユウトの瞳が戸惑いに揺れる。
言葉では答えずにあたしの唇をキスで強引に塞ぐと、そのまま雪崩込むようにベッドのほうへと押し倒してきた。
ユウトの脳裏に夏希の顔が浮かんでいたことは、最初から分かっている。
だが、それでもユウトがこうやって押し倒してきたということは、あたしにだって彼の心の隙間に入り込む余地があるということだ。
心臓が跳ねるのを感じた。
ユウトの一番になりたい。いつもユウトにあたしのことを考えてほしい。
ベッドの上で舌を絡め合い、互いの唇を貪り合うようにキスを交わしながら、気づけばあたしの手はユウトの股間に伸びていた。