第百八十八話 退却、カスパニアA軍集団
ー/ー カスパニア王国は、ゴズフレズ王国に侵攻するに当たり、三つの軍集団を編成していた。
占領したゴズフレズ北方の城塞都市ティティスを拠点とするA軍集団、中部の都市ブナレスを拠点とするB軍集団、南部の都市リベを拠点とするC軍集団の三つであった。
カスパニアの三つの軍集団は、寡兵のゴズフレズ軍を相手に優勢に侵略を進めていた。
しかし、A軍集団の優勢は、アレクたち教導大隊の活躍によって瓦解していく。
--カスパニア軍 A軍集団 本営。
カスパニア軍A軍集団を率いるシロヒゲ将軍の本営に突如、大きな振動と轟音が轟く。
驚いたシロヒゲは、座っていた椅子から立ち上がり、周囲に向かって怒鳴る。
「なんだこれは!? どこからの攻撃だ?」
報告に来たカスパニア士官は答える。
「我が軍の背後、空からの攻撃です!」
報告を受けたシロヒゲは、怪訝な顔で答える。
「背後!? 空からだと?」
シロヒゲがテントから外に出て空を見上げると、綺麗に四機でひし形編隊を組み、飛行機雲を曳きながら弧を描いて上空を旋回するアレクたちの飛空艇の機影が見える。
「速い! あの速度! ……ゴズフレズの飛行船では無いな!?」
カスパニア軍士官は、シロヒゲの傍らに来て告げる。
「……スベリエの高速艇でしょうか?」
アレクたちユニコーン小隊に続いて、グリフォン小隊、フェンリル小隊、セイレーン小隊が飛空艇の主砲でカスパニア軍に波状攻撃を加えていく。
シロヒゲの元にA軍集団の各方面から伝令の兵が集まって来る。
「閣下! 突然の空襲により指揮系統が寸断され、我が軍集団は混乱しております!」
シロヒゲは幕僚の士官たちに尋ねる。
「こちらの対空兵器は、どうした?」
士官の一人は答える。
「固定弓といった対空兵器は、野戦陣地に置いてきました」
「むぅ……」
報告を受けたシロヒゲが地面を見ると、足元にアレクたちの飛空艇による砲撃によって、黒焦げになった自分の大将旗が落ちていた。
シロヒゲは呟く。
「シロヒゲが黒焦げになるなど、洒落にならんな……」
シロヒゲの元に伝令の兵士が駆け寄って来る。
「将軍閣下! 一大事です!」
「まだ、何かあるのか!?」
「我が軍の野戦陣地が敵の奇襲攻撃を受け壊滅。野戦陣地の部隊はティティスまで総退却したとのことです!」
「なんだと!?」
シロヒゲと周囲の士官たちが絶句するなか、士官の一人は口を開く。
「閣下、いかが致しますか?」
シロヒゲは、苦虫を噛み潰したような顔で呟く。
「……ここで全滅する訳にはいかん。一旦、ティティスまで退却しろ!」
カスパニアA軍集団は、夕暮れ時に軍を退き、拠点にしている都市ティティスを目指して退却していった。
--夕刻。 ゴズフレズ軍 本陣。
カスパニア軍が退却していった後、ゴズフレズ軍は深追いせず、仮設の陣営を設営して補給と休息を取っていた。
救出した人々の後送を終えたジカイラたちの揚陸艇と、空からカスパニア軍を攻撃していたアレクたちの飛空艇は合流し、ゴズフレズ軍の本陣近くに着陸する。
アレクたち教導大隊は、揚陸艇や飛空艇から降りると、ジカイラを先頭に陣営のテントが立ち並ぶ通路を歩き、軍議を行うべくネルトン将軍のテントへと向かう。
教導大隊が歩く通路の両脇には、ゴズフレズ軍の兵士達が立ち並び、大きな両刃の戦斧を打ち鳴らして教導大隊に歓呼を贈る。
大柄で屈強なゴズフレズの斧戦士たちが立ち並び、一斉に両刃の戦斧を打ち鳴らす様は壮観な眺めであった。
自分のテントを訪れてきた教導大隊に、ネルトンは惜しみない賛辞を贈る。
「諸君、良くやってくれた! さすが『黒い剣士』殿が率いる教導大隊、素晴らしい活躍だった! 我が軍の大勝利だ!」
ジカイラは、笑顔でネルトンに答える。
「ゴズフレズ軍が三倍のカスパニア軍を相手に奮闘したからさ」
カスパニアとの戦争で、初めて大々的にゴズフレズ軍が勝利を収めたため、ネルトン将軍や兵士たちは、高揚していた。
ジカイラは口を開く。
「このまま勢いに乗って一気にティティスを……と行きたいところだが、あの城塞都市は、そう簡単にはいかないだろう」
ネルトンは、ジカイラからの進言を素直に受け入れる。
「ふむ。そう思うか?」
ジカイラは続ける。
「ああ。まずはティティスの中、あの都城の防備や軍勢、捕虜の情報が欲しい」
ジカイラの言葉にネルトンは納得する。
「なるほどな」
ジカイラは、アレクに話し掛ける。
「アレク。ユニコーン小隊でティティスに潜入して中を探れるか?」
アレクは少し考えるが、ジカイラからの提案を受け入れる。
「やってみます」
「そうか。潜入する先は、敵地だ。無理はするなよ?」
「大丈夫です」
ジカイラは続ける。
「ティティスは、海沿いにある城塞都市だ。陸上は城壁に囲まれているから、陸地からの潜入は難しい。海岸からの潜入の方が楽だろう。揚陸艇でティティス沖に着水するから、小舟で海岸や港から潜入しろ」
「わかりました」
軍議を終えた教導大隊は、ゴズフレズ軍が用意した陣営のテントで休む。
ゴズフレズ軍が教導大隊に用意したテントは、士官用の個人テントで十分な広さがあるものであった。
アレクが自分のテントで休んでいると、ナディアがやってくる。
「今、大丈夫? ……アレク。ちょっと、手を貸して欲しいの」
占領したゴズフレズ北方の城塞都市ティティスを拠点とするA軍集団、中部の都市ブナレスを拠点とするB軍集団、南部の都市リベを拠点とするC軍集団の三つであった。
カスパニアの三つの軍集団は、寡兵のゴズフレズ軍を相手に優勢に侵略を進めていた。
しかし、A軍集団の優勢は、アレクたち教導大隊の活躍によって瓦解していく。
--カスパニア軍 A軍集団 本営。
カスパニア軍A軍集団を率いるシロヒゲ将軍の本営に突如、大きな振動と轟音が轟く。
驚いたシロヒゲは、座っていた椅子から立ち上がり、周囲に向かって怒鳴る。
「なんだこれは!? どこからの攻撃だ?」
報告に来たカスパニア士官は答える。
「我が軍の背後、空からの攻撃です!」
報告を受けたシロヒゲは、怪訝な顔で答える。
「背後!? 空からだと?」
シロヒゲがテントから外に出て空を見上げると、綺麗に四機でひし形編隊を組み、飛行機雲を曳きながら弧を描いて上空を旋回するアレクたちの飛空艇の機影が見える。
「速い! あの速度! ……ゴズフレズの飛行船では無いな!?」
カスパニア軍士官は、シロヒゲの傍らに来て告げる。
「……スベリエの高速艇でしょうか?」
アレクたちユニコーン小隊に続いて、グリフォン小隊、フェンリル小隊、セイレーン小隊が飛空艇の主砲でカスパニア軍に波状攻撃を加えていく。
シロヒゲの元にA軍集団の各方面から伝令の兵が集まって来る。
「閣下! 突然の空襲により指揮系統が寸断され、我が軍集団は混乱しております!」
シロヒゲは幕僚の士官たちに尋ねる。
「こちらの対空兵器は、どうした?」
士官の一人は答える。
「固定弓といった対空兵器は、野戦陣地に置いてきました」
「むぅ……」
報告を受けたシロヒゲが地面を見ると、足元にアレクたちの飛空艇による砲撃によって、黒焦げになった自分の大将旗が落ちていた。
シロヒゲは呟く。
「シロヒゲが黒焦げになるなど、洒落にならんな……」
シロヒゲの元に伝令の兵士が駆け寄って来る。
「将軍閣下! 一大事です!」
「まだ、何かあるのか!?」
「我が軍の野戦陣地が敵の奇襲攻撃を受け壊滅。野戦陣地の部隊はティティスまで総退却したとのことです!」
「なんだと!?」
シロヒゲと周囲の士官たちが絶句するなか、士官の一人は口を開く。
「閣下、いかが致しますか?」
シロヒゲは、苦虫を噛み潰したような顔で呟く。
「……ここで全滅する訳にはいかん。一旦、ティティスまで退却しろ!」
カスパニアA軍集団は、夕暮れ時に軍を退き、拠点にしている都市ティティスを目指して退却していった。
--夕刻。 ゴズフレズ軍 本陣。
カスパニア軍が退却していった後、ゴズフレズ軍は深追いせず、仮設の陣営を設営して補給と休息を取っていた。
救出した人々の後送を終えたジカイラたちの揚陸艇と、空からカスパニア軍を攻撃していたアレクたちの飛空艇は合流し、ゴズフレズ軍の本陣近くに着陸する。
アレクたち教導大隊は、揚陸艇や飛空艇から降りると、ジカイラを先頭に陣営のテントが立ち並ぶ通路を歩き、軍議を行うべくネルトン将軍のテントへと向かう。
教導大隊が歩く通路の両脇には、ゴズフレズ軍の兵士達が立ち並び、大きな両刃の戦斧を打ち鳴らして教導大隊に歓呼を贈る。
大柄で屈強なゴズフレズの斧戦士たちが立ち並び、一斉に両刃の戦斧を打ち鳴らす様は壮観な眺めであった。
自分のテントを訪れてきた教導大隊に、ネルトンは惜しみない賛辞を贈る。
「諸君、良くやってくれた! さすが『黒い剣士』殿が率いる教導大隊、素晴らしい活躍だった! 我が軍の大勝利だ!」
ジカイラは、笑顔でネルトンに答える。
「ゴズフレズ軍が三倍のカスパニア軍を相手に奮闘したからさ」
カスパニアとの戦争で、初めて大々的にゴズフレズ軍が勝利を収めたため、ネルトン将軍や兵士たちは、高揚していた。
ジカイラは口を開く。
「このまま勢いに乗って一気にティティスを……と行きたいところだが、あの城塞都市は、そう簡単にはいかないだろう」
ネルトンは、ジカイラからの進言を素直に受け入れる。
「ふむ。そう思うか?」
ジカイラは続ける。
「ああ。まずはティティスの中、あの都城の防備や軍勢、捕虜の情報が欲しい」
ジカイラの言葉にネルトンは納得する。
「なるほどな」
ジカイラは、アレクに話し掛ける。
「アレク。ユニコーン小隊でティティスに潜入して中を探れるか?」
アレクは少し考えるが、ジカイラからの提案を受け入れる。
「やってみます」
「そうか。潜入する先は、敵地だ。無理はするなよ?」
「大丈夫です」
ジカイラは続ける。
「ティティスは、海沿いにある城塞都市だ。陸上は城壁に囲まれているから、陸地からの潜入は難しい。海岸からの潜入の方が楽だろう。揚陸艇でティティス沖に着水するから、小舟で海岸や港から潜入しろ」
「わかりました」
軍議を終えた教導大隊は、ゴズフレズ軍が用意した陣営のテントで休む。
ゴズフレズ軍が教導大隊に用意したテントは、士官用の個人テントで十分な広さがあるものであった。
アレクが自分のテントで休んでいると、ナディアがやってくる。
「今、大丈夫? ……アレク。ちょっと、手を貸して欲しいの」
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占領したゴズフレズ北方の城塞都市ティティスを拠点とするA軍集団、中部の都市ブナレスを拠点とするB軍集団、南部の都市リベを拠点とするC軍集団の三つであった。
カスパニアの三つの軍集団は、寡兵のゴズフレズ軍を相手に優勢に侵略を進めていた。
しかし、A軍集団の優勢は、アレクたち教導大隊の活躍によって瓦解していく。
--カスパニア軍 A軍集団 本営。
カスパニア軍A軍集団を率いるシロヒゲ将軍の本営に突如、大きな振動と轟音が轟く。
驚いたシロヒゲは、座っていた椅子から立ち上がり、周囲に向かって怒鳴る。
「なんだこれは!? どこからの攻撃だ?」
報告に来たカスパニア士官は答える。
「我が軍の背後、空からの攻撃です!」
報告を受けたシロヒゲは、怪訝な顔で答える。
「背後!? 空からだと?」
シロヒゲがテントから外に出て空を見上げると、綺麗に四機でひし形編隊を組み、飛行機雲を曳きながら弧を描いて上空を旋回するアレクたちの飛空艇の機影が見える。
「速い! あの速度! ……ゴズフレズの飛行船では無いな!?」
カスパニア軍士官は、シロヒゲの傍らに来て告げる。
「……スベリエの高速艇でしょうか?」
アレクたちユニコーン小隊に続いて、グリフォン小隊、フェンリル小隊、セイレーン小隊が飛空艇の主砲でカスパニア軍に波状攻撃を加えていく。
シロヒゲの元にA軍集団の各方面から伝令の兵が集まって来る。
「閣下! 突然の空襲により指揮系統が寸断され、我が軍集団は混乱しております!」
シロヒゲは幕僚の士官たちに尋ねる。
「こちらの対空兵器は、どうした?」
士官の一人は答える。
「|固定弓《バリスタ》といった対空兵器は、野戦陣地に置いてきました」
「むぅ……」
報告を受けたシロヒゲが地面を見ると、足元にアレクたちの飛空艇による砲撃によって、黒焦げになった自分の大将旗が落ちていた。
シロヒゲは呟く。
「|シ《・》|ロ《・》|ヒ《・》|ゲ《・》が|黒《・》|焦《・》|げ《・》になるなど、洒落にならんな……」
シロヒゲの元に伝令の兵士が駆け寄って来る。
「将軍閣下! 一大事です!」
「まだ、何かあるのか!?」
「我が軍の野戦陣地が敵の奇襲攻撃を受け壊滅。野戦陣地の部隊はティティスまで総退却したとのことです!」
「なんだと!?」
シロヒゲと周囲の士官たちが絶句するなか、士官の一人は口を開く。
「閣下、いかが致しますか?」
シロヒゲは、苦虫を噛み潰したような顔で呟く。
「……ここで全滅する訳にはいかん。一旦、ティティスまで退却しろ!」
カスパニアA軍集団は、夕暮れ時に軍を退き、拠点にしている都市ティティスを目指して退却していった。
--夕刻。 ゴズフレズ軍 本陣。
カスパニア軍が退却していった後、ゴズフレズ軍は深追いせず、仮設の陣営を設営して補給と休息を取っていた。
救出した人々の後送を終えたジカイラたちの揚陸艇と、空からカスパニア軍を攻撃していたアレクたちの飛空艇は合流し、ゴズフレズ軍の本陣近くに着陸する。
アレクたち教導大隊は、揚陸艇や飛空艇から降りると、ジカイラを先頭に陣営のテントが立ち並ぶ通路を歩き、軍議を行うべくネルトン将軍のテントへと向かう。
教導大隊が歩く通路の両脇には、ゴズフレズ軍の兵士達が立ち並び、大きな両刃の戦斧を打ち鳴らして教導大隊に歓呼を贈る。
大柄で屈強なゴズフレズの斧戦士たちが立ち並び、一斉に両刃の戦斧を打ち鳴らす様は壮観な眺めであった。
自分のテントを訪れてきた教導大隊に、ネルトンは惜しみない賛辞を贈る。
「諸君、良くやってくれた! さすが『黒い剣士』殿が率いる教導大隊、素晴らしい活躍だった! 我が軍の大勝利だ!」
ジカイラは、笑顔でネルトンに答える。
「ゴズフレズ軍が三倍のカスパニア軍を相手に奮闘したからさ」
カスパニアとの戦争で、初めて大々的にゴズフレズ軍が勝利を収めたため、ネルトン将軍や兵士たちは、高揚していた。
ジカイラは口を開く。
「このまま勢いに乗って一気にティティスを……と行きたいところだが、あの城塞都市は、そう簡単にはいかないだろう」
ネルトンは、ジカイラからの進言を素直に受け入れる。
「ふむ。そう思うか?」
ジカイラは続ける。
「ああ。まずはティティスの中、あの都城の防備や軍勢、捕虜の情報が欲しい」
ジカイラの言葉にネルトンは納得する。
「なるほどな」
ジカイラは、アレクに話し掛ける。
「アレク。ユニコーン小隊でティティスに潜入して中を探れるか?」
アレクは少し考えるが、ジカイラからの提案を受け入れる。
「やってみます」
「そうか。潜入する先は、敵地だ。無理はするなよ?」
「大丈夫です」
ジカイラは続ける。
「ティティスは、海沿いにある城塞都市だ。陸上は城壁に囲まれているから、陸地からの潜入は難しい。海岸からの潜入の方が楽だろう。揚陸艇でティティス沖に着水するから、小舟で海岸や港から潜入しろ」
「わかりました」
軍議を終えた教導大隊は、ゴズフレズ軍が用意した陣営のテントで休む。
ゴズフレズ軍が教導大隊に用意したテントは、士官用の個人テントで十分な広さがあるものであった。
アレクが自分のテントで休んでいると、ナディアがやってくる。
「今、大丈夫? ……アレク。ちょっと、手を貸して欲しいの」