第百三十四話 第一試合ユニコーン小隊vsコリント小隊
ー/ー アレクたちは、自陣の旗の前で臨戦態勢を取り、開始の合図を待っていた。
アレクが小隊の皆に話し掛ける。
「相手の小隊は、戦士三人、斥候一人、魔導師二人、僧侶一人、精霊使い一人。……戦力的にこっちが上だけど、みんな、気を抜かないように」
アルは冗談を口にする。
「少しは手加減してやらないとな」
ルイーゼはアルに答える。
「あいつらには、手加減無用よ!」
アレクとルイーゼは、キャスパーシティでデート中に彼らに襲われたことがあった。
アレクは続ける。
「戦場は、単純に地面に溝状の塹壕が幾つも掘ってあるだけだ。オレたちは、それを飛び越えながら突撃して、一気に敵本陣まで攻め込む!」
「了解!」
アルは軽口を叩く。
「敵さん、驚くぞ~」
エルザもアルに続く。
「チャチャッと決めて、お茶にしましょ」
トゥルムも鼻で笑う。
「フッ。彼らに『実力の違い』というものを思い知らせてやろう」
ルイーゼは声を上げる。
「そろそろ、始まるわよ!」
試合開始の合図の空砲が鳴る。
『開戦』の時であった。
「うぉおおおおお!」
アレクたちは、突撃体勢で敵本陣めがけて一斉に走り出した。
ドミトリーは支援魔法を掛ける。
「筋力強化!」
ナタリーは防御魔法を掛ける。
「魔力魔法盾!」
ナディアは走りながら風の精霊を召喚し、防御魔法を掛けさせる。
アレクたちユニコーン小隊を淡い緑色の光が包む。
「矢からの防御よ」
アレクたちは、走りながら戦場に作られている塹壕を次々と飛び越えて、敵本陣を目指して突撃を続ける。
開戦と同時に突撃してくるアレクたちに、コリント小隊の先輩学生達は、驚愕する。
「あいつら、突撃してきたぞ!?」
「『塹壕戦』だぞ!? 奴ら、判っているのか?」
「魔法だ! 魔法と弓で攻撃しろ!」
コリント小隊の魔導師二人がアレクたちを狙って、攻撃魔法を放つ。
「火炎玉!」
「電撃!」
しかし、コリント小隊の二人の魔導師の魔法は、アレクたちに届く直前で。ナタリーの防御魔法によって防がれる。
アルは乾いた笑い声を上げる。
「あーははは! 先輩たちの魔導師二人より、ナタリー一人の方が強いのか!」
アレクが答える。
「さすが『爆炎の大魔導師』の娘だね!」
コリント小隊の斥候がアレクたちに向けて矢を放つが、矢はユニコーン小隊を包む緑色の光によって反れていく。
ナディアは効果を解説する。
「風の精霊の加護よ! 敵の矢は当たらないわ!」
ドミトリーの支援魔法の効果によって筋力が強化されたアレクたちは、あっという間に敵本陣の近くまで攻め込む。
コリント小隊の先輩学生たちは、アレクたちが迫って来て焦り出す。
「くそっ! 前衛、出るぞ! 奴らを防げ!」
コリント小隊の前衛、戦士三人と斥候一人は、塹壕から出て隊列を組むと盾を構える。
アレクたちとコリント小隊の前衛は、互いに盾を構えて激突する。
盾同士がぶつかる鈍い金属音が響く。
アレクたちとコリント小隊の前衛は、互いに盾越しに押し合い、盾の隙間から剣や槍で相手を攻撃する。
「ぐうっ!」
「うぉおおお!」
アルは軽口を叩く。
「先輩がたも、一応、歩兵教練の教科書は読んでいたんだな!」
アレクは、アルの言葉に笑みを浮かべる。
「『盾で防御しつつ、相手を防ぐ』。ここまでは、教科書通りさ!」
アレクは叫ぶ。
「ルイーゼ! ナディア! 今だ!」
アレクに呼ばれた二人、ルイーゼはアレクの後ろから、ナディアはエルザの後ろから、素早く敵の隊列の側面に回り込む。
コリント小隊の前衛四人は、側面に回り込んで来たルイーゼとナディアに驚く。
「六人だと!? 前衛四人じゃないのか?」
「女!?」
「エルフ!?」
ルイーゼとナディアの二人は、コリント小隊の前衛の側面に回り込んで、それぞれ鎧や防具の無い部位を狙って斬り付ける。
ルイーゼはショートソードを抜くと、アレクと対峙している戦士の脇の下を下から斬り上げる。
「ぐぁああああ!」
ルイーゼの攻撃によってアレクと対峙している戦士は、盾を持ちあげていられなくなり、構えている盾が下がる。
(良いぞ! 盾が下がった!)
アレクは、対峙している戦士の側頭部を、思い切り剣の背で殴り付ける。
「ごふッ!」
鈍い音と共にアレクと対峙している戦士は倒れた。
ナディアは、エルザと対峙している斥候の右足の膝の裏側をレイピアで斬り付ける。
「ぎゃああああ!」
エルザと対峙している斥候は、ナディアに膝の裏側を斬られ、ガクッと膝を着くと、エルザと盾越しに押し合いきれなくなり、後ろの塹壕にずり落ちる。
二人が脱落したことでコリント小隊の隊列が崩れ、コリント小隊の一人が叫ぶ。
「ああっ! お前ら! 陣形を崩すな!」
しかし、叫んだところでどうにかなる状況ではなかった。
対峙する相手が塹壕に落ちていなくなったエルザは、構えていた盾を投げ捨て、雄叫びを上げながらトゥルムが対峙している戦士を両手剣で斬り付ける。
「おりゃあああああ!」
エルザの両手剣の刃が戦士の背中に食い込む。
「ぐぬぅううう!」
エルザは、仕留めそこなったことに舌打ちする。
(チッ! 首なら落とせた! 鎧で守られている部位は硬い!)
エルザは、そのまま両手剣を振るった勢いに乗って身を翻すと、仕留め損なった戦士に向けて後ろ回し蹴りを放つ。
エルザの右足のかかとが戦士の後頭部に直撃する。
エルザの足甲と戦士の兜がぶつかり、鈍い金属音を立てる。
衝撃で脳震とうを起こした戦士は、白目を剥いてその場に崩れ落ちた。
一人残ったアルと対峙している戦士は、自分たちの後衛がいる本陣まで下がる。
戦士は憎まれ口を叩く。
「お、お前ら、汚いぞ! 後衛にも近接戦闘をやらせるなんて!」
アレクは答える。
「『後衛は近接戦闘してはいけない』なんて、決まりは無いですよ? 実際の戦闘が歩兵教練の教科書通りになる訳ないでしょ? ……先輩、意外に教科書に書いてあることにこだわるんですね」
「ぐぅうう……」
戦士は、歯ぎしりしながら悔しがる。
アレクは、アルに指示する。
「アル、先輩にはこの辺で退場してもらおう!」
アルが笑顔で答える。
「そうだな!」
アルはそう言うと、一人残った戦士に向かって腰を落として深く息を吸い込み、貯めの姿勢を取る。
(いくぜ! 一の旋!)
アルの渾身の力を込めた斧槍の一撃が剛腕から放たれる。
アルの必殺の一撃が戦士の胴に当たり、吹き飛んでいく。
前衛のいなくなったコリント小隊の後衛四人がアレクたちに後退りする中、アレクが本陣の旗を取り、高く掲げる。
アレクたち、ユニコーン小隊の勝利であった。
アレクが小隊の皆に話し掛ける。
「相手の小隊は、戦士三人、斥候一人、魔導師二人、僧侶一人、精霊使い一人。……戦力的にこっちが上だけど、みんな、気を抜かないように」
アルは冗談を口にする。
「少しは手加減してやらないとな」
ルイーゼはアルに答える。
「あいつらには、手加減無用よ!」
アレクとルイーゼは、キャスパーシティでデート中に彼らに襲われたことがあった。
アレクは続ける。
「戦場は、単純に地面に溝状の塹壕が幾つも掘ってあるだけだ。オレたちは、それを飛び越えながら突撃して、一気に敵本陣まで攻め込む!」
「了解!」
アルは軽口を叩く。
「敵さん、驚くぞ~」
エルザもアルに続く。
「チャチャッと決めて、お茶にしましょ」
トゥルムも鼻で笑う。
「フッ。彼らに『実力の違い』というものを思い知らせてやろう」
ルイーゼは声を上げる。
「そろそろ、始まるわよ!」
試合開始の合図の空砲が鳴る。
『開戦』の時であった。
「うぉおおおおお!」
アレクたちは、突撃体勢で敵本陣めがけて一斉に走り出した。
ドミトリーは支援魔法を掛ける。
「筋力強化!」
ナタリーは防御魔法を掛ける。
「魔力魔法盾!」
ナディアは走りながら風の精霊を召喚し、防御魔法を掛けさせる。
アレクたちユニコーン小隊を淡い緑色の光が包む。
「矢からの防御よ」
アレクたちは、走りながら戦場に作られている塹壕を次々と飛び越えて、敵本陣を目指して突撃を続ける。
開戦と同時に突撃してくるアレクたちに、コリント小隊の先輩学生達は、驚愕する。
「あいつら、突撃してきたぞ!?」
「『塹壕戦』だぞ!? 奴ら、判っているのか?」
「魔法だ! 魔法と弓で攻撃しろ!」
コリント小隊の魔導師二人がアレクたちを狙って、攻撃魔法を放つ。
「火炎玉!」
「電撃!」
しかし、コリント小隊の二人の魔導師の魔法は、アレクたちに届く直前で。ナタリーの防御魔法によって防がれる。
アルは乾いた笑い声を上げる。
「あーははは! 先輩たちの魔導師二人より、ナタリー一人の方が強いのか!」
アレクが答える。
「さすが『爆炎の大魔導師』の娘だね!」
コリント小隊の斥候がアレクたちに向けて矢を放つが、矢はユニコーン小隊を包む緑色の光によって反れていく。
ナディアは効果を解説する。
「風の精霊の加護よ! 敵の矢は当たらないわ!」
ドミトリーの支援魔法の効果によって筋力が強化されたアレクたちは、あっという間に敵本陣の近くまで攻め込む。
コリント小隊の先輩学生たちは、アレクたちが迫って来て焦り出す。
「くそっ! 前衛、出るぞ! 奴らを防げ!」
コリント小隊の前衛、戦士三人と斥候一人は、塹壕から出て隊列を組むと盾を構える。
アレクたちとコリント小隊の前衛は、互いに盾を構えて激突する。
盾同士がぶつかる鈍い金属音が響く。
アレクたちとコリント小隊の前衛は、互いに盾越しに押し合い、盾の隙間から剣や槍で相手を攻撃する。
「ぐうっ!」
「うぉおおお!」
アルは軽口を叩く。
「先輩がたも、一応、歩兵教練の教科書は読んでいたんだな!」
アレクは、アルの言葉に笑みを浮かべる。
「『盾で防御しつつ、相手を防ぐ』。ここまでは、教科書通りさ!」
アレクは叫ぶ。
「ルイーゼ! ナディア! 今だ!」
アレクに呼ばれた二人、ルイーゼはアレクの後ろから、ナディアはエルザの後ろから、素早く敵の隊列の側面に回り込む。
コリント小隊の前衛四人は、側面に回り込んで来たルイーゼとナディアに驚く。
「六人だと!? 前衛四人じゃないのか?」
「女!?」
「エルフ!?」
ルイーゼとナディアの二人は、コリント小隊の前衛の側面に回り込んで、それぞれ鎧や防具の無い部位を狙って斬り付ける。
ルイーゼはショートソードを抜くと、アレクと対峙している戦士の脇の下を下から斬り上げる。
「ぐぁああああ!」
ルイーゼの攻撃によってアレクと対峙している戦士は、盾を持ちあげていられなくなり、構えている盾が下がる。
(良いぞ! 盾が下がった!)
アレクは、対峙している戦士の側頭部を、思い切り剣の背で殴り付ける。
「ごふッ!」
鈍い音と共にアレクと対峙している戦士は倒れた。
ナディアは、エルザと対峙している斥候の右足の膝の裏側をレイピアで斬り付ける。
「ぎゃああああ!」
エルザと対峙している斥候は、ナディアに膝の裏側を斬られ、ガクッと膝を着くと、エルザと盾越しに押し合いきれなくなり、後ろの塹壕にずり落ちる。
二人が脱落したことでコリント小隊の隊列が崩れ、コリント小隊の一人が叫ぶ。
「ああっ! お前ら! 陣形を崩すな!」
しかし、叫んだところでどうにかなる状況ではなかった。
対峙する相手が塹壕に落ちていなくなったエルザは、構えていた盾を投げ捨て、雄叫びを上げながらトゥルムが対峙している戦士を両手剣で斬り付ける。
「おりゃあああああ!」
エルザの両手剣の刃が戦士の背中に食い込む。
「ぐぬぅううう!」
エルザは、仕留めそこなったことに舌打ちする。
(チッ! 首なら落とせた! 鎧で守られている部位は硬い!)
エルザは、そのまま両手剣を振るった勢いに乗って身を翻すと、仕留め損なった戦士に向けて後ろ回し蹴りを放つ。
エルザの右足のかかとが戦士の後頭部に直撃する。
エルザの足甲と戦士の兜がぶつかり、鈍い金属音を立てる。
衝撃で脳震とうを起こした戦士は、白目を剥いてその場に崩れ落ちた。
一人残ったアルと対峙している戦士は、自分たちの後衛がいる本陣まで下がる。
戦士は憎まれ口を叩く。
「お、お前ら、汚いぞ! 後衛にも近接戦闘をやらせるなんて!」
アレクは答える。
「『後衛は近接戦闘してはいけない』なんて、決まりは無いですよ? 実際の戦闘が歩兵教練の教科書通りになる訳ないでしょ? ……先輩、意外に教科書に書いてあることにこだわるんですね」
「ぐぅうう……」
戦士は、歯ぎしりしながら悔しがる。
アレクは、アルに指示する。
「アル、先輩にはこの辺で退場してもらおう!」
アルが笑顔で答える。
「そうだな!」
アルはそう言うと、一人残った戦士に向かって腰を落として深く息を吸い込み、貯めの姿勢を取る。
(いくぜ! 一の旋!)
アルの渾身の力を込めた斧槍の一撃が剛腕から放たれる。
アルの必殺の一撃が戦士の胴に当たり、吹き飛んでいく。
前衛のいなくなったコリント小隊の後衛四人がアレクたちに後退りする中、アレクが本陣の旗を取り、高く掲げる。
アレクたち、ユニコーン小隊の勝利であった。
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アレクが小隊の皆に話し掛ける。
「相手の小隊は、戦士三人、斥候一人、魔導師二人、僧侶一人、精霊使い一人。……戦力的にこっちが上だけど、みんな、気を抜かないように」
アルは冗談を口にする。
「少しは手加減してやらないとな」
ルイーゼはアルに答える。
「あいつらには、手加減無用よ!」
アレクとルイーゼは、キャスパーシティでデート中に彼らに襲われたことがあった。
アレクは続ける。
「戦場は、単純に地面に溝状の塹壕が幾つも掘ってあるだけだ。オレたちは、それを飛び越えながら突撃して、一気に敵本陣まで攻め込む!」
「了解!」
アルは軽口を叩く。
「敵さん、驚くぞ~」
エルザもアルに続く。
「チャチャッと決めて、お茶にしましょ」
トゥルムも鼻で笑う。
「フッ。彼らに『実力の違い』というものを思い知らせてやろう」
ルイーゼは声を上げる。
「そろそろ、始まるわよ!」
試合開始の合図の空砲が鳴る。
『開戦』の時であった。
「うぉおおおおお!」
アレクたちは、突撃体勢で敵本陣めがけて一斉に走り出した。
ドミトリーは支援魔法を掛ける。
「|筋力《レッサー・》|強化《ストレングス》!」
ナタリーは防御魔法を掛ける。
「|魔力《マナ・》|魔法《マジック・》|盾《シールド》!」
ナディアは走りながら|風の精霊《シルフ》を召喚し、防御魔法を掛けさせる。
アレクたちユニコーン小隊を淡い緑色の光が包む。
「|矢から《プロテクション・》|の《フロム・》|防御《アロー》よ」
アレクたちは、走りながら戦場に作られている塹壕を次々と飛び越えて、敵本陣を目指して突撃を続ける。
開戦と同時に突撃してくるアレクたちに、コリント小隊の先輩学生達は、驚愕する。
「あいつら、突撃してきたぞ!?」
「『塹壕戦』だぞ!? 奴ら、判っているのか?」
「魔法だ! 魔法と弓で攻撃しろ!」
コリント小隊の魔導師二人がアレクたちを狙って、攻撃魔法を放つ。
「|火炎《ファイヤー・》|玉《ボール》!」
「|電撃《サンダー》!」
しかし、コリント小隊の二人の魔導師の魔法は、アレクたちに届く直前で。ナタリーの防御魔法によって防がれる。
アルは乾いた笑い声を上げる。
「あーははは! 先輩たちの魔導師二人より、ナタリー一人の方が強いのか!」
アレクが答える。
「さすが『爆炎の大魔導師』の娘だね!」
コリント小隊の斥候がアレクたちに向けて矢を放つが、矢はユニコーン小隊を包む緑色の光によって反れていく。
ナディアは効果を解説する。
「|風の精霊《シルフ》の加護よ! 敵の矢は当たらないわ!」
ドミトリーの支援魔法の効果によって筋力が強化されたアレクたちは、あっという間に敵本陣の近くまで攻め込む。
コリント小隊の先輩学生たちは、アレクたちが迫って来て焦り出す。
「くそっ! 前衛、出るぞ! 奴らを防げ!」
コリント小隊の前衛、戦士三人と斥候一人は、塹壕から出て隊列を組むと盾を構える。
アレクたちとコリント小隊の前衛は、互いに盾を構えて激突する。
盾同士がぶつかる鈍い金属音が響く。
アレクたちとコリント小隊の前衛は、互いに盾越しに押し合い、盾の隙間から剣や槍で相手を攻撃する。
「ぐうっ!」
「うぉおおお!」
アルは軽口を叩く。
「先輩がたも、一応、歩兵教練の教科書は読んでいたんだな!」
アレクは、アルの言葉に笑みを浮かべる。
「『盾で防御しつつ、相手を防ぐ』。ここまでは、教科書通りさ!」
アレクは叫ぶ。
「ルイーゼ! ナディア! 今だ!」
アレクに呼ばれた二人、ルイーゼはアレクの後ろから、ナディアはエルザの後ろから、素早く敵の隊列の側面に回り込む。
コリント小隊の前衛四人は、側面に回り込んで来たルイーゼとナディアに驚く。
「六人だと!? 前衛四人じゃないのか?」
「女!?」
「エルフ!?」
ルイーゼとナディアの二人は、コリント小隊の前衛の側面に回り込んで、それぞれ鎧や防具の無い部位を狙って斬り付ける。
ルイーゼはショートソードを抜くと、アレクと対峙している戦士の脇の下を下から斬り上げる。
「ぐぁああああ!」
ルイーゼの攻撃によってアレクと対峙している戦士は、盾を持ちあげていられなくなり、構えている盾が下がる。
(良いぞ! 盾が下がった!)
アレクは、対峙している戦士の側頭部を、思い切り剣の背で殴り付ける。
「ごふッ!」
鈍い音と共にアレクと対峙している戦士は倒れた。
ナディアは、エルザと対峙している斥候の右足の膝の裏側をレイピアで斬り付ける。
「ぎゃああああ!」
エルザと対峙している斥候は、ナディアに膝の裏側を斬られ、ガクッと膝を着くと、エルザと盾越しに押し合いきれなくなり、後ろの塹壕にずり落ちる。
二人が脱落したことでコリント小隊の隊列が崩れ、コリント小隊の一人が叫ぶ。
「ああっ! お前ら! 陣形を崩すな!」
しかし、叫んだところでどうにかなる状況ではなかった。
対峙する相手が塹壕に落ちていなくなったエルザは、構えていた盾を投げ捨て、雄叫びを上げながらトゥルムが対峙している戦士を両手剣で斬り付ける。
「おりゃあああああ!」
エルザの両手剣の刃が戦士の背中に食い込む。
「ぐぬぅううう!」
エルザは、仕留めそこなったことに舌打ちする。
(チッ! 首なら落とせた! 鎧で守られている部位は硬い!)
エルザは、そのまま両手剣を振るった勢いに乗って身を翻すと、仕留め損なった戦士に向けて後ろ回し蹴りを放つ。
エルザの右足のかかとが戦士の後頭部に直撃する。
エルザの足甲と戦士の兜がぶつかり、鈍い金属音を立てる。
衝撃で脳震とうを起こした戦士は、白目を剥いてその場に崩れ落ちた。
一人残ったアルと対峙している戦士は、自分たちの後衛がいる本陣まで下がる。
戦士は憎まれ口を叩く。
「お、お前ら、汚いぞ! 後衛にも近接戦闘をやらせるなんて!」
アレクは答える。
「『後衛は近接戦闘してはいけない』なんて、決まりは無いですよ? 実際の戦闘が歩兵教練の教科書通りになる訳ないでしょ? ……先輩、意外に教科書に書いてあることにこだわるんですね」
「ぐぅうう……」
戦士は、歯ぎしりしながら悔しがる。
アレクは、アルに指示する。
「アル、先輩にはこの辺で退場してもらおう!」
アルが笑顔で答える。
「そうだな!」
アルはそう言うと、一人残った戦士に向かって腰を落として深く息を吸い込み、貯めの姿勢を取る。
(いくぜ! |一《いち》の|旋《せん》!)
アルの渾身の力を込めた|斧槍《ハルバード》の一撃が剛腕から放たれる。
アルの必殺の一撃が戦士の胴に当たり、吹き飛んでいく。
前衛のいなくなったコリント小隊の後衛四人がアレクたちに後退りする中、アレクが本陣の旗を取り、高く掲げる。
アレクたち、ユニコーン小隊の勝利であった。