退院日の顛末 (幕間)
ー/ー 俺の怪我は、単純骨折の上に折れ方が綺麗だった事。
俺自身が若く健康だった事。
そういう要因が影響し、結果的に1月半ほどの入院で済んだ。
1月半の間、土日のたびに何人かの友達が見舞いに来てくれたし、ついでに親しい友達に頼んで家から色々と、暇つぶしグッズを持ってきてもらった事もあり、快適な入院生活を送れた。
まぁそれでも3日に1回はやってくる、緖美にはうんざりしていたのだけど。
毎回飽きもせずに、付き合え付き合えとうるさい。
クラスメイトがいる時でもかまわずに言うので、生暖かい目で見られるのが苦痛でもあった。
正直に言うと緖美の事は、嫌いではないのだけれど、この押しの強さが苦手だし、なんとなく威圧感を感じるのがちょっと苦痛でもある。
威圧感というのは少し違うか、だが俺の事が好きだから付き合おうというのとは違う、明確に言葉には出来ないけれども、どことなく暗い感情が見え隠れしているようでどうしても受け入れられない。
だが俺が何度拒もうと、緖美はめげる事なく見舞いに来て、付き合おうを連呼するのだ。
いい加減、さすがに、避けたくなる俺を誰も批難しないと思う。
無事退院して松葉杖を装備中といえど、ある程度は自由に動く事が出来るようになり、久々の自宅を満喫している。
上げ膳据え膳で、身の回りの世話をしてもらえる病院も悪くはないのだが、自宅という開放感は何物にも代えがたいものだと、改めて認識する。
それに味気ない病院食ではなく、好きなものが食べられるというのも、退院したメリットだなと思う。
俺は早速スマホを片手に、フーバーイーツのサイトにアクセスして、画面に表示される美味しそうな色とりどりのメニューを眺める。
色々と迷いつつ、退院記念で不健康の極みである、ファストフードの中のファストフード、ワクドニャルドのダブルテリヤキバーガーセットを注文する事にした。
必要な情報を入力して、支払いはデビットカードにしておけば、後は受け取る以外何もする必要がないなんて、本当に素晴らしいサービスが浸透したものだなぁとしみじみ思う。
まぁ実際の所、サービス料とか配送料とかが結構高いので、普段は絶対に使わないサービスなのだが、退院した日だしなによりこの状態で、スーパーで食材を買い自炊する気にもならない。
注文してから20分くらいがたった頃だろうか、インタホンが鳴ったので配達員が来たのだろうと、特に確認する事なく玄関に向かいドアを開ける。
そこには満面の笑みを浮かべて、腰に手を当てて胸を反らしている緖美がいた。
「な、何でお前がここに」
「今日退院して、その状態で自炊も出来ず苦労してるんでしょ?私が手料理を作りに来ました」
「いや……、誰も頼んでないし、すでにフーバーイーツ頼んだし」
得意げに手料理を作りに来たという緖美に、そう切り返す。
緖美の顔色が一瞬にして変わった。
「あなたね、そんな不健康なもの、怪我の治りが悪くなるわよ。栄養の有るもの作ってあげるから、ちゃんとしたものを食べなさい!」
「い、いやだ、ずっと体に良いものって言う理由で味気ない病院食食べてきたんだ、今日くらい味の濃いいかにもなものを食いたいんだ俺は!」
玄関で押し問答を繰り返す俺たち。
どちらも一歩も引くつもりはないらしく、お互いに今にもかみつきそうな顔で睨み合う。
「あ……あのー、フーバーイーツですが……」
俺たちの様子を見て、恐る恐る声をかけてくる配達員。
緖美はよそ行きな笑顔を浮かべて、ごくろうさまですと言うと、素早く配達員からビニール袋をひったくる。
そんな緖美の様子に気圧されたのか、配達員は俺の顔を緖美の顔を交互に、不安そうに見る。
仕方ないので、俺は配達員に頷くと、彼は安堵の表情を浮かべて何度も頭を下げて去って行く。
「あの……俺のテリヤキバーガー」
「仕方ないわね……、お昼はこれを食べる事を許可するわ、だけど夕食はきちんとしたものを食べてもらうからね。それで良いわね?」
手に持ったビニール袋をユラユラと揺らして緖美。
おそらく交換条件と言いたいのであろうその表情。
俺は遺憾ながらその提案を受け入れるしかなかった。
俺自身が若く健康だった事。
そういう要因が影響し、結果的に1月半ほどの入院で済んだ。
1月半の間、土日のたびに何人かの友達が見舞いに来てくれたし、ついでに親しい友達に頼んで家から色々と、暇つぶしグッズを持ってきてもらった事もあり、快適な入院生活を送れた。
まぁそれでも3日に1回はやってくる、緖美にはうんざりしていたのだけど。
毎回飽きもせずに、付き合え付き合えとうるさい。
クラスメイトがいる時でもかまわずに言うので、生暖かい目で見られるのが苦痛でもあった。
正直に言うと緖美の事は、嫌いではないのだけれど、この押しの強さが苦手だし、なんとなく威圧感を感じるのがちょっと苦痛でもある。
威圧感というのは少し違うか、だが俺の事が好きだから付き合おうというのとは違う、明確に言葉には出来ないけれども、どことなく暗い感情が見え隠れしているようでどうしても受け入れられない。
だが俺が何度拒もうと、緖美はめげる事なく見舞いに来て、付き合おうを連呼するのだ。
いい加減、さすがに、避けたくなる俺を誰も批難しないと思う。
無事退院して松葉杖を装備中といえど、ある程度は自由に動く事が出来るようになり、久々の自宅を満喫している。
上げ膳据え膳で、身の回りの世話をしてもらえる病院も悪くはないのだが、自宅という開放感は何物にも代えがたいものだと、改めて認識する。
それに味気ない病院食ではなく、好きなものが食べられるというのも、退院したメリットだなと思う。
俺は早速スマホを片手に、フーバーイーツのサイトにアクセスして、画面に表示される美味しそうな色とりどりのメニューを眺める。
色々と迷いつつ、退院記念で不健康の極みである、ファストフードの中のファストフード、ワクドニャルドのダブルテリヤキバーガーセットを注文する事にした。
必要な情報を入力して、支払いはデビットカードにしておけば、後は受け取る以外何もする必要がないなんて、本当に素晴らしいサービスが浸透したものだなぁとしみじみ思う。
まぁ実際の所、サービス料とか配送料とかが結構高いので、普段は絶対に使わないサービスなのだが、退院した日だしなによりこの状態で、スーパーで食材を買い自炊する気にもならない。
注文してから20分くらいがたった頃だろうか、インタホンが鳴ったので配達員が来たのだろうと、特に確認する事なく玄関に向かいドアを開ける。
そこには満面の笑みを浮かべて、腰に手を当てて胸を反らしている緖美がいた。
「な、何でお前がここに」
「今日退院して、その状態で自炊も出来ず苦労してるんでしょ?私が手料理を作りに来ました」
「いや……、誰も頼んでないし、すでにフーバーイーツ頼んだし」
得意げに手料理を作りに来たという緖美に、そう切り返す。
緖美の顔色が一瞬にして変わった。
「あなたね、そんな不健康なもの、怪我の治りが悪くなるわよ。栄養の有るもの作ってあげるから、ちゃんとしたものを食べなさい!」
「い、いやだ、ずっと体に良いものって言う理由で味気ない病院食食べてきたんだ、今日くらい味の濃いいかにもなものを食いたいんだ俺は!」
玄関で押し問答を繰り返す俺たち。
どちらも一歩も引くつもりはないらしく、お互いに今にもかみつきそうな顔で睨み合う。
「あ……あのー、フーバーイーツですが……」
俺たちの様子を見て、恐る恐る声をかけてくる配達員。
緖美はよそ行きな笑顔を浮かべて、ごくろうさまですと言うと、素早く配達員からビニール袋をひったくる。
そんな緖美の様子に気圧されたのか、配達員は俺の顔を緖美の顔を交互に、不安そうに見る。
仕方ないので、俺は配達員に頷くと、彼は安堵の表情を浮かべて何度も頭を下げて去って行く。
「あの……俺のテリヤキバーガー」
「仕方ないわね……、お昼はこれを食べる事を許可するわ、だけど夕食はきちんとしたものを食べてもらうからね。それで良いわね?」
手に持ったビニール袋をユラユラと揺らして緖美。
おそらく交換条件と言いたいのであろうその表情。
俺は遺憾ながらその提案を受け入れるしかなかった。
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俺自身が若く健康だった事。
そういう要因が影響し、結果的に1月半ほどの入院で済んだ。
俺自身が若く健康だった事。
そういう要因が影響し、結果的に1月半ほどの入院で済んだ。
1月半の間、土日のたびに何人かの友達が見舞いに来てくれたし、ついでに親しい友達に頼んで家から色々と、暇つぶしグッズを持ってきてもらった事もあり、快適な入院生活を送れた。
まぁそれでも3日に1回はやってくる、緖美にはうんざりしていたのだけど。
毎回飽きもせずに、付き合え付き合えとうるさい。
クラスメイトがいる時でもかまわずに言うので、生暖かい目で見られるのが苦痛でもあった。
正直に言うと緖美の事は、嫌いではないのだけれど、この押しの強さが苦手だし、なんとなく威圧感を感じるのがちょっと苦痛でもある。
毎回飽きもせずに、付き合え付き合えとうるさい。
クラスメイトがいる時でもかまわずに言うので、生暖かい目で見られるのが苦痛でもあった。
正直に言うと緖美の事は、嫌いではないのだけれど、この押しの強さが苦手だし、なんとなく威圧感を感じるのがちょっと苦痛でもある。
威圧感というのは少し違うか、だが俺の事が好きだから付き合おうというのとは違う、明確に言葉には出来ないけれども、どことなく暗い感情が見え隠れしているようでどうしても受け入れられない。
だが俺が何度拒もうと、緖美はめげる事なく見舞いに来て、付き合おうを連呼するのだ。
いい加減、さすがに、避けたくなる俺を誰も批難しないと思う。
いい加減、さすがに、避けたくなる俺を誰も批難しないと思う。
無事退院して松葉杖を装備中といえど、ある程度は自由に動く事が出来るようになり、久々の自宅を満喫している。
上げ膳据え膳で、身の回りの世話をしてもらえる病院も悪くはないのだが、自宅という開放感は何物にも代えがたいものだと、改めて認識する。
上げ膳据え膳で、身の回りの世話をしてもらえる病院も悪くはないのだが、自宅という開放感は何物にも代えがたいものだと、改めて認識する。
それに味気ない病院食ではなく、好きなものが食べられるというのも、退院したメリットだなと思う。
俺は早速スマホを片手に、フーバーイーツのサイトにアクセスして、画面に表示される美味しそうな色とりどりのメニューを眺める。
俺は早速スマホを片手に、フーバーイーツのサイトにアクセスして、画面に表示される美味しそうな色とりどりのメニューを眺める。
色々と迷いつつ、退院記念で不健康の極みである、ファストフードの中のファストフード、ワクドニャルドのダブルテリヤキバーガーセットを注文する事にした。
必要な情報を入力して、支払いはデビットカードにしておけば、後は受け取る以外何もする必要がないなんて、本当に素晴らしいサービスが浸透したものだなぁとしみじみ思う。
必要な情報を入力して、支払いはデビットカードにしておけば、後は受け取る以外何もする必要がないなんて、本当に素晴らしいサービスが浸透したものだなぁとしみじみ思う。
まぁ実際の所、サービス料とか配送料とかが結構高いので、普段は絶対に使わないサービスなのだが、退院した日だしなによりこの状態で、スーパーで食材を買い自炊する気にもならない。
注文してから20分くらいがたった頃だろうか、インタホンが鳴ったので配達員が来たのだろうと、特に確認する事なく玄関に向かいドアを開ける。
そこには満面の笑みを浮かべて、腰に手を当てて胸を反らしている緖美がいた。
そこには満面の笑みを浮かべて、腰に手を当てて胸を反らしている緖美がいた。
「な、何でお前がここに」
「今日退院して、その状態で自炊も出来ず苦労してるんでしょ?私が手料理を作りに来ました」
「いや……、誰も頼んでないし、すでにフーバーイーツ頼んだし」
得意げに手料理を作りに来たという緖美に、そう切り返す。
緖美の顔色が一瞬にして変わった。
緖美の顔色が一瞬にして変わった。
「あなたね、そんな不健康なもの、怪我の治りが悪くなるわよ。栄養の有るもの作ってあげるから、ちゃんとしたものを食べなさい!」
「い、いやだ、ずっと体に良いものって言う理由で味気ない病院食食べてきたんだ、今日くらい味の濃いいかにもなものを食いたいんだ俺は!」
玄関で押し問答を繰り返す俺たち。
どちらも一歩も引くつもりはないらしく、お互いに今にもかみつきそうな顔で睨み合う。
どちらも一歩も引くつもりはないらしく、お互いに今にもかみつきそうな顔で睨み合う。
「あ……あのー、フーバーイーツですが……」
俺たちの様子を見て、恐る恐る声をかけてくる配達員。
緖美はよそ行きな笑顔を浮かべて、ごくろうさまですと言うと、素早く配達員からビニール袋をひったくる。
そんな緖美の様子に気圧されたのか、配達員は俺の顔を緖美の顔を交互に、不安そうに見る。
仕方ないので、俺は配達員に頷くと、彼は安堵の表情を浮かべて何度も頭を下げて去って行く。
緖美はよそ行きな笑顔を浮かべて、ごくろうさまですと言うと、素早く配達員からビニール袋をひったくる。
そんな緖美の様子に気圧されたのか、配達員は俺の顔を緖美の顔を交互に、不安そうに見る。
仕方ないので、俺は配達員に頷くと、彼は安堵の表情を浮かべて何度も頭を下げて去って行く。
「あの……俺のテリヤキバーガー」
「仕方ないわね……、お昼はこれを食べる事を許可するわ、だけど夕食はきちんとしたものを食べてもらうからね。それで良いわね?」
手に持ったビニール袋をユラユラと揺らして緖美。
おそらく交換条件と言いたいのであろうその表情。
俺は遺憾ながらその提案を受け入れるしかなかった。
おそらく交換条件と言いたいのであろうその表情。
俺は遺憾ながらその提案を受け入れるしかなかった。