第百七十二話 ゴズフレズへの道中
ー/ー ジカイラやアレクたち教導大隊が乗り込む飛行空母ユニコーン・ゼロは、ゴズフレズ王国を目指して飛行していた。
ジカイラとヒナは艦橋にいた。
「ハーックション!」
ヒナは、ジカイラのくしゃみを傍らで見ていて心配する。
「ジカさん、風邪引いたの? 大丈夫??」
ジカイラは、鼻の下を指で擦りながら笑顔でヒナに答える。
「大丈夫さ。……誰か、オレの噂をしてるな」
ジカイラは、航法士官に尋ねる。
「今、どの辺りだ?」
「ルードシュタット侯爵領を抜け、ゲキックス伯爵領内に差し掛かったところです。竜王山脈の麓の高地上空、高度四千メートルです」
「どおりで……冷えると思った」
航法士官は、ジカイラの言葉に怪訝な顔をする。
「中佐、寒いのですか? 艦橋は与圧されていて、暖房も入っていますが……」
ジカイラは航法士官の言葉に苦笑いする。
「いや。寒いのは、気持ちだけさ」
ジカイラが飛行空母の艦橋の窓から外の景色を眺めると、眼下に広がっていたのは、標高の高い峻険な山々が連なる竜王山脈と高地であった。
アレクとアル、ユニコーン小隊の女の子四人は、飛行空母のラウンジで寛いでいた。
アレクとアルは、ラウンジのカウンター席で二人で冷たいお茶を飲みながら話し、ルイーゼ、ナタリー、エルザ、ナディアは、窓際のいつもの席でフルーツパフェを食べながら、おしゃべりしていた。
カウンター席にいる二人の元にグリフォン小隊の戦斧を持った戦士、ブルクハルト・ヴェーバーがやってくる。
小隊対抗トーナメントで対戦して以来、アルとブルクハルトは親しくなっていた。
ブルクハルトはアルに話し掛ける。
「よぉ、アル。聞いたぞ~。ユニコーンは転職したんだってな」
アルは得意気にブルクハルトに答える。
「おう! オレは剣闘士になったぜ!」
「上級職も二人いるとか……」
アルは、傍らにいるアレクを左手の親指で指し示しながら答える。
「良く知ってるな。ここにいる隊長のアレクが上級騎士に、ルイーゼが忍者になったんだよ」
ブルクハルトは、素直にアレクの上級騎士への転職を称賛する。
「おぉ! おめでとう! 上級騎士なんて滅多になれるものじゃないし、近接戦最強の職種だ。その胸に下げている帝国騎士十字章は伊達じゃないな!」
アレクは、ブルクハルトに称賛され照れながら答える。
「ありがとう」
ブルクハルトは尋ねる。
「……ところで、ルイーゼって?」
アルは女の子たちのいる窓際の席を指し示しながら答える。
「ホラ。あの窓際の席に女の子たちがいるだろ? 左端の南方系の娘がオレの彼女のナタリー。その隣でフルーツパフェを食べている娘がルイーゼだよ」
ブルクハルトがルイーゼに目を向けると、ちょうどルイーゼが笑顔でフルーツパフェを頬張っているところであった。
ブルクハルトは、可愛らしい笑顔のルイーゼを見て、目が点になる。
ブルクハルトは目を点にしたまま、ルイーゼを指差してアルに尋ねる。
「……あの可愛い娘が? ……忍者なの?」
「そうだよ」
ブルクハルトは苦笑いしながらアルに告げる。
「おいおい……お前、オレをからかっているのか? 『忍者』ってのは、厳しい修行を積んで、諜報や破壊工作、暗殺を専門とする斥候・盗賊系の頂点を極めた者がなれる職業で、言ってみれば『殺人機械』みたいな奴だぞ?」
アルは、ブルクハルトの顔を見ながら真顔で答える。
「からかってなんかいないよ。……本当さ……何なら、自分で試してみると良い」
ブルクハルトは苦笑いする。
「試すのは……やめておこう。……お前を信じるよ。」
そう言うと、ブルクハルトはラウンジにいるグリフォン小隊の仲間の元に戻って行った。
しばらくすると、ラウンジにフェンリル小隊の面々がやって来る。
「よぉ、アレク! 上級騎士になったんだってな! おめでとう!」
フェンリル小隊の隊長フレデリク・コイエットは、そう言ってアレクに声を掛けて来た。
小隊対抗トーナメントで戦って以来、各小隊間での親睦も深まりつつあった。
「ありがとう」
アレクは照れ臭そうにフレデリクに答える。
フレデリクは続ける。
「ユニコーンは、メンバーが皆、転職したんだってな。オレたち、フェンリルも転職を考えないといけないなぁ……」
アレクたちのユニコーンは、フレデリクのフェンリル小隊より先に転職を済ませていたため、アレクはしたり顔で転職について話す。
「転職は重要だし、小隊の戦力増強のためにも、できるならやった方が良い。基本的には現在の基本職の延長線上が良いだろう。戦士ならば戦士系の中堅職で。いきなり別の職種になれるほど技能や能力があれば別だけど」
フレデリクは、アレクの話に納得したように頷く。
「なるほどなぁ……」
アレクの元にフェンリル小隊の僧侶の女の子エマが駆け寄って来る。
エマは、頬を赤らめながら笑顔でアレクに告げる。
「アレク中尉、上級騎士への転職、おめでとうございます!」
フェンリル小隊の女の子エマは、学校の屋上でアレクにお菓子とラブレターを渡した女の子であった。
「ありがとう。エマ」
アレクとエマが話していると、ラウンジにジカイラがやって来る。
「二人とも、ここにいたのか」
「はい」
「ジカイラ中佐!」
「それじゃ、私達はこれで」
ジカイラが現れた事で、フェンリル小隊の二人は仲間の元に戻って行った。
ジカイラはアレクに話し掛ける。
「お? 取り込み中だったのか? 邪魔して済まなかったな」
アレクは苦笑いしながら答える。
「いえ、大丈夫です」
ジカイラは、アレクの隣のカウンター席に座り、アレクに告げる。
「今の内だぞ? 女を抱くのも、口説くのも、仲間と遊ぶのも。……戦場に着いたら、常に周囲に注意して、気を引き締めていないとな。戦場では、一瞬の油断が命取りになる」
ジカイラからの忠告に、アレクは真剣に答える。
「はい」
アレクは、士官学校での日々で、ルイーゼという恋人や小隊の仲間たち、教導大隊の大勢の戦友たちに囲まれ、楽しく過ごしていた。
アレクたちを乗せた飛行空母ユニコーン・ゼロは、竜王山脈上空を北へ向かっていく。
ジカイラとヒナは艦橋にいた。
「ハーックション!」
ヒナは、ジカイラのくしゃみを傍らで見ていて心配する。
「ジカさん、風邪引いたの? 大丈夫??」
ジカイラは、鼻の下を指で擦りながら笑顔でヒナに答える。
「大丈夫さ。……誰か、オレの噂をしてるな」
ジカイラは、航法士官に尋ねる。
「今、どの辺りだ?」
「ルードシュタット侯爵領を抜け、ゲキックス伯爵領内に差し掛かったところです。竜王山脈の麓の高地上空、高度四千メートルです」
「どおりで……冷えると思った」
航法士官は、ジカイラの言葉に怪訝な顔をする。
「中佐、寒いのですか? 艦橋は与圧されていて、暖房も入っていますが……」
ジカイラは航法士官の言葉に苦笑いする。
「いや。寒いのは、気持ちだけさ」
ジカイラが飛行空母の艦橋の窓から外の景色を眺めると、眼下に広がっていたのは、標高の高い峻険な山々が連なる竜王山脈と高地であった。
アレクとアル、ユニコーン小隊の女の子四人は、飛行空母のラウンジで寛いでいた。
アレクとアルは、ラウンジのカウンター席で二人で冷たいお茶を飲みながら話し、ルイーゼ、ナタリー、エルザ、ナディアは、窓際のいつもの席でフルーツパフェを食べながら、おしゃべりしていた。
カウンター席にいる二人の元にグリフォン小隊の戦斧を持った戦士、ブルクハルト・ヴェーバーがやってくる。
小隊対抗トーナメントで対戦して以来、アルとブルクハルトは親しくなっていた。
ブルクハルトはアルに話し掛ける。
「よぉ、アル。聞いたぞ~。ユニコーンは転職したんだってな」
アルは得意気にブルクハルトに答える。
「おう! オレは剣闘士になったぜ!」
「上級職も二人いるとか……」
アルは、傍らにいるアレクを左手の親指で指し示しながら答える。
「良く知ってるな。ここにいる隊長のアレクが上級騎士に、ルイーゼが忍者になったんだよ」
ブルクハルトは、素直にアレクの上級騎士への転職を称賛する。
「おぉ! おめでとう! 上級騎士なんて滅多になれるものじゃないし、近接戦最強の職種だ。その胸に下げている帝国騎士十字章は伊達じゃないな!」
アレクは、ブルクハルトに称賛され照れながら答える。
「ありがとう」
ブルクハルトは尋ねる。
「……ところで、ルイーゼって?」
アルは女の子たちのいる窓際の席を指し示しながら答える。
「ホラ。あの窓際の席に女の子たちがいるだろ? 左端の南方系の娘がオレの彼女のナタリー。その隣でフルーツパフェを食べている娘がルイーゼだよ」
ブルクハルトがルイーゼに目を向けると、ちょうどルイーゼが笑顔でフルーツパフェを頬張っているところであった。
ブルクハルトは、可愛らしい笑顔のルイーゼを見て、目が点になる。
ブルクハルトは目を点にしたまま、ルイーゼを指差してアルに尋ねる。
「……あの可愛い娘が? ……忍者なの?」
「そうだよ」
ブルクハルトは苦笑いしながらアルに告げる。
「おいおい……お前、オレをからかっているのか? 『忍者』ってのは、厳しい修行を積んで、諜報や破壊工作、暗殺を専門とする斥候・盗賊系の頂点を極めた者がなれる職業で、言ってみれば『殺人機械』みたいな奴だぞ?」
アルは、ブルクハルトの顔を見ながら真顔で答える。
「からかってなんかいないよ。……本当さ……何なら、自分で試してみると良い」
ブルクハルトは苦笑いする。
「試すのは……やめておこう。……お前を信じるよ。」
そう言うと、ブルクハルトはラウンジにいるグリフォン小隊の仲間の元に戻って行った。
しばらくすると、ラウンジにフェンリル小隊の面々がやって来る。
「よぉ、アレク! 上級騎士になったんだってな! おめでとう!」
フェンリル小隊の隊長フレデリク・コイエットは、そう言ってアレクに声を掛けて来た。
小隊対抗トーナメントで戦って以来、各小隊間での親睦も深まりつつあった。
「ありがとう」
アレクは照れ臭そうにフレデリクに答える。
フレデリクは続ける。
「ユニコーンは、メンバーが皆、転職したんだってな。オレたち、フェンリルも転職を考えないといけないなぁ……」
アレクたちのユニコーンは、フレデリクのフェンリル小隊より先に転職を済ませていたため、アレクはしたり顔で転職について話す。
「転職は重要だし、小隊の戦力増強のためにも、できるならやった方が良い。基本的には現在の基本職の延長線上が良いだろう。戦士ならば戦士系の中堅職で。いきなり別の職種になれるほど技能や能力があれば別だけど」
フレデリクは、アレクの話に納得したように頷く。
「なるほどなぁ……」
アレクの元にフェンリル小隊の僧侶の女の子エマが駆け寄って来る。
エマは、頬を赤らめながら笑顔でアレクに告げる。
「アレク中尉、上級騎士への転職、おめでとうございます!」
フェンリル小隊の女の子エマは、学校の屋上でアレクにお菓子とラブレターを渡した女の子であった。
「ありがとう。エマ」
アレクとエマが話していると、ラウンジにジカイラがやって来る。
「二人とも、ここにいたのか」
「はい」
「ジカイラ中佐!」
「それじゃ、私達はこれで」
ジカイラが現れた事で、フェンリル小隊の二人は仲間の元に戻って行った。
ジカイラはアレクに話し掛ける。
「お? 取り込み中だったのか? 邪魔して済まなかったな」
アレクは苦笑いしながら答える。
「いえ、大丈夫です」
ジカイラは、アレクの隣のカウンター席に座り、アレクに告げる。
「今の内だぞ? 女を抱くのも、口説くのも、仲間と遊ぶのも。……戦場に着いたら、常に周囲に注意して、気を引き締めていないとな。戦場では、一瞬の油断が命取りになる」
ジカイラからの忠告に、アレクは真剣に答える。
「はい」
アレクは、士官学校での日々で、ルイーゼという恋人や小隊の仲間たち、教導大隊の大勢の戦友たちに囲まれ、楽しく過ごしていた。
アレクたちを乗せた飛行空母ユニコーン・ゼロは、竜王山脈上空を北へ向かっていく。
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ジカイラやアレクたち教導大隊が乗り込む飛行空母ユニコーン・ゼロは、ゴズフレズ王国を目指して飛行していた。
ジカイラとヒナは艦橋にいた。
「ハーックション!」
ヒナは、ジカイラのくしゃみを傍らで見ていて心配する。
「ジカさん、風邪引いたの? 大丈夫??」
ジカイラは、鼻の下を指で擦りながら笑顔でヒナに答える。
「大丈夫さ。……誰か、オレの噂をしてるな」
ジカイラは、航法士官に尋ねる。
「今、どの辺りだ?」
「ルードシュタット侯爵領を抜け、ゲキックス伯爵領内に差し掛かったところです。竜王山脈の麓の高地上空、高度四千メートルです」
「どおりで……冷えると思った」
航法士官は、ジカイラの言葉に怪訝な顔をする。
「中佐、寒いのですか? 艦橋は与圧されていて、暖房も入っていますが……」
ジカイラは航法士官の言葉に苦笑いする。
「いや。寒いのは、気持ちだけさ」
ジカイラが飛行空母の艦橋の窓から外の景色を眺めると、眼下に広がっていたのは、標高の高い峻険な山々が連なる竜王山脈と高地であった。
アレクとアル、ユニコーン小隊の女の子四人は、飛行空母のラウンジで寛いでいた。
アレクとアルは、ラウンジのカウンター席で二人で冷たいお茶を飲みながら話し、ルイーゼ、ナタリー、エルザ、ナディアは、窓際のいつもの席でフルーツパフェを食べながら、おしゃべりしていた。
カウンター席にいる二人の元にグリフォン小隊の戦斧を持った戦士、ブルクハルト・ヴェーバーがやってくる。
小隊対抗トーナメントで対戦して以来、アルとブルクハルトは親しくなっていた。
ブルクハルトはアルに話し掛ける。
「よぉ、アル。聞いたぞ~。ユニコーンは|転職《クラスチェンジ》したんだってな」
アルは得意気にブルクハルトに答える。
「おう! オレは|剣闘士《グラディエーター》になったぜ!」
「上級職も二人いるとか……」
アルは、傍らにいるアレクを左手の親指で指し示しながら答える。
「良く知ってるな。ここにいる隊長のアレクが|上級騎士《パラディン》に、ルイーゼが忍者になったんだよ」
ブルクハルトは、素直にアレクの|上級騎士《パラディン》への|転職《クラスチェンジ》を称賛する。
「おぉ! おめでとう! |上級騎士《パラディン》なんて滅多になれるものじゃないし、近接戦最強の職種だ。その胸に下げている|帝国騎士《ライヒス・リッター》|十字章《・クロス》は伊達じゃないな!」
アレクは、ブルクハルトに称賛され照れながら答える。
「ありがとう」
ブルクハルトは尋ねる。
「……ところで、ルイーゼって?」
アルは女の子たちのいる窓際の席を指し示しながら答える。
「ホラ。あの窓際の席に女の子たちがいるだろ? 左端の南方系の|娘《こ》がオレの彼女のナタリー。その隣でフルーツパフェを食べている|娘《こ》がルイーゼだよ」
ブルクハルトがルイーゼに目を向けると、ちょうどルイーゼが笑顔でフルーツパフェを頬張っているところであった。
ブルクハルトは、可愛らしい笑顔のルイーゼを見て、目が点になる。
ブルクハルトは目を点にしたまま、ルイーゼを指差してアルに尋ねる。
「……あの可愛い|娘《こ》が? ……忍者なの?」
「そうだよ」
ブルクハルトは苦笑いしながらアルに告げる。
「おいおい……お前、オレをからかっているのか? 『忍者』ってのは、厳しい修行を積んで、諜報や破壊工作、暗殺を専門とする斥候・盗賊系の頂点を極めた者がなれる|職業《クラス》で、言ってみれば『|殺人機械《キリングマシーン》』みたいな奴だぞ?」
アルは、ブルクハルトの顔を見ながら真顔で答える。
「からかってなんかいないよ。……本当さ……何なら、自分で試してみると良い」
ブルクハルトは苦笑いする。
「試すのは……やめておこう。……お前を信じるよ。」
そう言うと、ブルクハルトはラウンジにいるグリフォン小隊の仲間の元に戻って行った。
しばらくすると、ラウンジにフェンリル小隊の面々がやって来る。
「よぉ、アレク! |上級騎士《パラディン》になったんだってな! おめでとう!」
フェンリル小隊の隊長フレデリク・コイエットは、そう言ってアレクに声を掛けて来た。
小隊対抗トーナメントで戦って以来、各小隊間での親睦も深まりつつあった。
「ありがとう」
アレクは照れ臭そうにフレデリクに答える。
フレデリクは続ける。
「ユニコーンは、メンバーが皆、|転職《クラスチェンジ》したんだってな。オレたち、フェンリルも|転職《クラスチェンジ》を考えないといけないなぁ……」
アレクたちのユニコーンは、フレデリクのフェンリル小隊より先に|転職《クラスチェンジ》を済ませていたため、アレクはしたり顔で|転職《クラスチェンジ》について話す。
「|転職《クラスチェンジ》は重要だし、小隊の戦力増強のためにも、できるならやった方が良い。基本的には現在の基本職の延長線上が良いだろう。戦士ならば戦士系の中堅職で。いきなり別の職種になれるほど技能や能力があれば別だけど」
フレデリクは、アレクの話に納得したように頷く。
「なるほどなぁ……」
アレクの元にフェンリル小隊の僧侶の女の子エマが駆け寄って来る。
エマは、頬を赤らめながら笑顔でアレクに告げる。
「アレク中尉、|上級騎士《パラディン》への|転職《クラスチェンジ》、おめでとうございます!」
フェンリル小隊の女の子エマは、学校の屋上でアレクにお菓子とラブレターを渡した女の子であった。
「ありがとう。エマ」
アレクとエマが話していると、ラウンジにジカイラがやって来る。
「二人とも、ここにいたのか」
「はい」
「ジカイラ中佐!」
「それじゃ、私達はこれで」
ジカイラが現れた事で、フェンリル小隊の二人は仲間の元に戻って行った。
ジカイラはアレクに話し掛ける。
「お? 取り込み中だったのか? 邪魔して済まなかったな」
アレクは苦笑いしながら答える。
「いえ、大丈夫です」
ジカイラは、アレクの隣のカウンター席に座り、アレクに告げる。
「今の内だぞ? 女を抱くのも、口説くのも、仲間と遊ぶのも。……戦場に着いたら、常に周囲に注意して、気を引き締めていないとな。戦場では、一瞬の油断が命取りになる」
ジカイラからの忠告に、アレクは真剣に答える。
「はい」
アレクは、士官学校での日々で、ルイーゼという恋人や小隊の仲間たち、教導大隊の大勢の戦友たちに囲まれ、楽しく過ごしていた。
アレクたちを乗せた飛行空母ユニコーン・ゼロは、竜王山脈上空を北へ向かっていく。