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第百五十一話 霧中の突撃

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 アレクたちユニコーン小隊とルドルフたちのグリフォン小隊の決勝戦の序盤は、魔法や飛び道具による一進一退の激しい攻防となったが、やがて小康状態となる。

 アレクたちユニコーン小隊は、地形の起伏の影に集まる。

 アルは、小隊の仲間たちに尋ねる。

「みんな、無事か? 何人か、倒せたか?」

 ナタリーが答える。

「二人位、手傷は負わせることが出来たと思う」

 アレクが口を開く。

「たしか、グリフォン小隊には、僧侶の女の子がいただろ? 少々の手傷じゃ、回復魔法で治癒される。近接戦に持ち込まないと、決定打は難しいな」

 アルが答える。

「アレクの言うとおりだ。向こうには魔導師が二人いて、こっちはナタリー一人。このまま遠距離で撃ち合っても、『手数(てかず)の差』でこっちが不利だ。ルールによる第一位階魔法の規制が無ければなぁ……。ナタリーが本気を出せるなら、楽に倒せるんだろうけど……」

 ナディアは、アレクをからかう。

「ア~レ~ク~。また、()()()()僧侶の女の子を狙うのね? もぅ。悪戯して何人の乙女を泣かせるつもり? ……エロい! エロいわ!」

 からかわれたアレクは、ナディアに抗議する。

「『()()()()』じゃなくて、『()()()()』だよ! 『()()()()』! このまま、決定打にならない遠距離攻撃の応酬を続けても、敵に回復手段がある限り、その戦力を切り崩すのは難しいだろ?」

 トゥルムは、アレクの意見に同意する。

「……確かに。隊長の言うとおりだ」

 アレクは呟く。

「何とか、近接戦に持ち込まないとな」

 アレクの呟きにアルは答える。

「近接戦に持ち込んでも、グリフォンの連中は手強いぞ。実戦経験はこっちと互角だ」

 トゥルムは彼我の戦力を解説する。

「実戦経験は互角でも、こっちには中堅職である騎士のアレクと暗殺者(アサシン)のルイーゼが居る。その点、グリフォン小隊の中堅職は、敵の隊長である騎士のルドルフ一人だ。近接戦に持ち込めれば、六対四くらいでこちらの方が有利だ」 

 エルザは口を開く。

「ねぇ、アレク」

「ん?」

 エルザは、頬を赤らめながら上目遣いでモジモジしながら話す。

「エルザちゃんになら、悪戯(いたずら)しても良いのよ?」

 エルザの言葉にアレクは、うなだれながら答える。

「……頼むから試合に集中してくれ」

 ナディアは、ハッとして口を開く。

「一時的に視界を遮れば、接近して近接戦に持ち込めるかしら?」

 ルイーゼは答える。

「敵の魔導師と斥候の目さえ遮れば、接近出来るわ」

 ナディアは続ける。

水の精霊(ウンディーネ)たちに一時的に視界を遮らせるわ。みんな、その隙に接近して!」

 アレクは答える。

「判った! ナディア、頼む! みんな、配置についてくれ!」

 ナディアは、自信ありげに呟く。

「お姉さんに任せなさいって!」

 ドミトリーは口を開く。

「近接戦に入るなら、支援魔法を掛けるぞ。筋力(レッサー・)強化(ストレングス)!」




 ドミトリーから支援魔法を掛けられたユニコーン小隊の仲間たちは、再び配置に着く。

 アレクは、小隊の仲間たちが配置に付いたことを確認するとナディアに目配せする。

 ナディアがアレクに頷き返し、近くの池の水から水の精霊(ウンディーネ)たちを召喚し始める。

水の精霊(ウンディーネ)たち!」

 ナディアはエルフ語で水の精霊(ウンディーネ)達に指示を出す。

「霧となって広がり、周囲一帯の視界を遮って! 霧の(ミスト・)領域(フィールド)!」

 ナディアから指示を受けた水の精霊(ウンディーネ)たちは、池の水を無数の水滴にして水面から目の高さまで立ち昇らせると、さらに細かい粒子にして空中に飛散させ始める。

 アレクたちユニコーン小隊とルドルフたちグリフォン小隊の周囲に濃い霧が立ち込め始める。

 アレクは、小隊の仲間たちに指示を出す。

「みんな! 行くぞ!」

 アレクたちは、立ち込めた濃霧の中をグリフォン小隊を目指して小走りで突撃する。



--時間を少し戻したグリフォン小隊。

 ルドルフたちグリフォン小隊は、隆起した地形の影に集まっていた。

 僧侶の女の子が火傷した戦士と足を負傷した斥候を回復魔法で治癒している。

 ルドルフは僧侶の女の子に話し掛ける。

「治癒にどれくらい掛かりそうだ?」

 僧侶の女の子が答える。

「もう少し。半時ほど、時間を下さい!」

 戦斧を持った戦士がルドルフに話し掛ける。

「隊長。ユニコーンの奴らは、強いな。帝国騎士十字章を授与されただけはある」

 ルドルフが答える。

「実戦経験はウチと互角だ。それに、向こうは魔導師の女が一人だが、こっちには二人いる。遠距離で撃ち合えばこっちが有利だ。奴らを接近させるな」

 戦士が戦斧をルドルフに見せながら告げる。

「コイツを使った近接戦でカタを付けたいんですけどね」

 ルドルフは冷静に戦士を諭す。

「ユニコーンには、中堅職が二人居る。騎士の隊長と暗殺者(アサシン)の女だ。対してこっちの中堅職はオレだけだ。近接戦に持ち込まれたら、四対六くらいでこっち側が不利だ」

 諭された戦士は、おどけたように答える。

「そうなんですか?」

 ルドルフは、冷静に答える。

「そうだ」

 ルドルフと戦士が話していると、周囲に濃霧が立ち込めてくる。

 濃霧が立ち込めた周囲を見回して戦士が呟く。

「……霧!?」

 ルドルフは呟く。

「……ユニコーンが来る」

 戦士は、ルドルフに尋ねる。

「やつら、来ますかね?」

 ルドルフは、濃霧の先を睨みながら戦士に答える。

「来るさ。……アイツなら」

 ルドルフは小隊の仲間たちに指示を出す。

「動ける者は、全員、戦闘態勢を取れ。 ……敵の隊長は、オレが仕留める。見つけたら教えろ。それと、暗殺者(アサシン)の女は手強い。十分、注意しろ」



 ユニコーン小隊とグリフォン小隊。

 運命の決戦が始まろうとしていた。




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 アレクたちユニコーン小隊とルドルフたちのグリフォン小隊の決勝戦の序盤は、魔法や飛び道具による一進一退の激しい攻防となったが、やがて小康状態となる。
 アレクたちユニコーン小隊は、地形の起伏の影に集まる。
 アルは、小隊の仲間たちに尋ねる。
「みんな、無事か? 何人か、倒せたか?」
 ナタリーが答える。
「二人位、手傷は負わせることが出来たと思う」
 アレクが口を開く。
「たしか、グリフォン小隊には、僧侶の女の子がいただろ? 少々の手傷じゃ、回復魔法で治癒される。近接戦に持ち込まないと、決定打は難しいな」
 アルが答える。
「アレクの言うとおりだ。向こうには魔導師が二人いて、こっちはナタリー一人。このまま遠距離で撃ち合っても、『|手数《てかず》の差』でこっちが不利だ。ルールによる第一位階魔法の規制が無ければなぁ……。ナタリーが本気を出せるなら、楽に倒せるんだろうけど……」
 ナディアは、アレクをからかう。
「ア~レ~ク~。また、|性《・》|欲《・》|的《・》|に《・》僧侶の女の子を狙うのね? もぅ。悪戯して何人の乙女を泣かせるつもり? ……エロい! エロいわ!」
 からかわれたアレクは、ナディアに抗議する。
「『|性《・》|欲《・》|的《・》|に《・》』じゃなくて、『|戦《・》|略《・》|的《・》|に《・》』だよ! 『|戦《・》|略《・》|的《・》|に《・》』! このまま、決定打にならない遠距離攻撃の応酬を続けても、敵に回復手段がある限り、その戦力を切り崩すのは難しいだろ?」
 トゥルムは、アレクの意見に同意する。
「……確かに。隊長の言うとおりだ」
 アレクは呟く。
「何とか、近接戦に持ち込まないとな」
 アレクの呟きにアルは答える。
「近接戦に持ち込んでも、グリフォンの連中は手強いぞ。実戦経験はこっちと互角だ」
 トゥルムは彼我の戦力を解説する。
「実戦経験は互角でも、こっちには中堅職である騎士のアレクと|暗殺者《アサシン》のルイーゼが居る。その点、グリフォン小隊の中堅職は、敵の隊長である騎士のルドルフ一人だ。近接戦に持ち込めれば、六対四くらいでこちらの方が有利だ」 
 エルザは口を開く。
「ねぇ、アレク」
「ん?」
 エルザは、頬を赤らめながら上目遣いでモジモジしながら話す。
「エルザちゃんになら、|悪戯《いたずら》しても良いのよ?」
 エルザの言葉にアレクは、うなだれながら答える。
「……頼むから試合に集中してくれ」
 ナディアは、ハッとして口を開く。
「一時的に視界を遮れば、接近して近接戦に持ち込めるかしら?」
 ルイーゼは答える。
「敵の魔導師と斥候の目さえ遮れば、接近出来るわ」
 ナディアは続ける。
「|水の精霊《ウンディーネ》たちに一時的に視界を遮らせるわ。みんな、その隙に接近して!」
 アレクは答える。
「判った! ナディア、頼む! みんな、配置についてくれ!」
 ナディアは、自信ありげに呟く。
「お姉さんに任せなさいって!」
 ドミトリーは口を開く。
「近接戦に入るなら、支援魔法を掛けるぞ。|筋力《レッサー・》|強化《ストレングス》!」
 ドミトリーから支援魔法を掛けられたユニコーン小隊の仲間たちは、再び配置に着く。
 アレクは、小隊の仲間たちが配置に付いたことを確認するとナディアに目配せする。
 ナディアがアレクに頷き返し、近くの池の水から|水の精霊《ウンディーネ》たちを召喚し始める。
「|水の精霊《ウンディーネ》たち!」
 ナディアはエルフ語で|水の精霊《ウンディーネ》達に指示を出す。
「霧となって広がり、周囲一帯の視界を遮って! |霧の《ミスト・》|領域《フィールド》!」
 ナディアから指示を受けた|水の精霊《ウンディーネ》たちは、池の水を無数の水滴にして水面から目の高さまで立ち昇らせると、さらに細かい粒子にして空中に飛散させ始める。
 アレクたちユニコーン小隊とルドルフたちグリフォン小隊の周囲に濃い霧が立ち込め始める。
 アレクは、小隊の仲間たちに指示を出す。
「みんな! 行くぞ!」
 アレクたちは、立ち込めた濃霧の中をグリフォン小隊を目指して小走りで突撃する。
--時間を少し戻したグリフォン小隊。
 ルドルフたちグリフォン小隊は、隆起した地形の影に集まっていた。
 僧侶の女の子が火傷した戦士と足を負傷した斥候を回復魔法で治癒している。
 ルドルフは僧侶の女の子に話し掛ける。
「治癒にどれくらい掛かりそうだ?」
 僧侶の女の子が答える。
「もう少し。半時ほど、時間を下さい!」
 戦斧を持った戦士がルドルフに話し掛ける。
「隊長。ユニコーンの奴らは、強いな。帝国騎士十字章を授与されただけはある」
 ルドルフが答える。
「実戦経験はウチと互角だ。それに、向こうは魔導師の女が一人だが、こっちには二人いる。遠距離で撃ち合えばこっちが有利だ。奴らを接近させるな」
 戦士が戦斧をルドルフに見せながら告げる。
「コイツを使った近接戦でカタを付けたいんですけどね」
 ルドルフは冷静に戦士を諭す。
「ユニコーンには、中堅職が二人居る。騎士の隊長と|暗殺者《アサシン》の女だ。対してこっちの中堅職はオレだけだ。近接戦に持ち込まれたら、四対六くらいでこっち側が不利だ」
 諭された戦士は、おどけたように答える。
「そうなんですか?」
 ルドルフは、冷静に答える。
「そうだ」
 ルドルフと戦士が話していると、周囲に濃霧が立ち込めてくる。
 濃霧が立ち込めた周囲を見回して戦士が呟く。
「……霧!?」
 ルドルフは呟く。
「……ユニコーンが来る」
 戦士は、ルドルフに尋ねる。
「やつら、来ますかね?」
 ルドルフは、濃霧の先を睨みながら戦士に答える。
「来るさ。……アイツなら」
 ルドルフは小隊の仲間たちに指示を出す。
「動ける者は、全員、戦闘態勢を取れ。 ……敵の隊長は、オレが仕留める。見つけたら教えろ。それと、|暗殺者《アサシン》の女は手強い。十分、注意しろ」
 ユニコーン小隊とグリフォン小隊。
 運命の決戦が始まろうとしていた。