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第百四十三話 それぞれの勝利

ー/ー



--夕刻。

 フェンリル小隊との試合に勝利したアレクたちは、意気揚々と寮へと帰った。

 夕食時、小隊全員が食堂に集まって食卓を囲み、アレクの音頭で乾杯する。

「ユニコーン小隊の勝利に!」

「かんぱ~い!」

 アルが笑顔で口を開く。

「これで、オレたち、準決勝戦進出だな!」

 アレクも笑顔で答える。

「ああ」

 先の試合で出番が無かったエルザは不満を口にする。

「旗を守るだけで、前回より楽だったのは良かったけど、いくら出番が無いからってアルとナタリーってば、試合中、ずっと二人で乳繰りあっていたのよ!」

 エルザの言葉にナタリーは赤くなり、アルも赤くなって言い訳する。

「いや、敵も来ないし退屈だから、ちょっとスキンシップをとっていただけだよ!」

 エルザがツッコミを入れる。

「な~にがスキンシップよ! 膝の上にナタリーを座らせて、『ナタリー。君の髪は良い香りがするね』なんて言って、見せつけてくれちゃって!」

 エルザがアルの口調を真似て口説き文句を話したので、アルも赤くなって言葉に詰まる。

「……うっ」

 ナディアは、アルとナタリーをフォローする。

「まぁ、実際に二人は恋人同士なのだから、多少は仕方無いでしょ?」

 トゥルムもアルとナタリーをフォローする。

「うむ。男と女の本能だ。仕方あるまい」

 エルザは続ける。

「そういう訳で、エルザちゃん、凄く寂しかったのよ~。……アレク! 後でチューして!」

 アレクは、突然、話を振られて驚く。

「え!? そこでオレに振るのか??」

 ルイーゼは口を開く。

「ダ~メ! 今日は、私、試合で凄く頑張ったんだから、アレクからご褒美を貰うのは、私が先よ! エルザは、私の後でね!」

 ナディアもルイーゼに続く。

「そうよ! ナディアお姉さんも試合で凄く頑張ったんだから。アレクからご褒美を貰う順番は、ルイーゼの次、私! エルザは最後ね!」

 試合で出番が無かったエルザは、膨れたように上目遣いでルイーゼとナディアの二人を見ながら反論する。

「う~。ルイーゼなんて、ほぼ毎晩、アレクのオチ●●ンを独り占めしてるのに……」

 ナディアがエルザにツッコミを入れる。

「エルザがご褒美で欲しいのは、アレクのオチ●●ンよね?」

 エルザは、ナディアに釣られて答える。

「そうよ! 欲しいのはアレクのオチ●●ン……って、何、言わせるのよ!?」

 エルザが釣られ、真っ赤になって恥じらう様子に食卓を囲んでいる小隊の一同が笑う。

 一方、ドミトリーは、食卓の片隅で両手を組んで食卓に両肘を乗せ、その上に額を乗せて落ち込んでいた。

「拙僧なんて、久々の出番だったというのに、ほとんど活躍できなかったぞ。ううむ……」

 ナディアが落ち込んでいるドミトリーをフォローする。

「ドミトリーも戦闘では軽快に戦っていたんだし、長距離走が苦手なのは仕方ないんじゃない?」

 ドミトリーは、ナディアに追従する。 

「ううむ。……拙僧は、まだまだ修行が足らんな」



 ルドルフたち、グリフォン小隊も勝利し、準決勝戦進出を決めていた。

 グリフォン小隊のメンバー達が寮の食堂で祝杯を挙げ、勝利の美酒に酔って騒ぎ立てる中、ルドルフは食堂の窓際の席で一人、月を見上げ、眺めていた。

 グリフォン小隊のメンバーの一人がルドルフに声を掛ける。

「隊長、こっちへ来てくださいよ!」

「いや。オレはいい」

 ルドルフは、メンバーからの誘いを断る。



 ルドルフは、月を見上げながら、物思いに耽っていた。

 今回の天覧試合は、ルドルフの母も試合を見に来ている。

 母は、素直にルドルフたちの勝利を喜んでくれた。

 口には出さないが、ルドルフは母の喜ぶ顔を見るのが嬉しかった。

(優勝して名を上げて、父を探す! ……もう一息だ)

 ルドルフは一人、優勝への決意を新たにする。



 貴族組でも準決勝戦進出を祝っている者達がいた。

 貴族子弟が住む屋敷のホールで晩餐会が催されていた。

 リーダー格の者が甲高い声で宣言する。

「乾杯!」

「「乾杯!」

 オカッパ頭、瓶底眼鏡(びんぞこめがね)、出っ歯で小柄のネズミのような、神経質そうな小男。

 リーダー格の者は、キャスパー・ヨーイチ三世であった。

 キャスパーは、上機嫌で周囲にいる者達に告げる。

「我がヨーイチ男爵家、アウター子爵家、アクセプト子爵家、ポロポロ子爵家。初代バジリスク小隊を結成した、この四貴族家が揃えば無敵だ! 天覧試合の優勝は、我等に決まったも同然であるな! ハハハハ!」

 キャスパーの周囲にいる者達は、アウター子爵家、アクセプト子爵家、ポロポロ子爵家の跡取り達であった。



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--夕刻。
 フェンリル小隊との試合に勝利したアレクたちは、意気揚々と寮へと帰った。
 夕食時、小隊全員が食堂に集まって食卓を囲み、アレクの音頭で乾杯する。
「ユニコーン小隊の勝利に!」
「かんぱ~い!」
 アルが笑顔で口を開く。
「これで、オレたち、準決勝戦進出だな!」
 アレクも笑顔で答える。
「ああ」
 先の試合で出番が無かったエルザは不満を口にする。
「旗を守るだけで、前回より楽だったのは良かったけど、いくら出番が無いからってアルとナタリーってば、試合中、ずっと二人で乳繰りあっていたのよ!」
 エルザの言葉にナタリーは赤くなり、アルも赤くなって言い訳する。
「いや、敵も来ないし退屈だから、ちょっとスキンシップをとっていただけだよ!」
 エルザがツッコミを入れる。
「な~にがスキンシップよ! 膝の上にナタリーを座らせて、『ナタリー。君の髪は良い香りがするね』なんて言って、見せつけてくれちゃって!」
 エルザがアルの口調を真似て口説き文句を話したので、アルも赤くなって言葉に詰まる。
「……うっ」
 ナディアは、アルとナタリーをフォローする。
「まぁ、実際に二人は恋人同士なのだから、多少は仕方無いでしょ?」
 トゥルムもアルとナタリーをフォローする。
「うむ。男と女の本能だ。仕方あるまい」
 エルザは続ける。
「そういう訳で、エルザちゃん、凄く寂しかったのよ~。……アレク! 後でチューして!」
 アレクは、突然、話を振られて驚く。
「え!? そこでオレに振るのか??」
 ルイーゼは口を開く。
「ダ~メ! 今日は、私、試合で凄く頑張ったんだから、アレクからご褒美を貰うのは、私が先よ! エルザは、私の後でね!」
 ナディアもルイーゼに続く。
「そうよ! ナディアお姉さんも試合で凄く頑張ったんだから。アレクからご褒美を貰う順番は、ルイーゼの次、私! エルザは最後ね!」
 試合で出番が無かったエルザは、膨れたように上目遣いでルイーゼとナディアの二人を見ながら反論する。
「う~。ルイーゼなんて、ほぼ毎晩、アレクのオチ●●ンを独り占めしてるのに……」
 ナディアがエルザにツッコミを入れる。
「エルザがご褒美で欲しいのは、アレクのオチ●●ンよね?」
 エルザは、ナディアに釣られて答える。
「そうよ! 欲しいのはアレクのオチ●●ン……って、何、言わせるのよ!?」
 エルザが釣られ、真っ赤になって恥じらう様子に食卓を囲んでいる小隊の一同が笑う。
 一方、ドミトリーは、食卓の片隅で両手を組んで食卓に両肘を乗せ、その上に額を乗せて落ち込んでいた。
「拙僧なんて、久々の出番だったというのに、ほとんど活躍できなかったぞ。ううむ……」
 ナディアが落ち込んでいるドミトリーをフォローする。
「ドミトリーも戦闘では軽快に戦っていたんだし、長距離走が苦手なのは仕方ないんじゃない?」
 ドミトリーは、ナディアに追従する。 
「ううむ。……拙僧は、まだまだ修行が足らんな」
 ルドルフたち、グリフォン小隊も勝利し、準決勝戦進出を決めていた。
 グリフォン小隊のメンバー達が寮の食堂で祝杯を挙げ、勝利の美酒に酔って騒ぎ立てる中、ルドルフは食堂の窓際の席で一人、月を見上げ、眺めていた。
 グリフォン小隊のメンバーの一人がルドルフに声を掛ける。
「隊長、こっちへ来てくださいよ!」
「いや。オレはいい」
 ルドルフは、メンバーからの誘いを断る。
 ルドルフは、月を見上げながら、物思いに耽っていた。
 今回の天覧試合は、ルドルフの母も試合を見に来ている。
 母は、素直にルドルフたちの勝利を喜んでくれた。
 口には出さないが、ルドルフは母の喜ぶ顔を見るのが嬉しかった。
(優勝して名を上げて、父を探す! ……もう一息だ)
 ルドルフは一人、優勝への決意を新たにする。
 貴族組でも準決勝戦進出を祝っている者達がいた。
 貴族子弟が住む屋敷のホールで晩餐会が催されていた。
 リーダー格の者が甲高い声で宣言する。
「乾杯!」
「「乾杯!」
 オカッパ頭、|瓶底眼鏡《びんぞこめがね》、出っ歯で小柄のネズミのような、神経質そうな小男。
 リーダー格の者は、キャスパー・ヨーイチ三世であった。
 キャスパーは、上機嫌で周囲にいる者達に告げる。
「我がヨーイチ男爵家、アウター子爵家、アクセプト子爵家、ポロポロ子爵家。初代バジリスク小隊を結成した、この四貴族家が揃えば無敵だ! 天覧試合の優勝は、我等に決まったも同然であるな! ハハハハ!」
 キャスパーの周囲にいる者達は、アウター子爵家、アクセプト子爵家、ポロポロ子爵家の跡取り達であった。