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第百四話 分担と腕利きの四個小隊

ー/ー



 皇宮の会議室でラインハルト、ジカイラ、エリシス、リリーの四人が顔を合わせる。

 程なくナナイも会議室にやって来る。

「遅くなって、ごめんなさい」

 ラインハルトは笑顔で答える。

「大丈夫だ」

 エリシスはジカイラに尋ねる。

「それで中佐。どうやって『トラキア解放戦線』を探し出すつもりなの?」

 ジカイラは答える。

「……まず、裏社会の情報網から当たるつもりだ。あの手の組織は、人目を惹かないように地下に潜っている。……表立って行動しないからな。裏社会の連中なら、縄張りによそ者が来たら、何かしら気付いて情報を持っているだろう」

 エリシスはジカイラの案に感心する。

「なるほど。さすが、詳しいわね」

 ジカイラは悪びれた素振りも見せず答える。

「……オレは暗黒街育ちなんでね」

 ジカイラは続ける。

「オレの手駒の中から腕利きの四個小隊を選んで、少数精鋭で裏社会の組織から情報を集める。大勢で動いても、こちらの動きを敵に悟られるからな。……帝都近郊なら、マフィアの『フナムシ一家』と半グレの『腹筋同盟』といったところか」

 ジカイラの案にラインハルトも感心する。

「……なるほどな。流石だ」

 ジカイラの案を聞いたナナイは、ルイーゼからの手紙に『腹筋同盟』について書かれていたことを思い出す。

 ナナイが口を開く。

「『腹筋同盟』って、士官学校にも手下がいるみたいよ」

 ジカイラが驚く。

「なんだって? あいつら、オレの生徒達にまで、手を出していたのか!?」

 エリシスが微笑む。

「ふふふ。……それじゃあ、手分けしましょう。中佐には、士官学校のこともあるから、半グレの『腹筋同盟』をお願いするわ。私とリリーは、マフィアの『フナムシ一家』を当たるから」

 ジカイラは頷く。

「判りました。エリシス伯爵。それでいきましょう」

 基本的な分担が決まったことで、エリシスとリリーは早速、会議室を後にする。

 会議室を後にするエリシスとリリーの後姿を見ながら、ジカイラは考える。

(……あの二人が相手とは、『フナムシ一家』が気の毒だぜ)

 二人が会議室を後にしたのち、ジカイラはラインハルトに告げる。

「……それじゃ、オレも行くわ」

 ラインハルトはジカイラを見送る。

「頼んだぞ」

 ジカイラは、帝都から士官学校へ向かう。



--夕刻 士官学校。 

 アレクたちは、士官学校での授業が終わり、教室の掃除をしていた。

 アレクたちが掃除をしていると、あちらこちらで数人の女の子たちが遠巻きに教室の掃除をしている二人をチラチラと見て、何やら話し合っていた。

 アルが軽口を叩く。

「……見たか、アレク! 皇帝陛下から直接、帝国騎士(ライヒス・リッター)十字章(・クロス)を授与された英雄ってのは、デッキブラシを持って掃除していても、女の子にモテるんだぜ!」

 アルの軽口にアレクは苦笑いする。

 少しするとガラの悪い先輩学生たちが教室に入って来る。

 その数、十二人。

 アルは、皮肉交じりに先輩学生たちに告げる。

「いやぁ~、これはこれは先輩方。どうかされたんですか?」

 先輩学生の一人が口を開く。

「てめぇら! 皇帝陛下から勲章を授与されたからって、調子こいてんじゃねぇぞ? あぁん!」

 アルは、デッキブラシを肩に担ぐと、先輩学生たちに言い返す。

「はは! オレたちの調子は絶好調ですよ! 先輩方も武勲を上げて、皇帝陛下から勲章を貰えば良いでしょう!」

 先輩学生たちがアルに告げる。

「その態度が調子こいてるってんだよ!」

「ここにいるウサギ・アマギさんとソナーさんは、あの『フナムシ一家』の下位組織である『腹筋同盟』のメンバーなんだぞ!」

 先輩学生たちが大声を張り上げてアレクたちに詰め寄って来た、次の瞬間、勢い良く教室の扉が開けられる。

「……誰が『腹筋同盟』だって?」
 
 声の主は、ジカイラであった。

「中佐!?」

 教室の入口に仁王立ちするジカイラの脇を、平民組のグリフォン、セイレーン、フェンリルの各小隊が通り抜けて教室に入って来る。

 ジカイラは、十二人の先輩学生たちをそれぞれ拳で殴り、叩きのめした。



 ジカイラは叩きのめした先輩学生たちに告げる。

「座れ」

 十二人の先輩学生たちは、ジカイラによって士官学校の廊下に並んで正座させれていた。

 その周囲を、アレクたち、ユニコーン小隊とグリフォン、セイレーン、フェンリルの各小隊が立って取り囲む。

 廊下を歩いていく女の子たちは、廊下に並んで正座させれている先輩学生たちを見て、クスクスと笑う。

 ジカイラは、正座する先輩学生たちの前を歩きながら再び告げる。

「お前ら、『腹筋同盟』のメンバーなんだってな」

 先輩学生の一人がジカイラに答える。

「いいえ、この二人だけです」

 そう言って、先輩学生の一人は、ウサギ・アマギとソナーを指差す。

 ジカイラは、二人に詰め寄る。

「ほぉ~。お前ら、『帝国臣民の血税で勉強してメシ食ってる身分で半グレやる』って、良い度胸してるな」

 ウサギ・アマギとソナーは黙り込む。

「『腹筋同盟』って、なんて奴が頭やってんだ?」

 ウサギ・アマギがジカイラに答える。

「ヴィッキー・ジントックという男です」

 ジカイラが尋ねる。

「それで、そいつらはどこを根城にしているんだ?」

 ソナーが口を開く。

「帝都の繁華街のジェノバ通にある『エインヘリアル』って酒場です」

 ジカイラは、正座する二人を見下ろして冷酷に告げる。

「『反社会勢力』の者をここに居させる訳にはいかない。お前ら二人は退学処分だ。荷物をまとめておけ」

 そう告げると、ジカイラはアレクたちの方を見て口を開く。

「各小隊の隊長は、あとで会議室に来るように。以上だ。解散」



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次のエピソードへ進む 第百五話 ジカイラの説明


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 皇宮の会議室でラインハルト、ジカイラ、エリシス、リリーの四人が顔を合わせる。
 程なくナナイも会議室にやって来る。
「遅くなって、ごめんなさい」
 ラインハルトは笑顔で答える。
「大丈夫だ」
 エリシスはジカイラに尋ねる。
「それで中佐。どうやって『トラキア解放戦線』を探し出すつもりなの?」
 ジカイラは答える。
「……まず、裏社会の情報網から当たるつもりだ。あの手の組織は、人目を惹かないように地下に潜っている。……表立って行動しないからな。裏社会の連中なら、縄張りによそ者が来たら、何かしら気付いて情報を持っているだろう」
 エリシスはジカイラの案に感心する。
「なるほど。さすが、詳しいわね」
 ジカイラは悪びれた素振りも見せず答える。
「……オレは暗黒街育ちなんでね」
 ジカイラは続ける。
「オレの手駒の中から腕利きの四個小隊を選んで、少数精鋭で裏社会の組織から情報を集める。大勢で動いても、こちらの動きを敵に悟られるからな。……帝都近郊なら、マフィアの『フナムシ一家』と半グレの『腹筋同盟』といったところか」
 ジカイラの案にラインハルトも感心する。
「……なるほどな。流石だ」
 ジカイラの案を聞いたナナイは、ルイーゼからの手紙に『腹筋同盟』について書かれていたことを思い出す。
 ナナイが口を開く。
「『腹筋同盟』って、士官学校にも手下がいるみたいよ」
 ジカイラが驚く。
「なんだって? あいつら、オレの生徒達にまで、手を出していたのか!?」
 エリシスが微笑む。
「ふふふ。……それじゃあ、手分けしましょう。中佐には、士官学校のこともあるから、半グレの『腹筋同盟』をお願いするわ。私とリリーは、マフィアの『フナムシ一家』を当たるから」
 ジカイラは頷く。
「判りました。エリシス伯爵。それでいきましょう」
 基本的な分担が決まったことで、エリシスとリリーは早速、会議室を後にする。
 会議室を後にするエリシスとリリーの後姿を見ながら、ジカイラは考える。
(……あの二人が相手とは、『フナムシ一家』が気の毒だぜ)
 二人が会議室を後にしたのち、ジカイラはラインハルトに告げる。
「……それじゃ、オレも行くわ」
 ラインハルトはジカイラを見送る。
「頼んだぞ」
 ジカイラは、帝都から士官学校へ向かう。
--夕刻 士官学校。 
 アレクたちは、士官学校での授業が終わり、教室の掃除をしていた。
 アレクたちが掃除をしていると、あちらこちらで数人の女の子たちが遠巻きに教室の掃除をしている二人をチラチラと見て、何やら話し合っていた。
 アルが軽口を叩く。
「……見たか、アレク! 皇帝陛下から直接、|帝国騎士《ライヒス・リッター》|十字章《・クロス》を授与された英雄ってのは、デッキブラシを持って掃除していても、女の子にモテるんだぜ!」
 アルの軽口にアレクは苦笑いする。
 少しするとガラの悪い先輩学生たちが教室に入って来る。
 その数、十二人。
 アルは、皮肉交じりに先輩学生たちに告げる。
「いやぁ~、これはこれは先輩方。どうかされたんですか?」
 先輩学生の一人が口を開く。
「てめぇら! 皇帝陛下から勲章を授与されたからって、調子こいてんじゃねぇぞ? あぁん!」
 アルは、デッキブラシを肩に担ぐと、先輩学生たちに言い返す。
「はは! オレたちの調子は絶好調ですよ! 先輩方も武勲を上げて、皇帝陛下から勲章を貰えば良いでしょう!」
 先輩学生たちがアルに告げる。
「その態度が調子こいてるってんだよ!」
「ここにいるウサギ・アマギさんとソナーさんは、あの『フナムシ一家』の下位組織である『腹筋同盟』のメンバーなんだぞ!」
 先輩学生たちが大声を張り上げてアレクたちに詰め寄って来た、次の瞬間、勢い良く教室の扉が開けられる。
「……誰が『腹筋同盟』だって?」
 声の主は、ジカイラであった。
「中佐!?」
 教室の入口に仁王立ちするジカイラの脇を、平民組のグリフォン、セイレーン、フェンリルの各小隊が通り抜けて教室に入って来る。
 ジカイラは、十二人の先輩学生たちをそれぞれ拳で殴り、叩きのめした。
 ジカイラは叩きのめした先輩学生たちに告げる。
「座れ」
 十二人の先輩学生たちは、ジカイラによって士官学校の廊下に並んで正座させれていた。
 その周囲を、アレクたち、ユニコーン小隊とグリフォン、セイレーン、フェンリルの各小隊が立って取り囲む。
 廊下を歩いていく女の子たちは、廊下に並んで正座させれている先輩学生たちを見て、クスクスと笑う。
 ジカイラは、正座する先輩学生たちの前を歩きながら再び告げる。
「お前ら、『腹筋同盟』のメンバーなんだってな」
 先輩学生の一人がジカイラに答える。
「いいえ、この二人だけです」
 そう言って、先輩学生の一人は、ウサギ・アマギとソナーを指差す。
 ジカイラは、二人に詰め寄る。
「ほぉ~。お前ら、『帝国臣民の血税で勉強してメシ食ってる身分で半グレやる』って、良い度胸してるな」
 ウサギ・アマギとソナーは黙り込む。
「『腹筋同盟』って、なんて奴が頭やってんだ?」
 ウサギ・アマギがジカイラに答える。
「ヴィッキー・ジントックという男です」
 ジカイラが尋ねる。
「それで、そいつらはどこを根城にしているんだ?」
 ソナーが口を開く。
「帝都の繁華街のジェノバ通にある『エインヘリアル』って酒場です」
 ジカイラは、正座する二人を見下ろして冷酷に告げる。
「『反社会勢力』の者をここに居させる訳にはいかない。お前ら二人は退学処分だ。荷物をまとめておけ」
 そう告げると、ジカイラはアレクたちの方を見て口を開く。
「各小隊の隊長は、あとで会議室に来るように。以上だ。解散」