第百三十二話 対戦トーナメント発表
ー/ー-- 十日後。
ストーンゴーレムは休みなく働き続け、小隊対抗模擬戦トーナメントの対戦会場を建設した。
アレクたちは会場が出来上がるまで、ひたすら小隊で特訓を続けていた。
ジカイラから直接指導を受けることができたのは最初の一日だけであったが、練習すること、繰り返し訓練することで、アレクたちは技量を磨き、優勝に向けて自信を深めていった。
ーー昼休み。
士官学校での午前中の授業が終わった昼休みに、掲示板に対戦トーナメント表が貼り出される。
アレクたちを含む学生たちは、自分達がどの相手と戦うのか、掲示板の前に群がって対戦トーナメント表を覗き込む。
アルは対戦トーナメント表を見て呟く。
「うはっ! オレたちが第一試合かよ! 対戦相手は……『コリント小隊』?」
アルは隣にいるアレクに尋ねる。
「『コリント小隊』って?」
アレクは答える。
「一学年上の先輩たちさ」
アレクの答えを聞いたアルが意気込む。
「お~し! やってやろうじゃないの!」
「対戦相手は、お前らか」
アレクたちは、その声に聞き覚えがあった。
複数の先輩学生たちが、アレクたちの元にやって来る。
半グレ集団『腹筋同盟』に所属して退学処分になったソナーとウサギ・アマギとつるんでいた先輩学生たちであった。
アルは、先輩学生たちに向けて挑発するように挨拶する。
「いやぁ~、先輩方、お手柔らかにお願いしますよ。何たって、オレたちは、皇帝陛下から直接『帝国騎士十字章』を授与された軍人なもので」
アルのフザけた口調に先輩学生たちはいきり立つ。
「クソッ! ナメやがって!」
先輩学生たちがアルに詰め寄ると、アルは一歩、後ろに下がり軽口を叩く。
「おおっと! 勝負は試合会場ですよ! 先輩方!」
アレクは、アルをたしなめる。
「アル。相手が弱いからって、あんまり挑発するなよ?」
先輩学生たちは、今度はアレクを相手に詰め寄る。
「なんだと!? テメェ!」
先輩学生たちに詰め寄られても、アレクは平然と向き合っていた。
アレクたちユニコーン小隊は、彼等と一度、路地裏で戦い勝利していた。
また、キャスパーシティで彼等に集団で襲われて、アレクはルイーゼを連れて逃げ、二人で路地裏の『いかがわしいお店』に逃げ込んだ事があった。
もっとも、アレクはそのお店でルイーゼに口淫で射精させられてしまったのだが。
アレクたちと先輩学生たちがにらみ合っていると、ルドルフたちグリフォン小隊がアレクたちのところへやって来る。
ルドルフは口を開く。
「アレク。対戦相手は判ったのか? ……んん?」
アレクは、ルドルフに答える。
「ああ。ここにいる先輩方だよ」
ルドルフは、先輩学生たちを睨みつける。
「……ほぅ」
ルドルフは、以前、先輩学生たちから集団私刑を受けた事があった。
アレクたちユニコーン小隊に、ルドルフたちのグリフォン小隊が加勢に来たような形になったため、先輩学生たちは、ジリジリと引き下がっていく。
「クソッ! 試合で思い知らせてやる!」
そう捨てセリフを吐くと、先輩学生たちはアレクたちの前から去って行った。
ルドルフは続ける。
「アレクたちの試合は何番目なんだ?」
アレクが答える。
「オレたちユニコーン小隊は、第一試合だ」
「そうか。オレたちグリフォン小隊は、第八試合だ」
ルドルフはルイーゼに話し掛ける。
「健闘を祈ってるよ」
「貴方も頑張ってね」
ルイーゼがルドルフに答えると、掲示板前の人ごみの向こうから甲高い声が聞こえてくる。
「どけ! どけぃ! 賤民の分際で! 身の程を知れ!」
人ごみを掻き分ける集団の先頭にいたのは、オカッパ頭、瓶底眼鏡、出っ歯で小柄のネズミのような、神経質そうな小男。
貴族組のキャスパー・ヨーイチ三世男爵率いるバジリスク小隊であった。
アルは、キャスパーの顔を見て、思わず笑って噴き出す。
「ぷぷっ! 『お漏らしキャスパー』だ」
アルの一言を聞いて、キャスパーたちバジリスク小隊の周囲の学生たちもヒソヒソと呟き、含み笑いを漏らす。
「……お漏らしキャスパー」
「ぷぷっ」
「ちょっと、フリ●ン・キャスパーよ」
「嫌ぁ~」
「クスクス」
自分の周囲の嘲笑を聞いたキャスパーが激昂する。
「誰だ!? 今、私を愚弄したのは!」
ルドルフは、キャスパーの前に出ると名乗り出る。
「……オレだよ」
ルドルフは以前、絡んで来たキャスパーをノックアウトして気絶させ、意識の無いキャスパーのズボンとパンツを脱がし、キャスパーの男性器の包皮をリボンで結んだことがあった。
「フザけた真似をしおって!」
キャスパーはルドルフに掴み掛ろうとするが、ルドルフは余裕たっぷりな薄ら笑みを浮かべながら右手で小男であるキャスパーの頭を押さえつける。
一方、キャスパーは、頭を押さえつけられたまま、騒ぎながら両手を振り回し続けて暴れていたが、キャスパーの手はルドルフに届かず、振り回している手は空回りしているだけであった。
その滑稽な光景に周囲の者達は、笑い出す。
ルドルフはキャスパーに告げる。
「あんまり暴れると、今度は『割礼』するぞ?」
(※『割礼』:男性器の包皮を切除すること。主に宗教的儀式や理由による。)
アルは、ルドルフの言葉を聞いて軽口を叩く。
「むしろ『割礼』した方が良いんじゃね?」
アレクもアルに続く。
「そうだ。包茎が治るぞ?」
エルザは、アレクとアルの肩に手を置き、アルに続く。
「そうよ~。あんなにオチ●●ンの皮が余っていたら、女の子とデキないわよ? この二人みたいにオチ●●ンの皮は、しっかり剥けていないと!」
アルとアレク、エルザの三人の言葉にキャスパーの周囲は、更に笑い出す。
キャスパーは、怒りのあまり、顔を真っ赤にして叫ぶ。
「お前らぁ! 『皇太子殿下の側近』である、この私を愚弄するかぁ!」
怒り狂うキャスパーをルイーゼとナタリーがなだめる。
「男爵。落ち着いて下さい」
「落ち着いて下さい」
女の子二人になだめられて、キャスパーは少し落ち着きを取り戻す。
キャスパーは口を開く。
「フン! 無礼な賤民共が! 試合で叩きのめしてやる!」
そう捨て台詞を履くとキャスパー達バジリスク小隊は、掲示板の前から去って行った。
アレクは、去って行くキャスパーの後姿を一瞥する。
(……兄上は、決してお前など相手にしない)
アルはアレクに尋ねる。
「あいつらの対戦はどこなんだ?」
アレクはトーナメント表を見て答える。
「第四試合だな」
アルは続ける。
「ふぅ~ん。仮にキャスパーたちバジリスク小隊と戦うとしたら、準決勝か」
「そうなるな」
アレクたちは、掲示されているトーナメント表を眺め、優勝への決意をあらたにする。
ストーンゴーレムは休みなく働き続け、小隊対抗模擬戦トーナメントの対戦会場を建設した。
アレクたちは会場が出来上がるまで、ひたすら小隊で特訓を続けていた。
ジカイラから直接指導を受けることができたのは最初の一日だけであったが、練習すること、繰り返し訓練することで、アレクたちは技量を磨き、優勝に向けて自信を深めていった。
ーー昼休み。
士官学校での午前中の授業が終わった昼休みに、掲示板に対戦トーナメント表が貼り出される。
アレクたちを含む学生たちは、自分達がどの相手と戦うのか、掲示板の前に群がって対戦トーナメント表を覗き込む。
アルは対戦トーナメント表を見て呟く。
「うはっ! オレたちが第一試合かよ! 対戦相手は……『コリント小隊』?」
アルは隣にいるアレクに尋ねる。
「『コリント小隊』って?」
アレクは答える。
「一学年上の先輩たちさ」
アレクの答えを聞いたアルが意気込む。
「お~し! やってやろうじゃないの!」
「対戦相手は、お前らか」
アレクたちは、その声に聞き覚えがあった。
複数の先輩学生たちが、アレクたちの元にやって来る。
半グレ集団『腹筋同盟』に所属して退学処分になったソナーとウサギ・アマギとつるんでいた先輩学生たちであった。
アルは、先輩学生たちに向けて挑発するように挨拶する。
「いやぁ~、先輩方、お手柔らかにお願いしますよ。何たって、オレたちは、皇帝陛下から直接『帝国騎士十字章』を授与された軍人なもので」
アルのフザけた口調に先輩学生たちはいきり立つ。
「クソッ! ナメやがって!」
先輩学生たちがアルに詰め寄ると、アルは一歩、後ろに下がり軽口を叩く。
「おおっと! 勝負は試合会場ですよ! 先輩方!」
アレクは、アルをたしなめる。
「アル。相手が弱いからって、あんまり挑発するなよ?」
先輩学生たちは、今度はアレクを相手に詰め寄る。
「なんだと!? テメェ!」
先輩学生たちに詰め寄られても、アレクは平然と向き合っていた。
アレクたちユニコーン小隊は、彼等と一度、路地裏で戦い勝利していた。
また、キャスパーシティで彼等に集団で襲われて、アレクはルイーゼを連れて逃げ、二人で路地裏の『いかがわしいお店』に逃げ込んだ事があった。
もっとも、アレクはそのお店でルイーゼに口淫で射精させられてしまったのだが。
アレクたちと先輩学生たちがにらみ合っていると、ルドルフたちグリフォン小隊がアレクたちのところへやって来る。
ルドルフは口を開く。
「アレク。対戦相手は判ったのか? ……んん?」
アレクは、ルドルフに答える。
「ああ。ここにいる先輩方だよ」
ルドルフは、先輩学生たちを睨みつける。
「……ほぅ」
ルドルフは、以前、先輩学生たちから集団私刑を受けた事があった。
アレクたちユニコーン小隊に、ルドルフたちのグリフォン小隊が加勢に来たような形になったため、先輩学生たちは、ジリジリと引き下がっていく。
「クソッ! 試合で思い知らせてやる!」
そう捨てセリフを吐くと、先輩学生たちはアレクたちの前から去って行った。
ルドルフは続ける。
「アレクたちの試合は何番目なんだ?」
アレクが答える。
「オレたちユニコーン小隊は、第一試合だ」
「そうか。オレたちグリフォン小隊は、第八試合だ」
ルドルフはルイーゼに話し掛ける。
「健闘を祈ってるよ」
「貴方も頑張ってね」
ルイーゼがルドルフに答えると、掲示板前の人ごみの向こうから甲高い声が聞こえてくる。
「どけ! どけぃ! 賤民の分際で! 身の程を知れ!」
人ごみを掻き分ける集団の先頭にいたのは、オカッパ頭、瓶底眼鏡、出っ歯で小柄のネズミのような、神経質そうな小男。
貴族組のキャスパー・ヨーイチ三世男爵率いるバジリスク小隊であった。
アルは、キャスパーの顔を見て、思わず笑って噴き出す。
「ぷぷっ! 『お漏らしキャスパー』だ」
アルの一言を聞いて、キャスパーたちバジリスク小隊の周囲の学生たちもヒソヒソと呟き、含み笑いを漏らす。
「……お漏らしキャスパー」
「ぷぷっ」
「ちょっと、フリ●ン・キャスパーよ」
「嫌ぁ~」
「クスクス」
自分の周囲の嘲笑を聞いたキャスパーが激昂する。
「誰だ!? 今、私を愚弄したのは!」
ルドルフは、キャスパーの前に出ると名乗り出る。
「……オレだよ」
ルドルフは以前、絡んで来たキャスパーをノックアウトして気絶させ、意識の無いキャスパーのズボンとパンツを脱がし、キャスパーの男性器の包皮をリボンで結んだことがあった。
「フザけた真似をしおって!」
キャスパーはルドルフに掴み掛ろうとするが、ルドルフは余裕たっぷりな薄ら笑みを浮かべながら右手で小男であるキャスパーの頭を押さえつける。
一方、キャスパーは、頭を押さえつけられたまま、騒ぎながら両手を振り回し続けて暴れていたが、キャスパーの手はルドルフに届かず、振り回している手は空回りしているだけであった。
その滑稽な光景に周囲の者達は、笑い出す。
ルドルフはキャスパーに告げる。
「あんまり暴れると、今度は『割礼』するぞ?」
(※『割礼』:男性器の包皮を切除すること。主に宗教的儀式や理由による。)
アルは、ルドルフの言葉を聞いて軽口を叩く。
「むしろ『割礼』した方が良いんじゃね?」
アレクもアルに続く。
「そうだ。包茎が治るぞ?」
エルザは、アレクとアルの肩に手を置き、アルに続く。
「そうよ~。あんなにオチ●●ンの皮が余っていたら、女の子とデキないわよ? この二人みたいにオチ●●ンの皮は、しっかり剥けていないと!」
アルとアレク、エルザの三人の言葉にキャスパーの周囲は、更に笑い出す。
キャスパーは、怒りのあまり、顔を真っ赤にして叫ぶ。
「お前らぁ! 『皇太子殿下の側近』である、この私を愚弄するかぁ!」
怒り狂うキャスパーをルイーゼとナタリーがなだめる。
「男爵。落ち着いて下さい」
「落ち着いて下さい」
女の子二人になだめられて、キャスパーは少し落ち着きを取り戻す。
キャスパーは口を開く。
「フン! 無礼な賤民共が! 試合で叩きのめしてやる!」
そう捨て台詞を履くとキャスパー達バジリスク小隊は、掲示板の前から去って行った。
アレクは、去って行くキャスパーの後姿を一瞥する。
(……兄上は、決してお前など相手にしない)
アルはアレクに尋ねる。
「あいつらの対戦はどこなんだ?」
アレクはトーナメント表を見て答える。
「第四試合だな」
アルは続ける。
「ふぅ~ん。仮にキャスパーたちバジリスク小隊と戦うとしたら、準決勝か」
「そうなるな」
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ジカイラから直接指導を受けることができたのは最初の一日だけであったが、練習すること、繰り返し訓練することで、アレクたちは技量を磨き、優勝に向けて自信を深めていった。
ーー昼休み。
士官学校での午前中の授業が終わった昼休みに、掲示板に対戦トーナメント表が貼り出される。
アレクたちを含む学生たちは、自分達がどの相手と戦うのか、掲示板の前に群がって対戦トーナメント表を覗き込む。
アルは対戦トーナメント表を見て呟く。
「うはっ! オレたちが第一試合かよ! 対戦相手は……『コリント小隊』?」
アルは隣にいるアレクに尋ねる。
「『コリント小隊』って?」
アレクは答える。
「一学年上の先輩たちさ」
アレクの答えを聞いたアルが意気込む。
「お~し! やってやろうじゃないの!」
「対戦相手は、お前らか」
アレクたちは、その声に聞き覚えがあった。
複数の先輩学生たちが、アレクたちの元にやって来る。
半グレ集団『腹筋同盟』に所属して退学処分になったソナーとウサギ・アマギとつるんでいた先輩学生たちであった。
アルは、先輩学生たちに向けて挑発するように挨拶する。
「いやぁ~、先輩方、お手柔らかにお願いしますよ。何たって、オレたちは、皇帝陛下から直接『|帝国騎士《ライヒス・リッター》|十字章《・クロス》』を授与された軍人なもので」
アルのフザけた口調に先輩学生たちはいきり立つ。
「クソッ! ナメやがって!」
先輩学生たちがアルに詰め寄ると、アルは一歩、後ろに下がり軽口を叩く。
「おおっと! 勝負は試合会場ですよ! 先輩方!」
アレクは、アルをたしなめる。
「アル。相手が弱いからって、あんまり挑発するなよ?」
先輩学生たちは、今度はアレクを相手に詰め寄る。
「なんだと!? テメェ!」
先輩学生たちに詰め寄られても、アレクは平然と向き合っていた。
アレクたちユニコーン小隊は、彼等と一度、路地裏で戦い勝利していた。
また、キャスパーシティで彼等に集団で襲われて、アレクはルイーゼを連れて逃げ、二人で路地裏の『いかがわしいお店』に逃げ込んだ事があった。
もっとも、アレクはそのお店でルイーゼに口淫で射精させられてしまったのだが。
アレクたちと先輩学生たちがにらみ合っていると、ルドルフたちグリフォン小隊がアレクたちのところへやって来る。
ルドルフは口を開く。
「アレク。対戦相手は判ったのか? ……んん?」
アレクは、ルドルフに答える。
「ああ。ここにいる先輩方だよ」
ルドルフは、先輩学生たちを睨みつける。
「……ほぅ」
ルドルフは、以前、先輩学生たちから集団|私刑《リンチ》を受けた事があった。
アレクたちユニコーン小隊に、ルドルフたちのグリフォン小隊が加勢に来たような形になったため、先輩学生たちは、ジリジリと引き下がっていく。
「クソッ! 試合で思い知らせてやる!」
そう捨てセリフを吐くと、先輩学生たちはアレクたちの前から去って行った。
ルドルフは続ける。
「アレクたちの試合は何番目なんだ?」
アレクが答える。
「オレたちユニコーン小隊は、第一試合だ」
「そうか。オレたちグリフォン小隊は、第八試合だ」
ルドルフはルイーゼに話し掛ける。
「健闘を祈ってるよ」
「貴方も頑張ってね」
ルイーゼがルドルフに答えると、掲示板前の人ごみの向こうから甲高い声が聞こえてくる。
「どけ! どけぃ! |賤民《せんみん》の分際で! 身の程を知れ!」
人ごみを掻き分ける集団の先頭にいたのは、オカッパ頭、|瓶底眼鏡《びんぞこめがね》、出っ歯で小柄のネズミのような、神経質そうな小男。
貴族組のキャスパー・ヨーイチ三世男爵率いるバジリスク小隊であった。
アルは、キャスパーの顔を見て、思わず笑って噴き出す。
「ぷぷっ! 『お漏らしキャスパー』だ」
アルの一言を聞いて、キャスパーたちバジリスク小隊の周囲の学生たちもヒソヒソと呟き、含み笑いを漏らす。
「……お漏らしキャスパー」
「ぷぷっ」
「ちょっと、フリ●ン・キャスパーよ」
「嫌ぁ~」
「クスクス」
自分の周囲の嘲笑を聞いたキャスパーが激昂する。
「誰だ!? 今、私を愚弄したのは!」
ルドルフは、キャスパーの前に出ると名乗り出る。
「……オレだよ」
ルドルフは以前、絡んで来たキャスパーをノックアウトして気絶させ、意識の無いキャスパーのズボンとパンツを脱がし、キャスパーの男性器の包皮をリボンで結んだことがあった。
「フザけた真似をしおって!」
キャスパーはルドルフに掴み掛ろうとするが、ルドルフは余裕たっぷりな薄ら笑みを浮かべながら右手で小男であるキャスパーの頭を押さえつける。
一方、キャスパーは、頭を押さえつけられたまま、騒ぎながら両手を振り回し続けて暴れていたが、キャスパーの手はルドルフに届かず、振り回している手は空回りしているだけであった。
その滑稽な光景に周囲の者達は、笑い出す。
ルドルフはキャスパーに告げる。
「あんまり暴れると、今度は『割礼』するぞ?」
(※『割礼』:男性器の包皮を切除すること。主に宗教的儀式や理由による。)
アルは、ルドルフの言葉を聞いて軽口を叩く。
「むしろ『割礼』した方が良いんじゃね?」
アレクもアルに続く。
「そうだ。包茎が治るぞ?」
エルザは、アレクとアルの肩に手を置き、アルに続く。
「そうよ~。あんなにオチ●●ンの皮が余っていたら、女の子とデキないわよ? この二人みたいにオチ●●ンの皮は、しっかり剥けていないと!」
アルとアレク、エルザの三人の言葉にキャスパーの周囲は、更に笑い出す。
キャスパーは、怒りのあまり、顔を真っ赤にして叫ぶ。
「お前らぁ! 『皇太子殿下の側近』である、この私を愚弄するかぁ!」
怒り狂うキャスパーをルイーゼとナタリーがなだめる。
「男爵。落ち着いて下さい」
「落ち着いて下さい」
女の子二人になだめられて、キャスパーは少し落ち着きを取り戻す。
キャスパーは口を開く。
「フン! 無礼な賤民共が! 試合で叩きのめしてやる!」
そう捨て台詞を履くとキャスパー達バジリスク小隊は、掲示板の前から去って行った。
アレクは、去って行くキャスパーの後姿を一瞥する。
(……兄上は、決してお前など相手にしない)
アルはアレクに尋ねる。
「あいつらの対戦はどこなんだ?」
アレクはトーナメント表を見て答える。
「第四試合だな」
アルは続ける。
「ふぅ~ん。仮にキャスパーたちバジリスク小隊と戦うとしたら、準決勝か」
「そうなるな」
アレクたちは、掲示されているトーナメント表を眺め、優勝への決意をあらたにする。